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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第十二話『笑顔をみるために』5

 俺とレオスという男は静寂に包まれた実験室で対峙していた。どちらも牽制している状態だ。

さて、どう攻めるか……。正直、俺の方は連続の戦闘で体力は削られている。

 最強らしくないかもしれないが出来るならさっさと終わらせて休みたい。まあ、そんなことを言っても仕方がないのは分かっているけどな。

 俺が少し戦術を考えているとレオスが、

「どうしましたか? さっさと始めませんか」

「悪いな、あいにく俺は挑発には乗らないタイプでな」

「そうですか……。相手から攻撃を仕掛けてくれた方が私としてはやりがいがあるんですけどね……まあ、いいでしょう。私から仕掛けさせてもらいますよ!!」

 レオスは不敵な笑みを浮かべた後、姿を消した。

 はぁ……まったくだな。あの時・・・と同じじゃないか……!!

 俺は素早く目に移すことができない攻撃を弾いた。

「……!! ほう、中々やりますね……」

 レオスは俺に攻撃を弾かれたのにもかかわらず、平然と姿を現した。

まあ、それもそうか。

 元々、分かっていたことだからな。

「なぁ、一つ聞いていいか?」

「一つだけなら、構いませんよ」

「荒井先輩を陥れたのはお前だろ、レオス」

「はて、何のことでしょうか?」

「とぼけるなよ。今のお前とあの時荒井先輩は似ていた、いやまったく同じだったぞ!!」

「ふふふっ……あっはっははっ!!!! いや、あなたでしたか私の楽しみを壊したのは」

 先ほどよりも不気味な高笑いを俺に見せつける。

「やっぱりお前が荒井先輩を……!!」

「いかにも。私がその者に力を授けたのですよ……。なかなか滑稽だったでしょう?」

「ふざけるな。苦しんだのは荒井先輩だけじゃない。たくさんいるんだぞ!! それを滑稽だと……もういい。俺は絶対にお前だけは容赦しない!!」

「望むところですよ!!!!」

 再びレオスは姿を消す。

 もういい……。こいつだけは俺が必ず片付けてやる。

 俺は剣を強く握り、精神を集中させる。

この戦闘はすでに経験しているんだ。なら、俺が破れないはずがない。

「そこだ!!」

「ふっ。あまいですね」

「……!!」

 くそっ、足をすくわれたか……。

 俺は前と同じようにレオスの攻撃を弾いた。

 だが、レオスの目的はそこではなかった。

レオスは攻撃が弾かれることを承知の上で俺の首を狙ったのだ。

 そして俺の首を右手で触れている。

 くっ……!! 動けない!!

「掛かりましたね……。もちろん、私が何の意味なくあなたの首を絞めているわけではないことは分かりますよね? 

 ふふっ……。素晴らしい力ですね。まさかここでこんな力を得られるなんて最高です……。さて、さっさともらうとしましょう。もちろん、全ての力をね!!」

「へっ。べらべらと喋り過ぎだ、お前」

 今のうちに考えろ、俺。必ず突破口があるはずだ。

「はっ。そんなハッタリ通用しませんよ。あなたには何も出来ないのですから……!!」

「まったく。どいつもこいつもお喋りが好きだな……まあ、俺もその一部か。俺の剣のことを忘れたわけじゃないよな」

「みっみっ見苦しいですよ!! あなたはなっなっ何も出来ないはずです……!! あなたの持っている剣だって今ではなんの意味が――」

「あるんだよ、それが」

「……!!」

 俺は分かったぞ。確かにこの剣は直接的な攻撃は無理だ、人間と神人・・・・・ならな。

では、それ以外だったら……?

 答えはもう見つかっている。だから……。

「もう終わりだ。喋り過ぎたことを後悔するんだな……レオスのクローン!!」

「なぜ、なぜそれおおぉぉぉぉ!!!!」

 俺は能力が発動する寸前にレオスいや、クローンの右腕を能力消滅剣スキルキラーで切断した。 

 辺りに血が飛び散る。身動きが出来るようになった。

「ぐわあぁぁぁぁあああぁぁぁ!!!!」

 レオスのクローンは左手で右腕があった場所を抑えながらもがき苦しんでいる。

 さて、これぐらいにするか。

「聖なる回復――アークキュア!!」

 俺はレオスのクローンの右手があった所に治癒魔法を唱えた。

 すると、みるみるうちに血は止まり右腕の形に戻っていく。

何事もなかったようにほとんど完治した。

 なかなか疲れるものだな……。

 魔法を使うのはまだまだか。

「どうだ? もう痛くないだろう。まあ、もう力は使えないだろうけどな」

「なぜです……なぜ私を殺さない……?」

「気が変わったんだよ。お前は怖がっていたからな」

「怖がっていた……?」

「ああ。お前、昔本当の自分を殺したんじゃないか?」

「……!! どうして分かるのですか……!?」

「理由は簡単だ。お前の力だ。本物のレオスになりたかったのだろう?」

「はっはっ。まったく、あなたはとんでもない奴ですね。そうです、私は本物になりたかったのですよ……。だからここにいます。

 本物の私よりも強くなって私こそが本物になるために。ですが結局は私を殺しただけで所詮は偽者です。こうして、今力を失ってやっと分かりました」

「いや、分かってないぞ。お前は確かに本物のレオスではないかもしれない。だけど偽者でもないぞ。お前はお前だ。

 別に本物になる必要はないだろう。だってお前はもうしっかりとしたレオスじゃないか」

「……!! 最後までよく分からない奴ですね、まったく。その言葉、心にしまっておきますよ。では、早くしてください」

 納得した面持ちでレオスは両手を差し出す。

 俺は暁教官にもらった手錠をそこにかけた。

 レオスはその後床に倒れる。多少痛みが残っていたのだろう。

「さて、これで終わりだ」

 俺は柊達に駆け寄った後、遠くで見物していた七瀬博に呼びかけた。

「嘘だ……こんなの……認めないぞ!!」

 そう言って彼は元いた場所へと走っていた。

まあ、逃げたのだろう。

「大丈夫か、二人とも?」

「ええ、何とか」

「私も大丈夫です」

 とりあえず、これで終わりかな……。

 すると、俺は全てをやり遂げたからか力がガクッと抜け倒れそうになる。

「だっだっ大丈夫、司!?」

「大丈夫ですか?」

「ああ、ごめん。少しやり過ぎたな」

「まったく、司は……」

 柊も七瀬も少し心配そうな素振りは見せるのものの俺に笑顔を向けてくれた。

 そう、こんな笑顔が見たかったんだ……。

 これが一番の正解だったな。俺はほっとする。

 俺はしっかりと体勢を立て直した。

「さてと、追うか」

「えっ? 間に合うの、司?」

「おいおい、何のために後ろから回っているんだよ……。それに暁教官と瀬那生徒会長もそっちにいると思うしな」

「そういうことね……」

「悪いな、七瀬。お前にはあまり気持ちのいいことではないよな……」

「いいえ、大丈夫です。私はお父様を助けるために来たのですから」

「そうだったな。じゃあ、行きますか」

 二人とも嬉しそうに頷く。

 俺達は彼の足取りを追った。




 



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