第十二話『笑顔をみるために』4
キィィィーン!!
剣と剣が弾かれる音がする。そして火花が散る。
俺達が相手にしているのはクローン。それも俺達を攻撃するために作られたクローンだ。
そんな奴らに慈悲はない。
今も俺達に容赦なく切り掛かっている。
数は四体。俺達の方が戦況は無理だ。
「くっ……!! なかなかやるな……」
俺は何とか目の前にいるクローンを弾き飛ばした。
「そんなことを呟いている暇はないわよ、司!!」
「ああ、わかってる!!」
再び能力消滅剣を構え俺は攻撃体勢になる。
俺達が戦っているさなかクローンを開発した当の本人は静かに俺達を眺めている。
くそっ……!! 神人の復讐の糧になってたまるかよ。
俺は目の前のクローンの攻撃を受け止める。多少は身体能力を通常の人間より高めているようだな。
だが、俺にはこの剣がある。
勝負は相手が再び攻撃を仕掛けてきたとき。俺がその攻撃を弾き、そして技を放つ。
俺に攻撃を受け止められるとクローンは俺と距離を置いた。
相手は無表情だ。どうする……? クローンといえど、相手に煽られたら買うだろう。
なら、確かめるか……!!
「ふっ。なあ、お前。クローンのくせに俺を倒させないのか? ほら、早く俺を倒してみろよ」
「……」
駄目か……。そう思った瞬間、
「……!!」
クローンは俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。
それも今までよりも速いスピードで。あの剣戟を受けたらひとたまりもない。
だが、これはチャンスだ。
相手が悪かったな、クローン。
速さに関しては俺は負けたことがないんだよ……!!
「はあぁぁぁぁ!!」
俺はクローンよりも速いスピードで動き、攻撃を弾いた。
そしてクローンが後退した瞬間。
俺は技、能力粉砕を発動させた。
白い光がクローンに直撃する。
一瞬動きが止まった後、無表情のクローンは床に倒れた。
さて、これで一体だな……。
「柊!! 七瀬!! そっちは片付いたか!!」
俺は周りに注意しながら二人に状況を尋ねた。
「はい!! 私は二体眠らせましたよ」
「二体も!? 私はまだ一体も……」
「おい、柊。よそ見するな!!」
「えっ……。やばっ!!」
また、こうなるのか……。
助けるしかないな。だが今回は少しばかり距離が遠い。
間に合うか……?
「ここは私が出ます!!」
俺があれこれ考えているうちに七瀬が二丁拳銃を構えすぐさま銃弾を放った。
「柊さん!! 伏せて!!」
「えっ。うん!!」
柊は七瀬に言われ急いで伏せた。
ぎりぎり銃弾をよけ、その銃弾はクローンに当たった。
銃弾を受けたクローンはすぐに気を失ったように倒れた。
よく見ると眠っている。さすがだな、七瀬。まさか、睡眠弾を持っているなんてな。
「これで全てだな。おい、クローンはもういないぞ。これで降参か?」
「お父様、終わりです。もうやめてください!!」
俺と七瀬は七瀬博に降参を促した。
まあ、もちろんこれだけで終わるはずないが。
現に彼はまだやる気だ。
「いやいや、まだまだ小手調べだよ。君達がこんな所で負けるはずがないからね。これからだよ」
「ふざけないでよ!!!!」
「待て、柊!!」
彼の発言に気を悪くした柊が彼に細剣で切り掛かる。
俺は止めようとしたが柊は動くのを拒むことはなかった。
「そうそう……これだよ。その憎しみに満ちた目。私はこれを待っていた。これぞ復讐しがいがある!!」
「何がよ……。勝手に私達を利用してるんじゃないわよ」
柊は細剣を彼の首筋に近づけながら怖い声音で話す。
だが、彼が柊に対して怯えている様子はない。それどころか楽しんでいる。
つまり彼にはまだ何か秘策があるのだ。だからこうして平然としていられる。
「利用……? まあ、それも一理があるがね。これはあくまで実験だ。だが実験であってただのつまらない実験ではないのだよ。すべては神人に復讐するためだ。それだけで実験は実験では無くなるのさ!!
レオス、やれ」
「かしこまりました、七瀬様」
「柊、後ろに下がれ!!」
「……!! かはっ!!」
突如現れたレオスという黒いマントの男によって柊は壁まで吹き飛ばされる。
柊の手から細剣が落ちる。
「柊!!」
「柊さん!!」
俺と七瀬は柊に駆け寄る。
「柊、大丈夫か!!」
「大丈夫よ……司……私は戦えるから……!!」
そう言って柊は力を振り絞るように立ち上がった。
「いいね……。私の計画にふさわしいシナリオだ。これでこそ、意味がある!!」
「黙れ……」
「……?」
「黙れよ。何がシナリオだ。何が意味があるだ……全部自己満足だろうが!!」
「なっなっ何を言っているんだ? 自己満足だと……違う!! そんなわけない!! 私は神人に復讐するという立派な計画が意思があるのだぞ!!」
「どこがだよ……。人を、神人を……そして自分の娘を傷つけて何が立派だ!! 七瀬がどんな思いでお前と過ごしていたと思うんだ!!」
「……!! 唄が……?」
「ああ。考えたことぐらいあるだろう……!! 七瀬はお前のことを本当に大切に思ってたんだぞ!! それを大の大人が裏切るつもりかよ!!」
「私は……私は……私は間違っていない!! やれ、レオス!!」
彼は隣にいるレオスに指示を出した。
そうか……そうかよ。
なら、俺も容赦する気はない……!!
俺は力強く剣を構えなおした。




