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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第十一話『少女は、仲間か復讐を選択する……』2

「酷い雨だな……」

 そんなことを呟くほどの冷たい雨が降り注いでいた。

俺は傘を差しながらいつもとは違う雰囲気の漂う通学路を歩いた。

 これは何かの前触れなのか……いや変に考えるのは止めよう。

それにこれは可能性の問題じゃない。救えるか救えないかどうかを考えている暇はない。

救うんだ、七瀬を……。大切な仲間として。

 さて、学園に着いたな。

 学園の校門に入ると沢山の生徒達が傘を差しながら登校している。中には忘れている人もいるけどな。

まあ、そんなことはどうでもいいか。

 俺は適当に感想を心の中で呟きながら学園内に入っていった。

「あれ、伊吹? そうか……今日はあいついないんだったな」

 いつもなら靴箱の前でばったり伊吹と会って一緒に教室に行くのだが、昨日の事件の事もあって今日は来ていない。

 その状況を寂しく思いながら自分の靴箱を開ける。

すると、開けた拍子に一枚の手紙が中から出てくる。

「何だ? 今時手紙を残すなんて珍しいな」

 もちろん俺が今手にした手紙がラブレターではないことは分かっている。

 俺は他の人に見られないように隠しながら手紙を開いた。


 放課後、闘技場で待ってます。

             七瀬 唄


 たった一言だけだった。まあ、要件は理解している。

そもそも俺も七瀬に話があるしな。

「と言うか、別に手紙で伝える必要なんてないんだけどな……」

 昨日最後七瀬から離れる時にも約束したからな。

手紙で書くほど七瀬も重要な話なのだろう。

 俺は一応手紙の裏も確認する。

……? 何か書いてあるな。

 手紙の裏にかすかではあるが、何か文字が書かれている。


 私を助けて下さい。


「七瀬……」

 俺はその言葉を見てつい七瀬の名を呼ぶ。

そうか、分かった。

 恐らくこれが七瀬の本当の気持ちだ。

七瀬だって普通の女の子だ。

 こんな気持ちがあってもおかしくない。あいつの中にも自分を救ってほしい気持ちが存在している。

それだけで俺が七瀬を救うのには十分だ。

 俺は七瀬の手紙を鞄にしまう。そして自分の教室へと続く廊下を歩き出した。

 階段を上っている最中に近くのステンドグラスを見る。

綺麗な白いコスモスと女神コスモスがそこには描かれている。

 まったくこんな時に俺は何してるんだろうな。

自信がないのだろうか。それとも怖いのか。

 どちらでもない。ただいつもとは異なるステンドグラスに心を奪われただけだ。

 今の俺は何かを失っていた気がする。

その失ったものを今、再び手にすることが出来た気がする。

 何か俺らしくないな……。いつもならもう少し問題児だったよな。って俺は問題児じゃないからな。

「ふっ」

 俺はつい笑ってしまう。

そうだよな、俺は俺らしくいればいいんだよな……。

 七瀬もそうしてもらいたいから話をするんだ。しっかりとした理由なんか必要ない。

ただありのままに生きてもらうために俺は七瀬を救う。

「まったく朝からなにを一人で笑っているのよ……」

 上から聞きなれた声が聞こえた。

「おはよう、柊。案外優しいとかあるんだな。もしかして俺の為に待っててくれたか?」

「……!? ちっちっ違うわよ!! 断じてそういうわけで待っていたわけじゃない……」

 俺が少し柊をからかうと、顔を赤く染めながら言い返してきた。

「そうだよな。柊もそのほうが可愛いしな」

「かっかっかっ可愛い!? この変態問題児!! いったいどっどっどういうつもりなの!?」

「すまんすまん。でも柊もお前らしく過ごせよ。七瀬の為にもさ……」

「七瀬の為……分かったわ。というかそもそも私は素直に暮らしているわ」

 威張るように柊は答える。そこ、威張るとこじゃないだろう。

 そもそも素直じゃないしな。

「どの口が言うんだよ……。お前、時々素直じゃないだろう」

「……うっうるさい!!」

「なぁ、柊? 俺、思うんだ。人間と神人が競い合っている世界だけどさ、本当は今の俺達みたいな平和な世界を目指しているんじゃないか。だからさ、俺と一緒に七瀬と会ってくれるか?」

「そうね。確かにこの世界は昔から絶えないわ。けれど私達みたいな生活を求めるのよ、きっと。うん、いいわよ」

「そうか、ありがとうな」

「別にいいわよ」

「じゃあ、放課後に」

「ええ」

 そんな会話を最後に交わし、俺と柊はそれぞれの自分の教室に向かった。

 

 

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