第十話『思いが交差するとき』6
「柊!!」
俺は店の中に突入すると、大声で柊に向かって叫ぶ。
「司……? 来てくれたのね……」
「私を忘れてもらっては困りますねっ!!」
柊に近くにいた黒いフードの男が柊に襲い掛かる。
一瞬、油断していた柊が何とか細剣で攻撃を防ぐ。って俺は見ている場合じゃない。
俺も柊に参戦しようと能力消滅剣を構える。
だが、
「来ないで!!」
「どうしてだ、柊?」
「うるさいっ!! とにかく、伊吹や瀬那先輩を避難させなさい!!」
「柊……」
どうやら柊は自分で事を片付けたいらしい。
くそっ……!! 柊の奴、勝手なことを言うなよ……。
でも、今はそんな事より伊吹達だ。
俺は辺りを見回す。
「……。伊吹!!」
店の端に青ざめた伊吹が座り込んでいた。
とりあえず、見た様子だと怪我はなさそうだ。
俺は伊吹の元へ駆け寄る。
「……司……司なの……?」
「伊吹、ここでいったい何があったんだ!!」
俺が伊吹に急いで尋ねると、弱々しい声が返って来た。
「き……急にここが爆発して……それで瀬那先輩が……」
「まさか瀬那先輩が……」
伊吹が酷く辛そうな顔を浮かべながら後ろに視線を移す。俺も同時にそこを眺める。
伊吹の後ろにいたのは気を失っている瀬那先輩だ。よく見ると右足に何かが刺さった後がある。
血は止まっているが重傷なのには変わりがない。
「瀬那先輩は僕達を守ろうとして……こほっ」
「もう充分だ、伊吹。後はここで待っていてくれ」
伊吹の真っ青な表情を見て、俺は話を切った。
ふざけやがって……。
どうしてこいつらまで巻き込まれるんだよ……。
俺の中で怒りがこみ上げてくる。
必ず柊達を守って見せる。俺はそう決心した。
「いいか、伊吹? ここから一歩も動くなよ、頼むぞ」
「……うん……分かった」
伊吹は俺の言葉に必死で頷いた。
「じゃあ、待ってろよ」
俺は一言そう言い放ち、その場を去る。
そして、柊と黒いフードの男の元へと迫る。
「中々やりますね……。この速さはもしや……あなたは神人ですか?」
戦いの中でその男は柊に尋ねる。
柊はそれに攻撃を払いながら、答える。
「ええ、そうよ!! だから黙って倒されなさい!!」
柊は反撃を仕掛けるように男に細剣を向けた。
すると、それをあざ笑うように男は話を続ける。
「くっくっ……。どうやら私がここに来て正解だったようです。ちょうどよい力を手に入れられそうです……」
「……力ですって?」
「はい、力です。私の固有スキルは威力吸収というものです……つまり……言いたい事は分かりますね?」
「あなたも神人でしかも固有スキル持ちの……」
「おやおや……まさかあなたはスキル無しでしたか。でも私には分かりますよ。あなたには強大な力が眠っている。それを私がもらってあげましょう」
「もらうっていったい何をする気なの……?」
「言ったではありませんか。私は力を吸収できるのです」
「……!!」
柊の驚きに男はにやりと笑う。
まずい……。こんな所で聞いている場合じゃないな。
俺は再び剣を構え直す。
その時、先ほどの柊の言葉を思い出す。
確かに俺は柊のことを幾度か助けている。でもだからって……責任感を感じる必要ないはずだ。
俺はただ大切な仲間として助けたいだけだ。
俺は間違っていない。助ける事は絶対に間違いじゃない。
俺はそれを信じる。
「ご理解頂けましたか? それでは、あなたの力をもらうとしましょう」
「えっ? 動かない、体が!!」
「もちろん、動けないようにしていますよ。さて、茶番は終わりです。私の力となってもらいますよ!!!!」
「させるかっ!!」
俺は何とか相手のスキルを消滅させた。
あっ危なかった……。
「司、来ないでって――」
「そんなの守れるか。死んだら意味ないだろう。お前は俺の大切な仲間なんだから」
「司……」
俺の言葉を聞き、柊は申し訳なそうな表情をしている。
「あらあら、邪魔者が来てしまいましたか……」
「悪い、俺は最強なんでな」
「ふっ、面白い……。なら、私に見せて下さい」
「ああ、見せてやるよ」
俺は男が襲い掛かる瞬間の間にこの武器だけの技を放った。
「なぁ!? いったい何が……」
男はその場に崩れ落ちた。
「言っただろ、俺は最強だってな」
「くっ……体に力が入らない」
俺は男に剣を向ける。
「もう二度と柊達を巻き込むなよ!! いいなっ!!」
「ふっ。ふはっふはっ!!!! そうですね、分かりました。巻き込みません、今は……」
「……!! お前、ふざけ――」
「また、どこかでお会いしましょう」
俺が言葉を放つ前に突如黒い煙が発生する。
俺と柊は必死で煙を払う。
「くそっ!! 逃げられたか……」
目の前にいた男はいなくなっていた。
こんな古典的なのに引っ掛かるなんて。俺は今の状況を生み出したことを悔いる。
「司、ごめん。私……みんなを」
「お前のせいじゃない、気にするな」
俺は柊を慰める。
そう、柊のせいじゃない。全ての俺の責任だ。
俺がもっと早く気付いていればこんなことには……。
俺は自分の不甲斐なさに近くの柱を拳で強く叩いていた。
だいぶ投稿スピードが落ちてきていますね……。なるべくこれ以上遅くならないように頑張ります。




