第十話『思いが交差するとき』5
今回だいぶ短いです……。
「いったいなんだ……」
俺と七瀬が食事を楽しんでいる時突如隣の店で爆発が起きたのだ。
俺は視線を悲惨な姿になった店に向ける。
ガラスや扉、壁などが全て大破していた。中にいる人達は大丈夫なのだろうか。いや大丈夫なわけがない。
俺だけでなく七瀬もその光景を見ていた。だが、七瀬は一瞬だけ悲しそうな表情を見せ、すぐに残りのモンブランを食べ始めた。
俺はその行為に疑問を持つ。
「おい、七瀬。早くここから離れないか?」
俺はここも危ういだろうと思い、七瀬に声を掛ける。
だが、帰って来たのは予想外な言葉だった。
「大丈夫ですよ、司君。ここに被害はありませんから」
「……!! それはどういう意味で言ってる?」
「そんな事気にしますか、普通。いいじゃないですか。ここにいれば、私達は誰にも邪魔されませんよ」
七瀬は最後の一口を食べながら、そう冷淡な声で言いきった。
俺は今の言動で七瀬が本当に内通者じゃないのかと思ってしまった。
やっぱり七瀬なのか……?
心の中で七瀬に対しての疑惑が募る。
どうする、俺。ここで確信に迫ることを聞くか。いや駄目だ。
まだ、時期じゃない。もう少し待つしかないのか……。
俺は時が来るまで待つことにした。
そして、俺は窓からテーブルに……。
「……嘘だろ!! なんで、あいつが!!」
俺が窓から視線を戻そうとした瞬間、柊としか言いようのない少女が黒いフードを被った男性と戦っているのが見えた。
どうして、あいつがよりもよって隣の店にいるんだよ……。いや、嘆いている暇はない。
俺が助けないとあいつを……。
俺は立ち上がり、
「悪い、俺…………どういうつもりだ、七瀬」
七瀬の傍を離れようとした束の間俺に銃が向けられる。
俺は七瀬に怖い声音を出す。そして七瀬も先ほどよりも冷酷な口調で返してくる。
「言ったじゃないですか? ここにいれば、誰にも邪魔されないと」
「やっぱり七瀬だったのか……内通者というのは……」
「内通者とは心外ですね。私は神人を復讐するためにやってきたんですよ。あなたには手を出しません。もっとも協力はしてもらいますが……」
「……協力?」
「ええ、協力です。司君、私と一緒に来てください」
「神人を復讐するためにか……? それなら、俺はなおさら行かない」
俺が強く言い張ると七瀬の動きが僅かであるが止まった。
「どうしてですか? あなたも神人の事を恨んでいるはずです」
「俺は神人を恨んだことはない。俺が恨むのは犠牲を惜しまない冷酷で最低な奴らだ。特に力を手に入れる為に平気で人や神人を苦しめる奴らが一番嫌いだ」
「…………」
七瀬は俺の言葉を聞き、黙り込む。
「俺は困っているみんなを助けたい。そして平和に暮らしたい。それが俺の思いだ。だから銃を下してくれ。七瀬も分かってるはずだ」
「……分かりました。今回は見逃します。ですがその代わり明日の放課後闘技場に必ず来てください」
「分かった、約束する」
俺は七瀬の願いを聞き入れる。
その返答を受けた七瀬はいつもの……違う。辛そうな表情を浮かべていた。
俺はそれを見て思った。
七瀬はきっと葛藤しているんだ。だからそんな表情を見せる。
俺が必ずそれを解いてやるからな。
そう決心しながら俺は七瀬の元から離れて行く。そして、俺は急いで隣の店に向かって走り出した。




