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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第九話『信頼と迷い』5

「…………」

「どうした、唄? 手が止まってるぞ」

 私――七瀬唄はお父様と食事をしていた。

茶色い長机の向こうにお父様がいる。私はその反対側だ。

 近くに執事さんが二人立っている。何かがあった時の為のようだ。

 私はいつも通りお食事をしているはずだった。

だけど、途中で手が止まっていたようだ。

 お父様は心配そうな表情で私に声を掛けた。

「……あっ。申し訳ありません、お父様」

 私は食事の手を進める。

なるべく、お父様に悟られないようにしなければ……。

「唄、もしかして今日の出来事に罪悪感を覚えているのか?」

 お父様はそう尋ねながら、私を真剣な目で見た。

どうやら、気付かれてしまったようです……。

 私は再び手が止まってしまう。そして、下を見ながら恐る恐る答えた。

「はい、お父様。いつもなら、こんな残虐な事はしなかったはずです。その事で私は気になって……!! ……無礼が過ぎました。申し訳ありません」

 私はただ質問を答えるだけでなく、心の中で思っていたことを口に出していた。

私は急いでお父様に謝罪した。しかし、お父様がお怒りになっているご様子はなかった。

 少しの間の後お父様は口を開いた。

「いや、気にすることはない。確かに唄にとっては辛いものであったと思うが、これも全て神人に復讐するためなんだ。私達が神の作り手ゴッドメーカーに参加しているのもそうだ。だから、心配しないでくれ」

 私はお父様の言葉に頷いた。

 そうですよね、お父様。

私達が、表向きは最先端医療などと言っているけれども、本当は神人を超える力を作り出す事が目的の集団に入ったのも神人を復習をするためですよね……。

 なら、私はお父様を信じないといけませんね。

私は心の中で再び決意する。でも、それでも私の中にあるわだかまりは消えなかった。

 それはなぜでしょう……?



 そもそも私やお父様が神人に復讐すると誓ったのは神人が私達の全てを奪ったからなのです。

 私が中学一年生の時、私は家とお母様を失いました。

それはもちろん神人達による行為でした。しかも、それは神人達の勘違いで行われたのです。

 私達だけではありません。私の住んでいた町は全て焼け野原にされました。

……許さない、絶対に許さない。私はその時、そう思いました。

 私達は神人達に対して訴えかけました。しかし神人達からは謝罪もなく、何事もなかったように無視されました。

そして、最後にこう言われました……。

『人間なんぞに、与えるものはない!!』

 私は酷い世の中だと思いました。

私はその後しばらく自分で殻を作り、誰とも話さなくなりました。

 そんな時に私に手を差し伸べてくれたのはお父様でした。

お父様はいつも私の間で笑っていました。裏では大変な目に遭っていたのに、それでも笑っていました。

 私はお父様が大好きです。いつでも優しく努力されていた。すべては私の為に。



だからこそ、今こんな疑問を抱いていたのでしょうか……?

 私は食事の手を進めながら、お父様に視線を移した。

……!! お父様が笑ってない……?

「いったい、どうした?今日は変だぞ、唄」

「もっ申し訳ありません、お父様……」

 今も笑顔を見せなかった。

少し怖いぐらいでもある。

 お父様、いったい何があったのでしょう?

私は不安になる。やはり、何か変です……お父様。

 とりあえず、お食事をしなければ……。

 私は再び手を進めた。



 × × ×



 私はお食事を終え、自分の部屋にいた。

いつもなら、私はすぐに入浴をし就寝に入っている。

 しかし、今日はそんな気分ではなかった。

「やはり、お父様の事が気になる……!!」

 私は自分の部屋がある三階かららせん階段を使い、お父様のいる書斎に向かった。

途中、執事さんに怪しまれたが何とか説得することが出来た。

 私が書斎に近付くとお父様と誰かの声が聞こえた。

どうやら、誰かと会話をしているようだ。

 よく眺めると書斎の扉が開いている。

 お父様、すいません……。

私は心の中で謝罪しながらも、どうして気になり書斎の扉の間から中を覗き込んだ。

 中にいたのは、お父様と黒いフードを被った男性だった。

 どなたでしょう、あの人は……?

今まで会ったことない人物だったので、私は少し疑問に思った。

 私は聞き耳を立てる。

「どうだ? しっかり処理はしたか?」

「はい、七瀬様。誰も私たちの仕業だと気づいておりません」

「そうか、ならいい」

 処理って事は……学園の神人に被害を与えたのはこの人なのですか……。

私は心が痛くなる。私達に無関係な人にそんな事をさせたのはとても気持ち良いことではない。

 私はその後も気になり、耳を澄ませる。

「例のあれは回収出来たか?」

「はい、もちろんです。それが私の固有能力、威力吸収パワースイーパーですから」

「そうだったな。本当に助かる」

「すべては七瀬様の為ですよ」

 えっ? 

私は耳を疑った。

 どうしてお父様が神人の力を……?

もしかすれば、私が思っている以上にお父様の計画は……。

 私には想像がつかなかった。

そして、私は少し怖くなってしまう。けれども、私は再び耳を部屋の中に向ける。

「ありがとう。君のおかげで、もう少しで完成だ」

「私も楽しみでございます。七瀬様の復讐がどうなるか楽しみです」

「きっとご期待に添えると思うよ。さて、次の段階に進めるか」

「くっくっ……。ついに私の本領発揮ですね……」

「ああ、頼むよ。今度はもっと暴れてくれ」

「はい、今度は神人だけでなく町ごとを……」

……!! 今のどういう事ですか……!?

 私はとんでもない事を聞いてしまった。

お父様は大量虐殺をするつもりなのですか……?

 私は足がすくみ、その場に座り込んでしまう。

その途端。バタンッ。

 お父様の書斎の扉が完全に開いてしまった。

「……!! 誰だ!!」

「おや、これはこれは七瀬様の娘さんではありませんか。中々美人ですね……」

 私は急いで去ろうとしたが、黒いフードを被った男性に見つかってしまった。

お父様も私の姿に気が付き、私の傍に寄ってくる。

「唄……。もしや、盗み聞きしていたのか?」

「本当に申し訳ありません、お父様。つい気になって……」

 私はぶたれる覚悟をした。

しかし、お父様から手が上がる事はなかった。

 お父様はため息を吐き、私を見た。

「まあいい。それよりも、聞いていたなら分かってるな? 次の段階に移行するぞ」

「ですが……町を巻き込むのは……」

「唄!! いい加減にしてくれ。すべては神人の為だと言っているだろう……」

「申し訳ありません……」

 私は暗い声でお父様の言葉に答えた。

「なら、私の言う事を聞いてくれるな?」

「はい、お父様」

 この時のお父様にも笑顔はなかった。

 



 

 

 これで、第九話は終わりです。いよいよ第二章も終盤に入ってきました……。まだまだ拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします。

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