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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第九話『信頼と迷い』3

 私こと柊成実は気が付けば、学生寮に向かって走っていた。

どうしても確かめたい事があり、居ても立っても居られない状態だった。

 私は見つけてしまったのだ……朝に七瀬が持っていた円盤の欠片を。

その欠片は今、私の手の中にある。これが、被害の原因とは限らないけれど間違っていないだろう。

 私がこの欠片を見つけたのは誰も知らない、いや誰にも知らせてない。もちろん、あいつにも。

だけど、もしかしたら私が欠片を発見した時あいつは私の様子を見て気付いていたかもしれない。

私は酷く動揺していたけど、あいつは聞こうとしなかった。

 そこは感謝している。私の事を信じてくれて私は嬉しかったのだろうか、少し心がポカポカする。

……これが信頼なのかな。って、私はいったい何を考えてるのよ!!

 今は優先すべき事がある。この欠片を調べなければ。

「はぁはぁ……着いた」

 私の住んでいる学生寮は学生寮と言うわりには、学園からだいぶ離れている。往復でだいたい五十分くらいだ。

他の学生寮は私が入学する前にはほとんど埋まっており、ここしか選べなかった。

 だけど、部屋は他の学生寮と同じで朝食と夕食は学生寮の食堂で食べられる。その代わり、自分の部屋は狭く他の神人と一緒に住まなくてはならない。

まあ、それぐらいは気にしない。ルームメイトがいるのも悪くないからね。

 とりあえず、学園から距離以外は文句ない。外装も木製だけど、とても綺麗だ。

 私が中に入ると食堂に向かう生徒達の姿があった。

そうか、もう夕方か……。

 時計の針を見ながら、心の中で呟く。

さて、私は自分の部屋に行かないと……。

 私は急いで自分の部屋がある三階に駆け上がる。

「ようやく着いた……」

 もう私はだいぶ息を切らしていた。

自分の部屋番号、305号室である事を確認し中に入る。

「ただいま……」

 私は靴を脱ぎ、部屋の中に入っていく。

今日も聞こえるわね、パソコンの音……。

 奥からはカタカタとキーボードを打つ音が聞こえる。

「…………あっ、おかえり」

 私の帰りに気が付くと、適当な挨拶が帰って来た。

挨拶をすると、すぐにパソコンに視線を落とす。

「うわぁ……。今日もまた酷いわね……」

 パソコンの周りには食べ物や服などが散乱していた。

まだ、私の所まで侵食していないだけマシだけどそれでも酷い。

「成実、片付けておいて」

「はぁ!? 何で私が…………まあ、いいわ」

 日頃お世話になってるからね……。

それに、今日は目の前にいる彼女に頼まないといけない事があるしね。

私は仕方が無く片付けを始める。

 掃除は得意な方なので、恐らく十分ちょっと終わるだろう。



「……これで最後ね。はぁ、疲れた……」

 要らない物全てをゴミ袋に詰めて、ようやく片付けが終わった。

十三分か……。少し掛かってしまった。

「お疲れさん……成実」

「本当よ、まったく」

 まあ、疲れてそうなのはあなたの方だけど……。

 彼女はルームメイトの伊織芙美いおりふみ

戦闘技術科国立機械メカニズム学園に通う一年生だ。

 機械メカニズム学園とはその名の通り、日本の中で最も機械に力を入れている高校と言われている。

そこに通う伊織は一年生にも関わらず学園有数の天才プログラマーと称されている。

 機械に関しては伊織はエキスパートである。私が困ったときにはよく手伝ってくれる。

ただ、それ以外には一切興味がなく女子の命である髪の手入れもしない。

 おかげで、綺麗なはずの紫色の髪はぼさぼさだ。私がよく直している。まあ、とても嫌がれるけど。

「伊織、また寝てないでしょ。今日も酷いクマよ……」

「別に大丈夫。私はパソコンがあれば何も要らないから」

「いや、睡眠はしなさいよ」

 私は伊織の眠そうな表情を見ながら、そう呼びかける。

まったくどんだけパソコンが好きなんだか……。

 私は呆れてしまう。

「今日は何をプログラムしているの?」

「宇宙エレベーターの動力源」

「凄いわね……相変わらず」

 そういえば、伊織の学園の目標は宇宙エレベーターを作る事だったわね。

伊織はそんなプロジェクトにまで関わっているのか……。

 私とは大違いね。まったく、自分は何をやってるのやら。

私は自分の情けなさについため息が漏らしたくなる。

「そういえば、今日は帰りが早かったわね。何かあったの?」

「うん、ちょっとね」

 心配そうな顔を伊織にされたので、私は心配させないような返事をした。

「ふ~ん、そう」

 そう言い、伊織は再びパソコンに視線を移す。

 さて、そろそろ頼むないと……。

私は掃除をするときに置いていた欠片を手にして、伊織に声を掛ける。

「ねぇ、伊織?」

「ん? 何、成実」

「実は頼みたい事が……」

 私が内容を話そうとした瞬間、誰かの空腹の音に邪魔される。

まあ、伊織なんだけど……。

 伊織は私の方を向き、

「食べないと死ぬ……私に食料を……」

食料をせがんできた。

「伊織、パソコンがあれば何も要らないんじゃなかったの?」

「今は別よ……お願い……もう空腹で倒れそう」

 再び伊織の腹から空腹の音が聞こえた。

伊織の表情を見ると、本当に食べ物が欲しそうだ。

「はぁ……。まったく、食堂に行くわよ」

 私は呆れた表情で伊織にそう言った。

「……うん」

 伊織に頼むタイミングを逃してしまったわ……。

頑張って頼もうとしていたのが馬鹿みたいだ。

「はぁ……。何で、こうなるんだろう……」

私はもう一度ため息を吐いた。


 



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