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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第九話『信頼と迷い』1

今回はいつもより短いです……。

 第一訓練場である少女の友人の悲惨な姿を発見してから一時間が経過していた。

気を失った少女は保健室に運ばれ、悲惨な姿になってしまった少女の友人は神人達の治療魔法を使い何とか一命を取り止めた。今、ちょうど近くの国立病院に搬送されたところだ。

 第一訓練場に残った俺や瀬那先輩達は何か手掛かりになるものを探していた。

「みんな、何か見つかったか?」

 瀬那先輩が周りに声を掛ける。

しかし、残念ながら手掛かりになるものは未だに見つかっておらず俺も含め全員が首を横に振った。

 その様子を見た瀬那先輩は小難しいそうな顔を浮かべた。

「そうか……。ここまで探してないとはな……。後もう少しだけ探すぞ」

 その指示で再び捜索を開始する。

恐らく、次の指示で手掛かり探しは終わるだろう。

 それぐらい俺達は第一訓練場の中を探したのだ。後は柊が担当している場所だな。

 俺は必死で探している柊の元へ移動する。

「柊、どうだ? 何か見つかったか?」

「今の所見つかってないわ」

 俺の問いに柊は答え、すぐに詮索を再開した。

 今、柊が探している場所は元々他の風紀委員がやるべき所だった。

だが、柊が自分も手伝いたいと言い今に至っている。

 ちなみに伊吹は先に帰宅しているだろう。

 それにしても、第一訓練場の四分の一を担当するのは無理がある。

俺の担当の場所はもう終わってるし、手伝うか。

「こんなに広いんだし、俺も手伝う」

「余計なお世話と言いたい所だけど……頼むわ」

 一言多いぞ、柊。

俺は心の中でそう呟きながら、柊の担当場所の手伝いをする。

 これで、少しは早く終わるだろう。

 それにしても、柊はなぜここを手伝いたいと言った理由が分からないな。

別に、探すのが得意な訳でもなさそうだしな。

 何か、責任でも感じているのだろうか。もしくはちょっとした罪滅ぼしでもしているのだろうか。

まあ、それはないな。

 とにかく、聞いてみるのが一番だ。

「なあ、柊」

「……? 何、急に」

「お前さ、何でここを手伝うって言いだしたんだ? 別にお前は今回の無関係なわけだし」

 俺がそう尋ねると、柊は動作を止め俺の方を見た。

「あなたに恩返しをしたいからよ」

「俺に恩返しを?」

「ええ」

 俺は少し驚く。柊が俺に恩返しか……。

打ち解けてくれたのは心から嬉しい事だが、何だか変な気分だ。

 それに、恩返しされる程の事を俺はしていない。もちろん、あの時助けた事もだ。

 俺が返答に困っていると、柊は再び口を開いた。

「まあ、あなたに貸しばかり作っていると少し癪だからって言うのが本当の理由だけどね」

「なんだ……そういう事か……」

「ちょっと、何でほっとしてるのよ」

 柊は俺の様子を見て、少しいじける。

柊がいじける理由は分からないが、それでもいつもの柊なのでほっとした。

「もういいわ。早くここも…………。……!!」

 柊が作業を再開させようとした瞬間、柊の動きが止まる。

もしかして、何か見つけたのだろうか。

「柊、何か見つけたのか?」

「…………」

「おい、柊!!」

「……えっ。あっ、うん。何かしら?」

 僅かではあるが、柊は俺の声に気付かなかった。

やはり何か見つけたのかもしれない。

 俺の声にようやく気が付いた柊は俺に聞き返す。

「だから、何か見つけたのかって」

「えっ。いや……ううん、何でもないわ」

「本当にか?」

 俺は今の柊の言葉が気になってしまった。

別に信頼していないわけではない。ただ、何やら隠している気がする。

 口調は冷静だが、冷や汗を掻いていてどうも冷静には見えなかった。

「べっべっ別に大丈夫よ!! 気にしないで、さっさとやるわよ」

「そうか……。なら、いいけどな」

 どうやら柊は俺に聞かれたくないみたいだ。

さすがに相談し合えるくらいまでは仲良くはなれていないか。

 まあ、仕方が無い。この事は聞かないでおこう。

「ええ、別に何もないから」

 冷静を装うように柊は答え、作業を続ける。

だが、やはり冷静ではなかった。手が震えていた。

 柊、いったいどうしたんだ……?

 この後、俺たちの中で会話が弾む事はなくこの作業も終わりを告げた。



 

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