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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第八話『思惑の中で』6

「ゴホォ、ゴホッ……。相変わらず容赦ないですね、瀬那先輩」

「…………ふん、当然だ。貴様が悪い事を言ったんだからな」

「……うっ。それはそうですが……」

 俺は少し咳き込みながら、機嫌の悪そうな瀬那先輩に話し掛ける。

今回も手加減なしだったな……まったく。いや、まあ俺のせいだが。

とにかく、俺はもちろん俺と共に撃たれた部屋は最新システムのおかげで大丈夫だ。

 後は、瀬那先輩の機嫌が直る事を祈るしかない。

 瀬那先輩の隣にいる生徒会長さんは何やら満足そうに瀬那先輩を見つめている。

やはり似てないな……瀬那先輩と会長。

 それは置いておいて、次からは身体的な話は止める事にするか。また、撃たれたくないしな。

俺が瀬那先輩に視線を向けると、瀬那先輩は拗ねたように視線を逸らす。

「瀬那先輩、もう言いませんから……。この通りです」

 俺は瀬那先輩に頭を下げる。

だが、瀬那先輩は顔をそっぽに向けたままだ。

 これじゃあ、無理か。瀬那生徒会長は協力する素振りなさそうだしな。

どうやら、俺はこういうのは苦手らしい。

 俺は情けなく自分の頭を掻く。

すると、瀬那先輩の口が開く。

「…………でろ…………」

「今、何て言いましたか?」

 あまりに小さい声だったので、俺は聞き返す。

聞き返すと瀬那先輩に胸倉を掴まれる。

「なっなっ何ですか、いったい」

「だから、私を撫でろと言ったんだ!!」

「はぁ!?」

 瀬那先輩の口からそんな言葉が出るとは思っていなかったので、俺は本気で動揺してしまった。

 撫でろ……撫でろと言ったか!? そんなあり得ない……。

俺が目を見開いていると、瀬那先輩が顔を真っ赤に染め泣きそうにながら理由を答えた。

「転校生の件でストレスが溜まってるんだよ!! だから、撫でろ!!」

 そういう事ですか……。

俺は少し瀬那先輩の気持ちが理解出来た。

 転校生の件で瀬那先輩は風紀委員として様々な仕事をしたのだろう。

その中には、色々と面倒くさい事があったのかもしれない。特に風紀委員長なら、なおさら。

 だが、その事を考えても正直意外だ。

瀬那先輩はそういうのでは気にしない人だと思っていたからだ。案外、心はまだ子供なのかもしれない。

 まあ、口には出来ないけどな。

 最後に俺に一番気にしている所を言われて、我慢が利かなくなったという事か。

そうだったら、申し訳ない事をしたな……。

 ここは瀬那先輩を撫でよう。

「分かりました」

 俺はそう一言答え、瀬那先輩を撫でた。隣にいる生徒会長さんが凄い羨ましそうに見ているがまあ気のせいだろう。というか、会長さん妹好き過ぎだろう……。

俺が頭を撫でると、瀬那先輩は少しずつ和んできた。

 だいぶストレスが溜まっていたようだ。

「瀬那先輩、もういいですか?」

「駄目だ、もっとだ」

 少し気持ちよさそうに瀬那先輩は答えた。いつまで撫でれればいいのだろうか……。

まあ、気が済むまで待つしかないか。

 俺は頭を撫で続ける。少しずつ瀬那先輩の顔が赤くなっている。照れるのなら止めればいいのに。

「……気持ちいい……司。ありがとう……だいぶ落ち着いた」

「じゃあ、もういいですよね?」

「駄目だ。私が止めていいって言うまでやれ」

「はいはい」

「ねぇ、お姉さんにはないのかしら?」

「ない」

「うぅぅ……そんな即答しなくても……」

 瀬那先輩に拒否された姉の生徒会長は今にも崩れ落ちそうになっている。

う~ん。まさか、今のが姉妹として似ているという事か?

 ここしかあり得ないな。俺は確信する。

 いつもは真面目に役目を果たしている二人には心の中で甘えたい気持ちがあるようだ。この結果は予想外だが。



「もういい……」

「やっとですか……」

 撫で始めてから、八分後。ようやく瀬那先輩から解放される。

瀬那先輩も生徒会長もいつもの姿に戻ったようだ。

 俺はそっと安堵する。

「次から気を付けろよ、司」

「はい、善処します」

 いつも通りの口調で瀬那先輩は俺に注意を促した。それに俺は頷く。

「そういえば、司。何で、私の部屋に居たんだ?」

 あっ。そういえば、俺は瀬那先輩に大事な事を伝える為に来たんだったな。

今の今まですっかり忘れていた。

「瀬那先輩にどうしても伝えなければいけない事がありまして」

「私に?」

 瀬那先輩はより真剣そうな表情をする。

「はい。もちろん、瀬那生徒会長にもです」

 一応、生徒会長にも知ってもらうべきだな。俺は生徒会長にも話を聞いてもらうように促す。

「ふうん……。少し面白そうね」

 生徒会長は少し楽しそうだな。あまり良い話ではないから、気を悪くしないといいが。

「実はですね……」

 俺が話を切り出そうとした途端。

 バタンッ!!

 俺たちの部屋の扉が強く開けられる。

「大変です!!」

「いったい、何があったんだ!!」

 一人の風紀委員らしき人物が息を切らしながら、入って来た。

瀬那先輩は席から立ち上がり、強く聞き返す。

「それが……ひとまず第一訓練場に移動してからです!!」

 余程重要な事なのか、ここで話す余裕はないらしい。

その風紀委員は急いで戻りたそうだった。

「仕方が無い……。司、悪いが話は後だ」

「はい、分かりました」

「私も生徒会長としてそれには同行させてもらうからね」

「分かってる。じゃあ、急いで第一訓練場に行くぞ!!」

 俺は瀬那先輩と共に第一訓練場に向かった。



 × × ×



 俺たちが第一訓練場に着くと、そこには人だかりが出来ていた。

中には柊や伊吹の姿もあった。

「おい柊、伊吹!!」

「あっ!! 司」

「待ってたよ、司」

 俺は柊と伊吹に声を掛ける。

すぐに柊と伊吹は俺の声に気付き、俺の元に近付いてくる。

「いったい何があったんだ?」

「それが……」

 柊はとある場所を指差す。

指を差した場所は第一訓練場の入り口だ。

「そこが、どうしたんだ」

「第一訓練場が急に入れなくなったの」

「開かなくなったのか?」

 俺の問いに柊は頷く。

表情を見るに、そこまでは焦っていないようだが。伊吹も同様だった。

「とにかく、入り口にいかないと分からないな。瀬那先輩、お願いします」

「ああ。風紀委員長の瀬那真央だ!! 近くにいる生徒は道を開けてくれ!!」

 すると、生徒たちは道を開ける。

さすが風紀委員長だな。瀬那先輩なら、なおさら力があるな。俺は改めて感心した。

「柊と伊吹はここで待っていてくれ」

 俺の指示に柊と伊吹は頷く。

俺は瀬那先輩や瀬那生徒会長に続き、入り口まで進んでいく。

 近くには風紀委員が四、五名と少し不安そうにしている少女がいた。

「瀬那風紀委員長!! 待ってました。それに瀬那生徒会長まで」

「遅れてすまん。状況を説明してくれ」

「はっ!! 第一訓練場にこの少女の友人が入った瞬間、ここの扉が開かなくなってしまいました。先ほどまで力がある者で、扉をこじ開けようとしたのですが……」

「扉を開ける事は出来なかったのだな?」

 報告をしていた風紀委員は頷く。

「そうか……」

「あの!! 大丈夫ですよね……?」

 報告が終わると、慌てたように一人の少女が瀬那先輩に尋ねる。

「まだ、何とも言えない」

「そうですか……。中には私の友人が……」

「分かった。すぐに対処する」

 状況を理解した瀬那先輩は姉である生徒会長に耳打ちをする。

瀬那生徒会長は頷き、扉に近付き魔法を唱える。

「魔力分析――マジックアライズ!!」

 そう唱えると、一瞬瀬那生徒会長の手から光が見える。

確か、これは柊も使っていた魔法だな。

 数秒後、瀬那生徒会長は口を開く。

「どうやら、魔法が使われているみたいね」

「やはりな。司、あれ・・を使ってくれ」

「はい、あれ・・ですね」

 俺は瀬那先輩に頼まれ、球体を取り出しそれに触れる。

すぐにその球体は形を変え、剣となった。

 その剣――能力消滅剣スキルキラーを持ち、俺は扉に振りかざした。

 すると、一瞬先ほどとは違う黒い光が見え、そして消えた。

これで、入れるはずだ。

「瀬那先輩。これで、入れますよ」

「ああ、そうだな。入るぞ」

 俺たちは必死の覚悟で中に入る。

少しずつ部屋の中で見えてくる。そして、謎の異様な匂いが漂ってくる。

 まさか、これは……!!

「君は見ない方がいい!!」

 俺は大声でその少女に言った。

だが、遅かった。

 その少女は見てしまった。友人の悲惨な姿を。

「いやあぁぁぁぁぁ!!!!」

 少女は悲鳴を上げる。そして、友人の傍に近寄る。

「嘘……嘘よ、こんなの!! どうして私の友人が……こんな目に……嫌だ……」

 少女は気を失ってしまう。

「……これは!! いったい……」

 瀬那先輩も少し青ざめている。

辺りは血で染まり、その友人の命はほとんど助からないだろう。

 くそっ!! もう始まっていたか……。

 暁教官に伝えられていたのに、俺は……何という事を。

俺はただ後悔し、そして瀬那先輩に情報を伝える事しか出来なかった。

「あいつらの仕業ですよ、瀬那先輩」

「まさか、この学園にか?」

「はい、神の作り手ゴッドメーカーです」

 周りにいる全員が俺の言葉に耳を疑った。

その中には、柊の姿もあった。



 これにて第八話は終了です。少し内容を修正するかもしれません。次回は第九話です。これからもよろしくお願いします。

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