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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第八話『思惑の中で』5

「伊吹、ちょっといいか?」

「……? 何、司?」

 帰りのHRホームルームが終わり、生徒達が鞄を持ちそれぞれの練習場に向かっている時俺は伊吹にあるお願いをした。

 伊吹は不思議そうに俺の方を見ている。そういう表情もやはり伊吹は可愛いな。

まあ、そんな事はいい。

「あのさ、今日俺休んでいいか?」

「えっ!? どうしたの、急に? どこか調子でも悪いの?」

 伊吹は俺に近付き、心配そうに呟く。

確かに、俺は今まで訓練を休んだ事はない。だから、伊吹が心配になるのも無理ないだろう。

 俺は伊吹を宥めるように話を続ける。

「いや、そういうわけじゃないさ。ただ、どうして話をしなければいけない人がいるんだ」

「話をしなければいけない人……?」

「ああ。だから、今日は休む」

「うん、それなら柊さん達にも伝えておくよ」

 どうやら分かってくれたらしい。俺はそっと胸を撫で下ろした。

伊吹に怪しまれたらどうしようかと思っていたところだ。まあ、伊吹は基本的に人を疑わない性格だからそんな事はしないとは分かっていたけどな。

 とりあえず、安心して俺は内通者あのことについて話す事が出来る。

「そうか、ありがとうな。伊吹にお願いして良かった」

 俺がそう言うと、伊吹はとびっきりの笑顔を見せた。

そうか。そういえば、前から自分の事を頼ってほしいって言ってたな。

 それが叶って嬉しいのだろう。

俺は伊吹らしいなと思いながら、伊吹に笑顔で返した。

「じゃあ、今日は柊達を頼む」

「うん!! 任せてよ!!」

 俺は最後にそう口にし、伊吹の元を離れた。

 さて、ここからだな……。

俺は手元にある資料を握りながら、話をする相手がいる場所に移動した。



 × × ×



 俺は目的の場所に着き、深呼吸をする。

まあ、目的の場所とは風紀委員室だ。つまり、俺が話をしたい相手は瀬那先輩だ。

 瀬那先輩なら暁教官の事も知っているので、話が早い。それに、幼馴染だしな。

「さて、入るか」

 俺はノックをする。

「…………いないのか」

 転校生の件で今日も忙しいのだろうか。それとも、たまたまいないだけか。

恐らく、後者の方だな。

 瀬那先輩は昔から特定の部屋で作業を行っている。今、トイレにでも行ってるのだろう。

それなら、待つしかないな。

 でも、一応扉が開いているかどうか確認しておくか……。

「……? 鍵が開いてるな」

 珍しい事があるもんだ。瀬那先輩はどこかに移動するときは必ず鍵を閉めるのに。

他に誰かがいるのだろうか。

 まあ、いい。とりあえず、開いているのだから入るしかない。

「失礼します、瀬那先輩」

 俺は扉に触れる。そして、中へと入った。

「……!! 何だ、これ!?」

 酷い散らかりようだ。辺りが資料にまみれ、歩くスペースが無くなりつつあった。

 瀬那先輩ってこんなに散らかす人だったけ……。いや、違う。

そもそも瀬那先輩はああいう性格だから、物をしっかりと整理整頓しているはずだ。

 それにこれはよく見ると、荒らされた後のようだ。何やら探し物をしていたご様子だな。

 でも、荒らし方から察するに瀬那先輩以外だと考えられる。どうやら、他に誰かがいるのは本当のようだ。

俺は辺りを見渡す。

「ん? 瀬那先輩専用の部屋の扉が開いてるな」

 いつもはがっちりと閉められている部屋が普通に開いている。

そこにここを荒らした人がいるな。

 俺は勇気を振り絞って中へと入る。

「うわぁ…………荒らし過ぎだろう、これ」

 その部屋は俺が居た部屋によりも荒らされていた。

いったい何がお求めなんだよ、まったく。

 俺がその部屋を見てため息を吐いていると、ガサガサっと何を漁っている音がした。

俺は周りに耳を傾ける。

…………ん? あそこか。

 どうやら、瀬那先輩がいつも座っている場所にその荒らしている犯人がいそうだ。

「う~ん? 誰か、いるのかしら? ねぇ、少し手伝ってくれない?」

 俺の気配に気付いたらしい。俺の予想していた場所から女子の声が聞こえる。

少し大人びた声に聞こえた。恐らく俺より先輩だろう。

 とりあえず、俺はその人物を確かめる為その場所に近付く。

「…………はぁ!?」

 俺はその人物を見て、とても驚いてしまった。

何で、この人が瀬那先輩の部屋を漁ってるんだ……?

 俺には疑問がしかなかった。

相手も俺の姿に気が付いたようだ。

「あら、あなたは問題児さんじゃない~。こんな所で会えるとは、私って運がいいかも」

 青い長髪をなびかしながら、俺を見て嬉しそうに微笑む。

その女子いや女性は一言でいえば超絶美人だ。そして、何よりもスタイルが良くて成長するところは成長していてまさに男子の理想の女性だ。

 こんな漁っている動作でも輝いて見える。でも、どうしてそんな人が……?

俺はさらにわけが分からなくなる。

「あなたは確か……生徒会長の…………」

 駄目だ、名前が出てこない。

こんな美人な人の名前を覚えていないなんて、俺どうかしてるな。

そんな風に自分を責めても、名前は出てこなかった。

 俺が少し冷や汗を掻いていると、その美人な生徒会長は俺を見て笑った。

「ふふっ。うんうん、茶目っけが合って可愛い!! 私は生徒会長の瀬那麻里せなまり。よろしくね、問題児さん」

 そう言い、瀬那生徒会長は埃を払いながら立ち上がった。

そして、俺をじっくりと見てくる。というか、近い近い。凄い良い匂いするし。

色々と勘弁してほしい。

 それにしても、生徒会長にまで問題児呼ばわりされているのか。

もう、これは諦めるしかないな。

「それで、この学園の生徒会長さんがここで何をしてるんですか?」

「あら、分からないかしら。では、問題。どうして、私はいも…………いや風紀委員長の部屋を漁っているのでしょうか!!」

 何でクイズにするんだ、この人は。と言うより、今答えを言い掛けなかったか?

まあ、仕方が無い。少し考えてみるか。

 そういえば、生徒会長さんの名前は瀬那麻里だったな…………って、あれ?

俺は何か引っ掛かった。

 瀬那ってその苗字は……瀬那真央先輩と同じ苗字だ!! と言う事は、生徒会長と瀬那先輩は従妹関係にあるかもしれない……。

「瀬那真央先輩の物を探して、瀬那先輩の何かを知りたかったから……」

「う~ん。その何かが気になるけど……私、優しいから正解にしちゃう。正解は可愛い妹の生活をチェックするためでした!!」

「えっ、妹? 嘘ですよね、そんなの……」

 そんなのはあり得ないぞ……そんな事は万一もないはずだ。

生徒会長と瀬那先輩って体格も性格も全く似てないじゃないか。

 俺は今までに味わった事のない驚きを覚えていた。

「驚くのも無理ないと思うけど、事実よ」

「…………こんな事がまさか現実にあるなんて」

「ふふっ。そんな表情をしている問題児さんも悪くないわね」

 俺の様子を見て、瀬那生徒会長は楽しそうだ。

まあ、驚いても仕方が無いか。これが現実。

認めるほかはあるまい。

 俺がようやく落ち着きを戻すと、

「何だ!? これは!!」

隣の部屋から瀬那先輩らしき声が聞こえた。

「噂をすれば……来たわね私の可愛い妹」

 それにしても、あの先輩は可愛い扱いするのはさすがお姉さんだなと思う。

普通なら、可愛いという印象は出てこないだろう。

「……!! やはり、姉さんの仕業か!!」

 その声が聞こえたと同時に、俺達がいる部屋が強く開けられる。

「姉さん!! また、こんなに荒らして!!」

「いいじゃない~。可愛い妹の生活が知りたいのよ」

「そんなの知らなくていいから!! って、司!? 司も一緒だったのか」

 瀬那先輩は大きなため息を吐いた。

「いやいや!! 俺は何もしてないですから!!」

 俺は全力で否定をする。

「分かってるよ。こんな荒らし方をするのは姉さんだけだからな」

「あら、私の特徴を理解しているのね。やっぱり可愛い、真央」

「うるさい!! 姉さんは早く片付けなさい」

「もう~冷たいんだから。もう少し、妹は妹らしくデレなさいよ」

「誰が姉さんの為にデレるか!!」

 やはり似てない。

今の言動、素振り……その全てが似ていない。とても姉妹とは思えない。

「あの、瀬那生徒会長?」

「あら、何かしら?」

「本当に姉妹何ですか?」

「そうだけど」

「いや、絶対似てる要素がないんですが。特に胸の大きさとか……」

 俺がそう言った瞬間、俺の腹部に瀬那先輩のラリアットが喰らわされる。

「ぐはぁ!!」

 この人、鬼だ。今の眼つきも怖すぎる。

「次、言ったら殺すからな」

「はい……すいませんでした……」

 俺の腹部から瀬那先輩の鉄拳が離れて行く。

 うっ……!! 結構痛いな、これ。

「相変わらず乱暴者ね。そんなんだから、背も胸も大きくならないのよ」

「うるさい!! そんなものは邪魔でしかないのだから、必要ない!!」

 瀬那先輩は姉に痛い所を指摘され、顔を真っ赤に染めている。

予想通り気にしてるんだな、瀬那先輩。

 俺はつい笑ってしまった。

すると、銃口を向けられる。

「どうやら、死にたいようだな」

「待って待ってくださいよ!! 今の決して瀬那先輩の胸が小さいから笑ったわけじゃ…………本当ですから!! お願いですから、下してください!!」

「うるさい!!!! この問題児めが!!!!」

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 そして、俺は今日もまた瀬那先輩に殺されそうになった。

はぁ……。俺はいったい何をしているのだろうか。




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