第八話『思惑の中で』4
読者様から文章が読みにくいという指摘がございましたので、今までの文章を読みやすいように改稿しています。少しずつ読みやすいように直しますので、これからもよろしくお願いします。
「もしもし……お父様?」
私――七瀬唄はお昼休みにお父様に電話をしていた。
電話を掛けてから数十秒後、お父様の声が聞こえる。
『おお、唄。どうだ、例の計画は?』
いつもより真剣そうな声で私に今の状況を尋ねてきた。
「はい、一応準備はしました」
私は朝の出来事を報告する。
いつも今日の柊さんのように朝早く登校しているわけではない。
今日朝早く来たのは、もちろん計画を実行に移すためだ。本当はこっそりと準備したかったけれども、柊さんがいたのでごまかすのがやっとだった。
でもとりあえず何とか設置する事は出来た。ただ、私には少し引っ掛かる。
『よくやった、唄』
「ありがとうございます、お父様。あの、一つ質問してもよろしいですか?」
『ん? 言ってみろ』
お父様に質問の許可を頂き、私のありのままの気持ちを交えながら伝える。
「今回の計画は神人に復讐するためにしている事ですよね?」
『ああ、そうだが。急にどうしたんだ、唄?』
「いえ、あの……やはり何でもありません……」
とても何かが引っ掛かる。いつものやり方と違う気がする。
私は謎の感情に揺れていたが、お父様には言わなかった。
いつもは気にしてませんけれど…………今回は……。
神人を利用する計画なんて……私のお父様が珍しい……。
私にはそれが一番気になっていた。その事で気になって聞きたかったが、私はためらってしまった。
『まあ、唄には重い仕事かもしれないかもしれないな……』
「いえ、別にそういうわけじゃ……!!」
『そうか? なら、いいんだが。とにかく、この計画は重要だ。失敗のないように頼むよ』
「はい、分かっております」
『お前が娘で良かったと思ってるよ。じゃあ、よろしく』
「私もです、お父様!!」
最後にお父様の優しそうな笑い声が聞こえて、電話は切れた。
さて、私のこれからの仕事は経過を見守る事だ。
とりあえず、ここにいても仕方が無いですね……。
私が計画について考えていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「おお、七瀬か」
「こんにちは、司君」
私の計画でも重要な人物である司君が私の前に立っていた。
少しだるそうにしている。あの風紀委員長と今日もまた何かがあったのだろうか。
「今、暇か?」
「はい、そうですけど……」
私がそう答えると、司はそっと胸を撫で下ろした。
「どうかしましたか?」
「いやあ~それがさ……俺の友達にお前が俺たちのチームに加入した話をしたら、ぜひ今すぐ会いたいって言いだしてさ。それで、お前を探していたんだ」
なるほど、そういう事ですか……。
前の学園に居た時もこういう話があった。けれど、神人たちは……。
『どんなに強くても所詮人間でしょ? 無理無理、私たち神人の敵じゃないわ』
そんな風に私を軽くあしらった。私の実力もしらないくせに……好き勝手言って。
私は拳を強く握る。
「ふざけないでください!!」
「どっどっどうした、七瀬?」
「あっ、すいません。ちょっと昔の事を思い出してしまって……」
怒りのあまり私は声に出してしまったようだ。
司君が心配そうな顔をするのも無理ない。
私は急いで司君に謝罪した。すると、私に笑顔を向けた。
「心配するな。俺の友達はお前を傷付けないから」
まるで、私の事情を知っているような優しい声でそう言った。
司君はとてもいい人なのかもしれませんね……。心の中でそう思った。
「分かってますよ。問題児は優しいですからね」
「褒めるのかけなすのか、どちらかにしろよ……」
「そうですか? 私は褒めてるつもりですが?」
「嫌味にしか聞こえないのだが……」
「そんな事ないですから!!」
「……だといいけどな」
少し恥ずかしそうに司君は答えた。
案外、こういう可愛らしい所もあるんだな。ますます気に入ってしまいます……!!
確かに、素晴らしい適任者だ。でも、今は少しためらいが私の中に出来てしまっている。
まさか、会ってからすぐにこんなに変化してしまうなんて……。
「まあ、いいや。とりあえず、ついて来い」
「はい!!」
私は司君に会いたがっている友達の所へと案内してもらった。
× × ×
「へぇ……ここの学園ってこんな部屋があるんですね」
「まあ、そうだな……」
私が案内されたのは、女神学園にある食堂の奥のVIPルームだった。
さすが、VIPルームだけあってとても豪華な部屋だ。私も大変豪華な家に住んでいるが、ここも負けていない。
前から寄ってみたいとは思っていたところだ。
私は奥に視線を向けると可愛らしい男子……確か伊吹君、その隣に目を輝かせている女子がいた。
私と司君が二人のいる場所に近付くと、今にも何か聞きたそうな表情をしている女子が立ち上がった。
「紹介する、俺の友達の」
「どうもどうも、皐月美花です!!」
司君の紹介を遮った明るい女子は皐月美花さんというらしい。
その明るさはいつもの事だろうか。隣に座っていた伊吹君が少し苦笑いをしている。
一方、邪魔をされた司君は少し嫌そうな顔をしている。
「おい、俺が紹介しようとしてんのに……」
「まあまあ、細かい事は気にしないの!!」
「はいはい、分かったよ。はぁ……」
「もう、本当に冷たいんだから~。この問題児め!!」
「問題児は関係ないだろう……」
司君は諦めたように近くにある椅子に座り込んだ。
それを見た皐月さんは何やら企んでいるような笑みを浮かべた。
私は身構える。だが、その笑みはすぐに消え普通の笑顔に戻った。
「初めまして。もう一度自己紹介するけど、私は皐月美花。この問題児の友達だよ」
「ええ、初めまして。ご存知だとは思いますが、私は七瀬唄です。よろしくお願いします」
私が挨拶をすると、皐月さんは握手を求めてきた。私はこっそりと制服についているエンブレムを見た。見たところ、どうやら人間のようだ。
私は喜んで皐月さんと握手をする。皐月さんも嬉しそうだ。
「それで、私に聞きたい事とは?」
「そうだったね!! ずばり、どうしてこんな問題児のチームに入ったの?」
「だから、俺は問題児じゃないからな……」
「司は黙ってて。それで、どうして?」
私は少しどう答えようか迷ってしまう。
計画を知らないためにはこうするしかありませんね……。
私は顔に手を当てて答えた。
「私、問題児が大好きなんです……!!」
「えっ? そうなんだ……」
予想だにしていなかった答えが返って来て、皐月さんは困惑している。
司君も少し困った表情をしている。
「なあ、どうして問題児が好きなんだ?」
まあ、聞きたくなるのも仕方がないですよね……。
ここまで来たら、私もしっかりと答えるつもりだ。
「問題児ってトラブルメーカーの象徴じゃないですか~。そこに憧れます……」
「まあ、確かに司はトラブルに巻き込まれる体質だけど」
「おい、勝手に変な体質をつけるな。違うよな、伊吹?」
司君は伊吹君に助けを求める。
「それは……事実じゃないかな」
「うっ……!! 伊吹まで!!」
「まあまあ。とにかく、よく分かった。ありがとうね、七瀬ちゃん」
とりあえず聞きたい事は聞けたのか、皐月さんは満足そうにお礼の言葉を口にする。
確かに、私を傷つけるような人はここにいないようだ。
「はい、お役に立てたなら嬉しいです」
「うんうん。問題児にピッタリだね!!」
「何を根拠に話をしているんだ、こいつは」
「まあ、仕方が無いよ。そこは我慢をしようよ、司」
「ああ、そうだな」
司君は先ほどの元気を取り戻したようだ。伊吹君は顔通りの癒し系の男子のようだ。
まあ、そんな事は関係ありませんね……。
「そういえば、七瀬は食事をしたか?」
「あっ!! まだ、してませんでした……」
すっかりその事を忘れていた。それほど、この時間が楽しかったのだろうか。
私が困っていると、皐月さんが指を鳴らす。
「なら、ここで食べていくといいよ」
「えっ? いいんですか?」
「私を誰だと思ってる?」
自慢げに皐月さんはそう言う。
「じゃあ、ここは皐月さんの場所だったんですね!!」
「うん、そうだよ」
話をしていると、ウエイトレスが皐月の元に来た。
「何がいい?」
「別に何でもいいですよ」
「そう? なら」
皐月はウエイトレスに耳打ちをした。ウエイトレスは頷き、食堂の方へ向かっていった。
「何を頼んだのですか?」
「勝利セット」
「勝利セット……?」
何でしょうか、それは?
聞いた事がない料理名だ。
「お前、そんな料理頼むなよ」
司君が呆れた表情をしている。
「まあ、いいじゃん」
「はぁ……。とにかく、七瀬」
「はい? 何ですか?」
「これからよろしくな。俺たちは絶対にお前を傷付けないから」
「……!! はい……」
最後に司君に真剣な表情で言われ、私は戸惑ってしまった。
本当に良い人なのかもしれない。
こんな人を私たちの計画の為に利用してもいいのでしょうか…………お父様?
私にはそんな気持ちが渦巻いていた。
そういえば、また二日置きになってしまいましたね……。最低でも投稿してから二日後までには投稿するように頑張ります……。




