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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第七話『問題児好きの少女』5

 また二日置きになってしまいました……。何度もすいません。

「はぁはぁ……」

「さすがに、今日のは応えたわ……」

「僕、もう限界だよ……」

「みなさん、大丈夫ですか?」

 俺たちは以前訓練の内容をもう少しハードなものにした訓練をし、疲れ果てていた。

さすがに、あれ以上お掃除ロボットの速度を上げるべきではなかったか。

 最近の課題はとにかく基礎体力だ。体力が戦闘でもやはり重要視される。柊や伊吹には長時間の戦いになった時の為に、体力作りをしてもらっている。

だが、最近少し飽きつつあったので、そのカンフル剤としてこれをしたのだが……。

「さすがに、これは無理があったな」

「そうよ、やり過ぎよ……」

 俺の意見を聞きながら、柊は俺に対して少し怒り気味で言う。

 伊吹は言葉を発する余裕もないようだ。

俺も伊吹と同じように、言葉を失いかけていた。

「本当に大丈夫ですか?」

 俺たちが疲れて果てている中、一人だけ平然と立っている七瀬は俺たちに水を差し出す。

水を受け取ると、俺たちはすぐに飲み干した。

 少し気が楽になった。水のありがたさが改めて分かった気がする。

「それにしても、七瀬は凄いわね……」

「そうですか? 私にとっては普通ですが」

 柊が七瀬に感嘆の言葉を発すると、七瀬は淡々と答えた。

それを聞いた柊は呆気にとられている。

「私にとって意外だと思ったのは、神人なのに体力無い事ですね」

「ぐっ……それは事実だから否定出来ないわ……」

 七瀬に痛い所を突かれて、柊は渋い顔をしている。

 確かに、柊は神人の割には体力が劣っている。

それも最弱と呼ばれている理由の一つかもしれない。

 それに比べ、七瀬はとんでもない程の体力だ。

限界が無いんじゃないかと思う位一切疲れた様子を見せない。

 敵だったら、絶対に戦いたくない相手だ。

「まあ、気にするな。柊は、神人の中で最弱だから」

「なっ……!! なんで、その事言うのよ!!」

「なるほど!! 納得しました」

「七瀬も勝手に納得しないで!! と言うか、少しぐらい否定しなさいよ!!」

「でも、事実ですよね?」

「それは……そうだけど」

 七瀬に再び痛い所を突かれ、柊は黙り込む。

そして、俺を強く睨んだ。

 俺は一応頭を下げておく。

 すると、少し顔を染めて柊はそっぽを向いた。

案外、純粋だな。俺はそう思った。

 とりあえず、少しは七瀬も柊たちと馴染めたっぽいな。

じゃあ、そろそろ終わりにするか。

 そう思いながら、訓練場に掛かっている時計を見ると下校時間を過ぎていた。

「やばっ!! 早く、帰ろう!!」

「えっ!? もう、こんな時間なの!?」

「早く帰ろう……」

 俺と柊はほとんど同時に驚いていた。 

伊吹は今にも倒れそうな声でそう言った。

 帰りは一緒に帰った方が良いかもな。

今日使ったものを片付けなければ……。

「皆さん、もう帰っていいですよ」

 俺が色々と考えていると、七瀬がそう言った。

「いいのか、七瀬?」

「はい、今日はありがとうございました。後は、私でやっておきますから」

 そこまで言うのなら仕方がない。

あまり良い気持ちはしないが、ここは七瀬に任せよう。

「じゃあ、悪いな。片付け、よろしくな。柊、伊吹行くぞ」

「分かったわ。ありがとうね、七瀬」

「別に構いませんよ」

 柊と伊吹は軽く頭を下げ、俺と共に訓練場を去った。

 最初は少し不安だったが、とてもいい奴だな。

その時の俺はそう思った。



 × × ×



「これで、最後ですね」

 私――七瀬唄ななせうたは司君たちの片付けをしていた。

 今日使ったものをまとめた箱を上に乗せる。

少し重いけど、これぐらいなら大丈夫そうだ。

「よいしょっと……。ようやくですね……」

 自分でやると言ったものの、結構時間が掛かってしまった。

 早く帰らないと、さすがにまずいですね……。

下校時間はとっくに過ぎている。

 私は鞄を持ち、倉庫から出る。

誰もいないようだ。さっさと、帰ろう。

 私がそこを去ろうすると、

「何をしてるんだい?」

後ろから声がした。

 私は恐る恐る後ろを振り向くと、優しそうな顔をした食堂のおばさんがいた。

 確か、あおさんと呼ばれていた気がする。

見た感じだと、怒っている様子はなくむしろ私を心配している様子だ。

「すいません。片付けをしていたら、こんな時間になっちゃいました」

「いいんだよ、謝らなくて。とりあえず、校門まで送るからついてきな」

「あっ、はい」

 私は言われるがままに、蒼さんについていく。

見上げると、もう日が沈んでいた。

 待たせてるかな……お父様。

私は少し心配になる。

「そういえば、あんたは昨日来たばかりの転校生の一人でしょ?」

「はい、そうです」

 蒼さんの質問に私は答えた。

すると、私に白い歯を見せて笑った。

「そうかい。見たよ、転校生実力披露会。凄い射撃よね、本当に」

「ありがとうございます」

 私はお礼を蒼さんに言った。

何やら私の事を知りたいようだ。

「ご存じだとは思いますが、私は七瀬唄と申します」

「七瀬唄……うん、覚えたわ」

 蒼さんはまた私にとびっきりの笑顔を見せる。

今は日が沈んでいるせいで少ししか見えないが、それでもその笑顔は輝いていた。

 少し蒼さんが人気な理由が分かった。

「なら、唄ちゃんって呼んでいいかしら?」

「唄ちゃんですか……?」

 嬉しそうに蒼さんは頷く。

 唄ちゃんなんて呼ばれた事がなかったから、何だか新鮮な気分だ。

特に嫌な所は見つからない。

「別に構いませんよ」

「そう、ありがとうね。私は気に入った女の子にはちゃん付けで呼ぶの」

「そうなんですね……」

「さて、楽しい話も終わりみたいね」

 前を見ると校門前で来ていた。

私としても結構楽しい一時を過ごせた。

「じゃあ、私は……おや?」

 蒼さんは校門前に誰かがいるのに気付いたみたいだ。

 そこに居る人はこちらに近付いてくる。

蒼さんは少し警戒する。

 私を守っている。だが、それは杞憂に終わる。

その人の顔をはっきりと見える。

「心配したよ、唄」

「お父様!!」

「何だい、お迎えかい?」

「はい、ここまでありがとうございました」

 お父様も私に合わせてお辞儀をする。

私よりも数十センチ高いお父様は私の横で笑みを見せた。

「すいません、うちの娘がご迷惑をお掛けしました」

「礼なんて要らないさ。とても楽しい話が出来たからね」

 そう言って、私に向けて微笑む。

私もそれに笑顔で返す。

「それでは、私はこれで。じゃあね、唄ちゃん」

「はい、さよなら」

 蒼さんは私に挨拶をしてその場から去って行く。

「さて、私たちも帰ろうか」

「はい、お父様」

 私はお父様と一緒に銀色の車に乗る。

運転席には執事さんがいた。

「待たせたな、出発してくれ」

「かしこまりました」

 お父様の指示を聞いた執事さんは車を発車させる。

走っている途中で見える並木道が少し感慨深い。

「それにしても、お父様」

「ん? どうした、唄?」

「お父様はもう少し普通の気配が出せないのですか。あの人も少し警戒してましたよ」

 私は顔を少し膨らませながら、そう口にした。

すると、お父様は笑い私の頭を撫でた。

「すまんな。次から気を付けるよ」

「はい、そうしてください」

 お父様は手を頭から離した。

すると、少し真剣な表情をする。

「どうだ、この学園は?」

 私はその一言で例の計画・・・・を差している事が分かった。

 そう、私はその計画の為にこの学園に転校してきたのだ。

今までもそうして転校してきた。

 けれど、それは今回で終わりそうだ。

「はい、丁度良い適任者を見つけました」

「そうか。ついに見つけたんだな」

 そう言い、再びお父様は私の頭を撫でる。

「偉いぞ、唄」

「ありがとうございます、お父様」

「ようやく計画を実行する事が出来る。必ず神人に復讐するぞ」

「はい、お父様」

 全ては私たちを傷付けた神人に仕返しをするため。

その為に利用させてもらいますよ…………涼風司君。

 私はそっと微笑んだ。

 これにて、第七話終了です。次回は第八話です。これからもよろしくお願いします!!

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