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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第二章 加入編
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第七話『問題児好きの少女』1

 まったく……。本当に俺はついてない。

俺こと――涼風司すずかぜつかさは五月からいきなり寝坊し、遅れそうになっていた。

「なっなっ何で俺がこんな目に……」

 俺は走りながら、そう呟いた。

そんな中、ある出来事がフラッシュバックする。



 今から二日前。

「えっ? 加速魔法を教えてほしい?」

「頼む、教えてくれ」

 俺は柊成実ひいらぎなみに加速魔法を教えてもらうために、必死で頼んでいた。

柊はとても嫌そうな顔をしたが、了承してくれた。

「はぁ……。あなたはそういう人だから、別にいいわよ。教えてあげる」

「ありがとうな、柊」

「……!! お礼なんていらないわよ!!」

 俺と柊はだいぶ仲良くなった気がする。

ただ、俺がお礼を言うと、顔を真っ赤に染め渋ってくる態度は今も変わっていない。というか、段々酷くなってきている。

 柊も色々あるのだろう。あえて俺は深追いしないでおく。

「じゃあ、教えるわね。加速魔法は二種類しかないわ」

「二種類しかないのか?」

 魔法って言うもんだから、加速魔法も沢山あるものだったと思っていた。

俺は普通に驚いてしまう。

 柊が少し呆れている。俺の心理が読まれてしまったようだ。

「そうよ。一つは自分だけを加速する魔法。もう一つは自分以外を加速する魔法よ」

「なあ、柊? 一つ目は分かったけど、二つ目は魔法として無意味じゃないか? 自分以外を加速させるという事は自分だけ遅くなるという事だろう」

「まあ、確かに二つ目の加速魔法は自分に使ったら意味がないわね」

「と言うと……もしかして」

「そう、対象を変えれば加速魔法としては充分役割を果たすわ」

 柊が少し鼻を高くしながら、説明する。

もしかして、いつも俺に負けているから魔法の観点で勝てて嬉しいのだろうか。

 俺は心の中で笑ってしまう。

 案外、柊はそういう子供っぽい所があるから可愛いんだろうな。

そう思った。

「ふっ」

「何よ? 急に」

「すまんすまん、ちょっとな」

「まあ、いいけど……。それで、どちらの加速魔法を教えてほしいの?」

 柊にそう尋ねられる。う~んどうしようかな……。

 どちらも俺にとっては必要な魔法だ。とはいえ、今は一つに絞った方がいい。

 あいつら・・・・に感づかれたら困るしな。

「そうだな、一つ目の加速魔法で頼む」

「そう……やっぱりそっちを選ぶのね」

「ああ、俺はもっと速くなりたいからな」



…………あっ。そういえば、俺は加速魔法が使えるんだった。

 二日前の出来事を思い出し、俺は早速試してみる事にする。

「疾風のように加速せよ――超加速ハイダッシュ!!」

 俺がそのように唱えた瞬間、体がとても軽くなる。

そして、走り出すと人間とは思えない程の速さで走り出せた。

「おお、凄いな!!」

 俺は走りながら、感心してしまう。 

よし、これなら間に合うな。

 そう思っている内に、女神コスモス学園の中に入る。

「よし、教室前まで後少しだ!!」

 俺はさらに加速する。

すると、また二日前の出来事を思い出す。



「凄いわね……相変わらず」

 俺は柊に加速魔法を教えてもらってから僅か五分でマスターしていた。

柊は感嘆の表情を見せている。

「まあ、俺は最強だから」

「その口癖も相変わらずね」

 俺の言葉に柊は呆れた表情を見せる。

「でも、加速魔法はあまり使い過ぎない方がいいわ」

「えっ? 何で?」

「加速魔法は徐々に加速していくから、あまりに使いすぎると自分の力じゃ止められなくなるの」

「そうなのか……」

 柊は真剣な表情をしながら、そう言う。

これは大事だな。しっかり覚えておこう。

「分かった、気を付ける」



…………しまった!!

 まずい、加速し過ぎた。

思い出した事で、俺に焦りが生まれる。

 教室まで後少しだ。

だが、止まられない。

「やばっ!! これ、どうする!?」

 あっ。俺の教室だ。

だが、普通にスルーしてしまう。

 このままではかっかっ壁にぶつかる。

「うわぁ!?」

 俺は壁にぶつかる寸前で、誰かとぶつかる。

最悪だ、まさか人とぶつかるとは。

「いてて……」

 俺はぶつかった人を見たが、特に怪我はなさそうだった。

良かった……。

「すいません、大丈夫ですか?」

 カチャ……。

 えっ? もしかして、視界がはっきりとしてくる。

俺に銃を向けている女子がいる。いや、一人しかいないが。

 俺の下にいたのは俺の先輩であり、幼馴染の瀬那真央せなまお先輩だった。

「貴様、この私に壁ドンとはいい度胸だな……」

「いや、誤解ですって!!」

 俺は何とか誤魔化そうとする。

だが、俺に向けている少女――瀬那先輩は許してくれなそうだ。

 最悪だ、色々な意味で。

俺はゆっくりと去ろうする。

 だが、ガシッと手を掴まれる。

「司、言いたい事分かってるよな……」

「ちょ……朝から勘弁」

「問答無用だ!! この変態問題児が!!」

「ぎゃあぁぁぁぁ!!!!」

 今日の俺も朝から理不尽であった。

 


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