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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第一章 結成編
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第六話『最強と最凶』4

「あなた……どうして、ここに?」

 柊は目に涙を浮かべながら、俺に聞いてくる。

普通ならあり得ない状況での救い。まさに、奇跡というやつだ。

 それが今起きて柊は困惑でもしているのだろう。もしかして、あの時(・・・)状況になっているかもしれない。

まあ、そんな事考えてる場合じゃないな。

「そんなの決まってるだろう……お前を助けるためだ」

 俺は当然のように答えた。

くっ。やっぱり荒井先輩の力、尋常じゃない。この剣で支えるのが精いっぱいだ。

 青葉の言っていた通り、いつもの荒井先輩じゃない。

力の限りを尽くして、俺はようやく荒井先輩の攻撃を弾く。

「さすがは……涼風君だね……良い実験が出来そうだ」

 これぐらいじゃ動揺はしないか……。

荒井先輩は俺に攻撃を弾かれても、涼しい表情をしている。

 まだ、余裕があるのだろう。

「あなた、血出てるじゃない……」

「ちょっとかすっただけだ。これぐらい大した事ない」

 確かに、少し俺の右手の手首近くが傷が付き、血が流れている。

これは、まずいな。一回、引いた方が良いかもしれない。

 でも、柊も怪我をしているようだ。どうする……?

「どうしたんだい? 仕掛け来ないのか、涼風君? なら、こちらから行くよ!!」

 当然、荒井先輩が待ってくれるはずもなく、俺に再び攻撃を仕掛けてきた。

ぐっ。さっきの響いているのか……力が出ない。

 まずい、押される……。柊を庇いきれない……。

そう思った瞬間、

「聖なる安らぎ――キュア!!」

柊が回復魔法を発動させる。

 力が元に戻ってる。俺の回復魔法よりも回復量が多い。

さすが、神人だな。

「おりゃぁぁ!!!!」

 俺は再び荒井先輩の攻撃を弾き返す。

これなら、何とかなるな……。

「くっ。やるね……さすがだ。面白くなってきた……これだ!! 僕はこれを求めていたのだ!!」

 まるで何か支配されたかのように、そう言い笑い出す。

俺と柊はその間に立ち上がる。

「ありがとうな、柊」

「別に、これぐらい気にしないで」

 俺は柊に礼を言い、辺りを見渡す。

 でも、ここでは戦うの厳しいだろう。

戦うのには狭すぎる。俺たちも荒井先輩もここから出る方法が何かないか……。

 うん? あれは何の粉だ……。まさか、小麦粉か……?

そういえば、今回勝利したチームは何か貰えると聞いていたが、小麦粉だったとは……。

 まあ、今はそんな事言ってる場合じゃない。

あれを使うしかない……。

「さあ、実験を続けよう!!」

「残念ですが、一度実験を中止させてもらいますよ!!」

 俺はそう言い、小麦粉を上に投げそして剣で切った。

その瞬間、小麦粉が宙を舞う。

「ん? いったい、何をした?」

「あれ、荒井先輩? 知らないんですか、この粉が宙を舞っている時何が起こるか……」

「……!! まさか!!」

「そう、そういう事ですよ」

 荒井先輩は、俺の言葉を理解し初めての動揺を見せる。

普通なら、あり得ない現象を今起こすのだから……。

 俺は不敵に笑う。柊は全く理解していないようだが。

「柊、悪い」

「えっえっ? 何、してるの? どっどっどうしてお姫様だっこなの?」

 俺は柊をお姫様だっこする。とても恥ずかしい事ではあるが、止むを得ない。

これなら、柊は巻き込まれない。

 柊は今の状況に対応できていないらしいが。まあ、恥ずかしいからだよな。顔が赤いな……。

そんなに赤くなる必要あるか、普通。

 とにかく、もう仕掛ける。

「悪い、お前の部屋無くなるかもしれない……」

「……!! それはどういう」

 俺は一応柊に謝り、魔法の準備をする。

柊に教えてもらった魔法、ここで使わせて貰うぞ。

 心の中でそう言う。

「さあ、先輩行きますよ。粉塵爆発という現象をね!!」

「……!! くそっ」

「炎の霧――ファイアミスト!!」

 俺は火系魔法を発動させ、そして粉塵爆発を起こす。

俺は柊を担ぎ、急いでその部屋から逃げる。そして、一瞬にして大きな爆発が起こった。



 × × ×


 

「さて、ここまで来れば大丈夫か……」

「いっいっいいから!! 私を下しなさい!!」

「おっ。すまん」

 何とか、あの爆発から逃げ出した俺は真っ赤に顔を染めた柊を下した。

場所は学園の保健室まで移動出来た。

 とりあえず、大丈夫そうだな。

途中、柊が落ちそうになって焦ったが。

「どっどっどうして、お姫様だっこなのよ!!!!」

「そんな、怒らないでもいいだろう……。それは持ちやすかったからだ」

「そういう問題じゃないわよ!! …………もういいわ。それより、助けてくれてありがとう」

 少し申し訳なそうに、柊は俺に言う。

そうか、こいつお礼言うの苦手だったな。

 まあ、でもまだその言葉は言われるべきではない。

「おいおい、まだ終わってないぞ。そういうのは全てが終わってからにしろよ」

「……!! わっわっ分かってるわよ!! そんな事は!!」

「大丈夫か? まだ、落ち着かないか?」

「別に……大丈夫よ」

 そう言いながら、柊はそっぽを向く。

全然大丈夫じゃないだろう……。俺は少し心配になる。

 まあ、柊も女の子だからしょうがないか。

「それで、これからどうするの?」

「その事だが、俺はもう一度荒井先輩を会ってくる」

「……!! 本気なの……!?」

 俺は頷く。

確かに、今の荒井先輩は未知数だ。あれだけ余裕だ、まだ何か能力があるだろう。

「それに、荒井先輩はもう……」

「そんなわけあるか。荒井先輩は生きてるよ。今の先輩は瞬間移動(テレポート)が使えるはずだろう」

「どうして、あなたが知ってるの?」

「ちょっとな……」

 俺は誤魔化すように頭を掻いた。

あまりこれも他の人に知られたくないからな。

「深くは聞かないわ。あなたの言う通りだとしたら、どこかにまだいるはずだわ」

 柊は俺に深追いせず、流してくれた。

 さて、考えると恐らくそんな遠くに移動したわけではないだろう。

あの、粉塵爆発で少しは動揺したはずだ。

 まだ、学園内にいる。荒井先輩は外には逃げていない。

「そうだな……。なあ、柊? 荒井先輩がどこにいるか分からないか? 確か、瞬間移動(テレポート)した場所には必ず魔力が残るはずだったよな」

 俺は知識を総動員して、柊に尋ねる。

それを聞いた柊は口をぽかんと開いている。

「まさか……そこまで知ってるなんて……。あなたいったい何者?」

 柊は言葉を失いそうになるほど、驚いていた。

「そんな事、今はいいだろう。それよりも、分かるか?」

「不可能ではないわ」

「なら、頼む」

「分かったわ」

 俺の頼みを聞き入れ、柊は目を閉じる。 

それが、魔力検査というやつか。実際に見るのはこれが初めてだな。

 数十秒後、柊が目を開ける。

「どうだ? 分かったか?」

「ええ、場所は闘技場よ……」

 やっぱりそこになるか……。 

俺自身、予想していたがまさか当たるとはな。

 まあ、これで場所は分かったから一安心だ。

「ありがとうな、柊」

「……いいわよ、これぐらい」

「さて、じゃあ俺は行くわ」

「えっ? 行くってまさか本当に!?」

「当たり前だ」

 俺はそう言いながら、立ち上がる。

これは俺の役目でもあるしな。

 次で終止符を打つ、必ず。

「だったら、私も……!!」

「駄目だ」

「……!!」

「お前は、ここにいろ。俺が片づけてくる」

 ここなら、負傷した柊も少しは回復するだろう。

それに、柊は巻き込みたくない。

 柊は行きたそうにしている。

 だけど、柊を行かせるわけにいかない……。

「悪いな、これは俺の問題でもあるんだ」

「あなたの問題?」

「ああ。だから、俺は行く」

 俺は最後にそう言い、歩き出す。

すると、俺の裾を柊は引っ張る。

「何だよ? まだ、何かあるのか?」

「ちゃんと無事に帰ってきなさいよ……」

「ふっ、愚問だぞ。俺は最強だから、そんな事心配すんな。でも、ありがとうな」

 俺は柊の言葉を聞き、礼を言った。

何か柊に色々と助けて貰ってるな、俺。

 そう思いながら、闘技場へと歩き出した。






 後で大分修正するかもしれません。

追記

 もう修正しました。大分修正と書いた割には意外と修正してません。

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