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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第一章 結成編
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第六話『最強と最凶』2

「三階西エリアはここか!!」

 俺は大急ぎで三階西エリアに移動していた。

 どこだ……? どこで、非常事態が……?

「ん?」

 とある部屋だけ扉が無くなっている事に俺は気付く。

ここだな……。

 俺はその部屋の中へと足を踏み入れる。

「……!! おい、しっかりしろ!!」

 俺の目に映ったのは、制服がボロボロになり倒れている昴たちだった。

いったい誰が……? 昴たちが簡単にやれるはずがないのに、どうしてだ。

 俺の中で次から次へと疑問が舞い降りてくる。

もしかして、奇襲でもされたのか……?

「……そんな事、考えている場合じゃない!!」

 そうだ、今は救助をしなければ。

俺は昴や紫月の体に触れる。

 良かった……。二人とも、息をしていた。

あれ、そういえば青葉は……どこにいるんだ。

「二人なら大丈夫よ。私が一通り応急処置したから」

 俺が辺りを見渡していると、昴たちと同じようにボロボロの状態の青葉が声を掛けてきた。

昴や紫月をよく見ると、確かに応急処置が施されていた。

 だが、青葉は……。

「青葉、その傷大丈夫なのかよ……?」

 この中で一番重症なのは、青葉だ。

青葉は辛そうな表情をしながら、救急箱を持っている。

 血自体は止まっているが、酷い傷を包帯で巻いたところは赤く染まっていた。 

恐らく、立っているのが精いっぱいだろう。

 それなのに、青葉は昴たちの手当てをしている。

「ええ、これぐらい……ぐっ!!」

「おい、大丈夫か!?」

 あまりの痛さに耐えきれなくなった青葉を俺が受け止めた。

青葉はただ我慢していただけだ。本当は誰よりも辛いはずだ。

「……情けないわ……これでも、私医者の娘なのに……」

 酷く悲しそうな表情を青葉は浮かべる。

医者の娘だから、変に責任感を感じているのだろう。

 今までも、こういう手当をしてきたのだろうか。

「もう、無理するな」

「でも、そうじゃないと……みんなが……」

 青葉は目に涙を浮かべている。

しょうがない、あいつらが見ている・・・・・・・・・かもしれないが使うしかない。

「聖なる回復――アークキュア!!」

 俺がそう唱えると、青葉の酷い傷は光に包まれみるみる塞がっていく。

それを見た、青葉は目を見張っている。

 それもそうか。

人間には使えないはずのもの――魔法だからな。

「あなた、魔法を使えるの?」

「まあ、俺は最強だからな。待ってな、昴たちもすぐに楽にしてやる」

 そう言い、俺は昴や紫月の元に行き、

「聖なる回復――アークキュア!!」

 二人に回復魔法を発動させる。

すると、先ほどと同じように光に包まれ傷がみるみる塞がっていく。

「これで、大丈夫なの?」

「ああ、今は眠っているだけだ」

 心配そうに聞いて来たので、俺は淡々と答えた。

昴も紫月も青葉も大丈夫そうだな。

 でも、一応休ませた方がいいな。

「瀬那先輩、聞こえますか?」

 俺は通信機を作動させ、瀬那先輩に届いているか確かめた。

数秒後に瀬那先輩の声が聞こえてきた。

『どうだ? 何か、あったか?』

 その声を聞くと、いつもの瀬那先輩のようだ。

俺も少し安心し、状況を話す。

「はい、荒井先輩たちのチームが何者かに襲われていました」

『……!! それは、本当か!?』

「はい、本当です。ですが、青葉の応急処置のおかげでみんな大丈夫そうです」

「……!! それはあなたの」

「頼む、さっきの事は内緒にしてくれ」

 青葉は俺が嘘を吐いている事に気付き、真実を言おうとしたが俺は止めた。

どうしてという表情をしている。

 俺が魔法を使えるという事はあまり知られたくない。例え、瀬那先輩であっても。

「お願いだ、青葉」

 俺は真剣な眼差しで青葉に頼む。

その思いが伝わったらしく、頷いてくれた。

『ん? 何か、言ったか?』

 良かった。今の会話は瀬那先輩に聞こえてないみたいだな。

俺は再び安心する。

「いえ、何でもありません。先ほど、大丈夫そうと言いましたが一応休息を取らせた方が良いと思います」

『分かった。とりあえず、青葉たちには今から風紀委員や先生方を向かわせる』

「ありがとうございます、瀬那先輩」

「これで、助かるの?」

「ああ、そうだ」

 とりあえず、これで大丈夫そうだな。

隣にいる青葉も少し安心している。

『それにしても、いったい誰が青葉たちに?』

 そういえば、そうだ。

 まだ、これを仕掛けた犯人が分かっていない。

先ほどまでは救助の事でいっぱいだった。

「青葉。もし、覚えていたら教えてほしいんだけど今回の犯人分かるか?」

 とりあえず、ここは犯人と遭遇している青葉に聞くのが一番だろう。とはいえ、気持ちの良い事ではないが。

 すると、青葉は一言だけ呟いた。

「…………荒井先輩」

「……!! 荒井先輩が!?」

 俺は青葉の言葉を聞き、言葉を失ってしまう。 

何で、荒井先輩が……?

 いや、待てよ。よく考えたら、荒井先輩しか可能性がない。

大抵の生徒はもう下校している。

 この学園の警備は厳重だ。侵入者なんて万が一もない。

つまり、犯人は荒井先輩しかあり得ない。

『おい、司!! 犯人が荒井ってどういう事だ!!』

「青葉、もう少しだけ教えてくれ」

「荒井先輩、いつもは笑って部屋の中に入って来るの。だけど、今日は様子がおかしかった。急に荒井先輩が実験だって言いだして……それで……」

「ありがとう、そこまでいい」

「いや、まだ続けるわ……荒井先輩は神人にしか使えないもの…………」

「まさか、固有スキルか!!」

 青葉は頷く。

荒井先輩は神人だったのか……いや、違う。荒井先輩は人間のはずだ。

 それなのに、なぜだ……。

『どうして、荒井がそんな事に!!』

 瀬那先輩は酷く慌てている。

自分の知り合いだからだろうな。

「私にも分からないわ……どうして荒井先輩が使えたのか……その後、私たちは荒井先輩にやられてしまった」

「そうか……。よく分かった、ありがとう。最後に荒井先輩がどこに消えたのか、分かるか?」

「瀬那先輩を探しに行くって言ってわ」

「……!! 瀬那先輩を!? 瀬那先輩!!」

『何だって!? 私をか? でも、ここに来る気配はないぞ』

 考えてみれば、確かに最近は風紀委員室は使っていなかったな、瀬那先輩。

じゃあ、どこに行ったんだ。

 俺は思考する。

そして、最悪の答えに辿り着く。

「まさか、柊の部屋か!?」

『……!! まずい、柊が!!』

 まずいな。こんな事をしている暇はない。

俺は立ち上がる。

「瀬那先輩。先輩は、青葉たちの救助を。俺は柊を助けます」

『おい、危険だ!! 行っては駄目だ!!』

「すいません、行きます」

 俺は通信機を切った。

「青葉、ここで待ってろよ」

「……大丈夫なの?」

「愚問だ。俺は最強だからな!!」

 俺は柊の部屋を目指して再び走り出した。

柊……無事でいてくれよ……。

 


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