表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第一章 結成編
22/134

第四話『問題児と神人少女は勝利を目指す……』6

 団体戦三日目。

ようやく俺たちのチームの対戦相手が発表された。

 俺は対戦相手の情報が載っている紙を持ちながら、今日の訓練場所である第一訓練場に向かっていた。

「はぁ~……。俺たちの初戦の相手がまさか優勝候補とはな……」

 溜め息交じりに俺は一人、そう呟く。

そう、今回の俺たちの相手は人間のチームの中では優勝候補とも言われている相手だ。

 攻撃もしながら、しっかり防御もするバランスの取れた相手だ。

そんな相手と試合とはついてない。

 とはいえ、別に俺は負ける気はない。

なぜなら、

「俺は最強だからな!!」

「開口一番、その言葉。あなた、どうかしてるでしょ……」

 どうやら口に出てしまったらしい。

近くにいた女子が聞いてしまったな。まあ、柊だが。

 俺が第一訓練場に着くと、柊が外で待っていた。柊も対戦相手が気になるらしい。

「さあ、対戦相手を教えなさい!!」

「分かったよ、ほれ」

 今か今かと待ちわびていた柊に紙を渡す。

どれどれと、柊が紙に目を通すと顔を曇らせた。

「対戦相手、優勝候補じゃない……」

「何だ、怖気づいたのか?」

「べっべっ別にそういうわけじゃないわ!! だけど……」

 まさか、俺に負けたから人間と戦うのが自信がなくなってるのか。

それもしょうがないかもしれないが、今そんな気持ちでは困る。

「お前、神人なんだろう? 俺に負けたくらいで落ち込むな」

「だから、違うわよ!!」

 やけに抵抗してくるな、こいつ。

まあ、いい。そうじゃないなら、いつも通り訓練をするのみだ。

 先ほどよりは表情が明るくなってるしな。

「まあ、ちゃんと勝つ方法考えているから、心配するな」

「本当に? 少し不安なんだけど……」

 柊はまだ勝てる要素が分かっていないらしい。

いい加減気付いてほしいものだ。

「だいだいな、負けるような訓練はしてないから大丈夫だ。柊はただ自分に足りないものを探せばいいんだ」

「まあ、昨日だって魔法を使えるようになっちゃったし、大丈夫そうね」

 俺の話を聞いて、柊は理解したようだ。

常識にとらわれない、少しは解消したか?

 俺が魔法を使えるようになったことでだいぶ柊の意識は変わっただろう。

 ちなみに、魔法は三つ使えるようになった。

今は使わないが、いつか必要になるだろう。

「そういえば、伊吹はもう来てるか?」

「ええ、伊吹なら中で訓練をしているわ」

「そうか。じゃあ、俺たちも入るか」

 伊吹はいつもなら、一緒に訓練場に向かうのだが今日は先に行って訓練すると言っていた。

恐らく伊吹の技、疾風突きゲイルショットの訓練だ。

 俺たちが訓練場の中に入ると、槍を持ちながら戦闘兵と対峙している伊吹の姿があった。

「やああぁぁぁぁ!!!!」

 伊吹は凄まじい速さで、戦闘兵を貫く。

今回も一秒も満たない速さだった。

 ここまでは、別に大丈夫そうだ。次が問題だ。

「……!! ぶっぶっぶつかる!!」

 やはり、今回も壁に激突してしまう。

だが、怪我がないみたいで、とりあえず良かった。

「相変わらずだな、大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

 壁が修復し終わる前に、伊吹に俺は駆け寄った。

この笑顔なら精神も大丈夫だな。

「ほれ、対戦相手だ」

「ありがとう。どれどれ……。……!! とんでもない相手だね……」

 俺は挨拶代わりに、対戦相手の紙を渡す。

すると、それを見た伊吹は苦笑いをする。

「まあな、優勝候補だし」

「それで、どうするの?」

 柊が俺に尋ねる。

どうしても勝つ方法が知りたいらしい。

「勝つ方法は、柊と伊吹だ」

「「どういうこと?」」

 二人揃えて、同じことを言う。

まだ、分かってないみたいだな。

 まあ、いい。説明すればいい話だ。

「まず、柊。お前が最弱な理由って何だ?」

「確か、常識にとらわれ過ぎているからでしょ」

「そうだ。柊には常識が邪魔している。だから、今は自分が勝つためだけを考えろ。俺の訓練の意図なんて知らなくていい。いずれ分かるからな」

「つまり、あなたを信じろと言いたいの?」

「まあ、そういう事でもあるな。今日までは、しっかり説明してきたが試合までは何も指示はしない。自分なりのやり方で勝つための訓練をしろ」

 俺は最後にそう言った。

すると、柊は頷き、

「分かった。それなら、勝手に訓練するわ。信じるわ、あなたの事」

「ありがとうな、柊」

「……別にいいわよ!!」

「なんで、照れるんだ?」

「うるさい!! もう、始めるからね!!」

「ああ、そうしてくれ」

 どうやら、柊は感謝の言葉を言われるのは苦手のようだ。

とても典型的なタイプだな、あいつ。

 俺はそう思った。

「それで、僕は?」

「伊吹はあの技だ」

「さっき練習していた技だね。でも、試合では使うのは駄目なんじゃ……?」

 まあ、確かに俺は使うなと伊吹に言ったな。

伊吹はまだそれが続いていると思っているらしい。

 それ以前に伊吹は自ら技を練習している。どうしてマスターしたいのだ、伊吹は。

俺はそれに応えるだけだ。

「別にいいよ。それに、疾風突きゲイルショットが今回一番の勝利の鍵だ」

「そうなの?」

 少し心配そうに、俺を見つめながら伊吹は聞く。

今、自信ないのも仕方がないな。

「ああ。だから、俺が練習に付き合う」

「えっ? 付き合ってくれるの、練習に?」

 伊吹は申し訳なそうに聞いてくる。

少しリラックスしてもらわないとな、伊吹に。

 そういえば、何かお菓子あったよな。

俺は鞄の中を漁る。

 あったあった、これだ。

「伊吹」

「えっ、何? ……あむっ。美味しい!!!!」

 俺が伊吹にクッキーを見せた瞬間、かぶりついた。

伊吹はクッキーが本当に大好きだ。

 無意識にクッキーを見つけたら、食べてしまう。

「お前、本当にクッキー好きだな」

「あっ!! ごめん!!」

 自分が何をしているか、ようやく気付き申し訳なそうに下を向く。

ちなみに、渡したクッキーは全て食べてしまった。

「いや、別にいいよ。あげるつもりだったしな」

「そうなの、ありがとうね司」

 先ほどよりも柔らかい表情を浮かべる。

よし、成功だ。

「いいよ、別に。でも、これでリラックス出来たな」

「うん、もう大丈夫」

「よし、じゃあ訓練始めるか!!」

「ちょっと……二人で何してるの?」

 俺が勢いよく訓練をしようとしたら、遠くで訓練していた柊が俺たちの前まで来て邪魔してきた。

文句言いたそうな顔をしている。

 何か、悪い事をしたか……。あっ、あれだな。

「柊、ほれ」

「……何をするの!? ……あむっ。美味しい……」

 俺は柊の口にクッキーを入れた。

このクッキーは今日食堂で販売していたものだ。

 俺も食べたが本当に美味しい。

二人とも満足してくれたみたいで良かった。

「悪い悪い。お前も、クッキー欲しかったんだよな。まだまだあるぞ」

 俺はクッキーのほとんどを柊に渡す。

伊吹が隣で欲しそうな顔をしている。伊吹にも渡しておく。

 この笑顔が本当に可愛い。

「ありがとう……ってそうじゃない!!」

「何だよ?」

「私は勝手に訓練しているのに、どうして伊吹はあなたと訓練出来るのよ!?」

 怒り気味に柊は訴えてきた。

「お前、嫉妬してんのか?」

「ちっちっ違うわよ!! だから……」

「だから、何だよ?」

 柊は口ごもる。

 面倒くさいな、まったく。さっきの言葉を言ってやるか。

「柊」

「何よ?」

「俺を信じろ」

「信じられるか!!!!」

「ぐほぉ!! なんでだよ……」

「もういい!!」

 俺に腹パンを食らわせ、拗ねながら柊は訓練を再開させる。

結局何なんだよ。まあ、いい。

 伊吹もクッキーを食べ終わったらしい。

いつも以上に和んでいる。

「伊吹、訓練始めるぞ」

「うん、分かった」

 俺は声を掛け、伊吹と訓練を始めた。


 第四話は本当に長くなってしまいそうです……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ