第四話『問題児と神人少女は勝利を目指す……』4
今回は結構長めかもしれません……。後、ルビがおかしかったので色々と修正しました。
「あったあった。ふぅ~……やっと座れる」
団体戦一回戦二日目。
俺は闘技場の観戦席にいる。先ほど、ようやく席を見つけ今座っているところだ。
「ねぇ、どうして私まで?」
俺の隣に渋々座った柊が尋ねてくる。
「どうしてって、そりゃあ伊吹のチームの試合があるからに決まってるだろう」
そう、今日は伊吹や鶴川のチームの試合だ。
つまり、伊吹の応援に来たわけだ。
まあ、柊はあまり観戦する気はなさそうだが。
「伊吹もチームメンバーなんだから、応援して当然だろう?」
「それはそうだけど……私たちには時間が」
それは確かにそうだ。
つい最近組んだばかりのチームに観戦をしている暇なんてない。
昨日も観戦していたから、何とも言えないが。
柊は早く訓練をしたいようだ。
「まあまあ、一試合だけだからさ。終わったら、すぐに訓練に行くつもりだから心配するな」
「そう。なら、いいけど」
柊は、納得したように答え、視線を闘技場に向ける。
俺も視線を闘技場に向ける。
「出てきたみたいよ」
柊がそう言った瞬間、
「うおおおおぉぉぉぉ!!!!」
大きな歓声が生まれる。
どうやら伊吹達の登場のようだ。
伊吹達の相手のチームも登場すると、同じような歓声が上がる。
「相変わらず、凄いなこの歓声は」
「それは、団体戦なわけだししょうがないんじゃない?」
「まあ、それもそうだな」
俺があまりの歓声に驚いていると、柊がそう呟く。
「そういえば、今日は代表式よね?」
柊が思い出したかのように、俺に聞く。
代表式というのは、団体戦のルールの中の一つで各チームの代表二名がぶつかり合う戦い方だ。
どちらかのチームが勝利した時点で、勝利した側が団体戦二回戦へと駒を進める。つまり、一騎打ちと言う事だ。
他にも、二本取り式や乱闘式がある。
ただし、乱闘式は現在の団体戦では採用されていない。
だから、実質上代表式と二本取り式だけである。
ちなみに、俺たちの試合の時は二本取り式だ。
「ああ、そうだ」
俺は軽くルールをおさらいしながら、柊の問いに答えた。
後、勝利する為には二つの方法がある。
相手チームの全滅、もしくは団体戦専用のペンダントを着けた相手にペンダントを破壊または強奪だ。
主に後者の方法で勝利している人が多い。あまり前者の方法は危険視されているため、実行しようとする者は少ない。
「あれ? 伊吹がペンダントを着けるの?」
どうやら鶴川がペンダントを着けると思っていたらしく、少し動揺しているようだ。
まあ、これは俺が伊吹に頼んだ事だが。
今、伊吹がペンダントを受け取り首に掛けている。
「まあ、でも伊吹にはあの技からあるから大丈夫か」
「悪いが、伊吹はあの技を使う事はないぞ。俺がそのように頼んだ」
「えっ? 本気で言ってるの……それじゃあ負けるかもしれないじゃない!!」
少し怒り気味に俺を睨む。
確かに、あの技を使わせたら勝つ事は簡単だ。
だが、下手をすればいや使えば命の危険がある。
今の段階では危険すぎる。
「大丈夫だ。相手は少し攻撃特化で危険そうだが、伊吹が負ける相手じゃない」
「そんな保障どこに…………!! 分かったわ、もう何も言わない」
それが、伊吹の訓練でもある事を理解してくれたみたいだな。
今にも怒りが爆発しそうだったが、もう大丈夫だな。
俺は一安心する。
「まあ、見てな。俺が言ったことは嘘じゃない」
「ええ」
俺と柊はただ試合が開始するのを待っていた。
× × ×
(うぅ~……どうしよう緊張してきたよ~。)
僕――伊吹雫は大きな歓声の中で緊張と不安に襲われていた。
高校生になってから、これが初めて団体戦だ。
緊張してもしょうがないと思うけど、でも僕緊張し過ぎだよ……。
「大丈夫、伊吹? 顔色悪いけど……」
「うっうっうん!! 大丈夫だよ、大丈夫」
僕の事を気に掛けて、話しかけてくれた鶴川さんに僕は明らかに大丈夫ではない返事をしてしまう。
もう、試合と言うのに。
「凄い不安なんだけど……。本当に伊吹がペンダントを着けていいの?」
鶴川さんは僕を不安そうに見ながら、聞いてくる。
本当は鶴川さんがペンダントを着ける予定だった。
だけど、今日の午前中に僕が着けると鶴川さんに言った。
その時も困惑の表情を浮かべていたが、今も少し困っているみたいだ。
こうなったのは、とある理由がある。
それは、司に僕がペンダントを着けろと言われたからだ。
最初は、とても慌てて断ろうかと思ったけど、僕の訓練の為と司が言っていて僕は着けることにしたんだ。
なのに、今になってとても不安になっている。
「それに、あの技使わないんでしょ?」
「うん……」
あの技、疾風突きも使うなと司に言われた。
どうやら今のままでは危険らしい。
「はぁ~……。これで、最後よ。伊吹、あなたは最後までしっかり出来る?」
鶴川さんは真剣な眼差しで僕に答えを求める。
さすが、鶴川さんだ。
鶴川さんの方が、ふさわしいかもしれない。
だけど、僕が強くなるためだ。
ここは譲れない!!
「うん!! しっかりやる!!」
僕は力強く答えた。
そう答えると、鶴川さんは笑顔になり、
「そう、ならいいわ。サポートは任せてね」
「うん!!」
勝つんだ、ここでしっかりと。
僕は心の中で強く決心した。
僕は審判の人からペンダントを受け取る。
そして相手チームの人もペンダントを受け取る。
相手の武器は大型の剣だ。
僕の武器は槍だ。少しパワー負ける気があるが、でも負ける気はない。
「それでは、両者。武器を構えて下さい!!」
両チームとも準備が出来たのを確認して、審判の人はそう呼びかける。
僕も鶴川さんも相手も武器を構える。
「では、両者始め!!」
審判の人がそう呼びかけ、どちらも相手に突撃する。
キィィィンンンン……。
槍と大型の剣がぶつかり、火花が飛び散る。
相手は僕よりも身長も高く、覇気があった。
「そんな弱々しい体で、俺様に勝てるのか?」
僕を小馬鹿にしたように煽ってくる。
それもそうかもしれない。
けど……。
「なっ!!」
僕は槍衾で剣を弾く。
相手が少しよろめく。
だが、まだペンダントは無理そうだ。
後ろでは、鶴川さんともう一人の相手が戦っている。
僕も負けてられない……!!
「少しやるじゃないか……!! だが、これはどうだ!!」
「……!! くっ!!」
大型の剣を大きく振り上げ、地面に叩き付けた。
その衝撃で地面が揺れる。
そして、
「おりゃあ、くらえ!!」
あれは、周波衝撃……!!
今の揺れた時の音を利用して、そんな技を使ってくるなんて……。
砂の竜巻が起こり、僕は闘技場ギリギリまで吹き飛ばされる。
「うっ!!」
少し足を痛めてしまった。
まずい、これでは戦えない。
当然、相手が足の回復を待ってくるはずはない。
「どうやら、終わりようだな!! とどめだ!!」
相手は勢いをつけて、僕に攻撃を仕掛ける。
まずい、負けてしまう。
やっぱりあの技を使うしか。
でも、駄目だ……!!
「……!!」
これで、終わりなのか……。
その瞬間、
「やああぁぁぁぁ!!!!」
「鶴川さん!!」
「何、ぐほぁ!!」
鶴川さんが仕返しとばかりに、相手を吹き飛ばす。
僕が吹き飛ばされたほどではないが、そこそこ吹き飛ばしたようだ。
「大丈夫、伊吹?」
鶴川さんは背を向けながら、僕に尋ねる。
これが、リーダーなのだろうと僕は思った。
「うん、ありがとう!!」
「俺を忘れるなよおおおおぁぉぉぉ!!!!」
「ちっ。まだ、耐えていたとは……。伊吹、あいつは任せたよ!!」
鶴川さんと戦っていた相手が襲い掛かって来たが、鶴川さんは軽く弾く。
よし、足が動く……!!
足が回復したみたいだ。
「うん!!」
僕は立ち上がり、先ほど鶴川さんが吹き飛ばした相手に視線を向ける。
どうやら、相手も立ち直ったようだ。
「中々やるな……。なら、こっちも本気を出すぞおぉぉぉ!!!!」
相手は先ほどよりも強烈に地面を叩く。
地面もそれと同時に揺れ始める。
また、あの技を……!!
「でも、二度目はないよ」
僕は呟き、猛スピードで相手に突撃する。
これぐらいの技なら僕でも避けれる。
それに、今までの訓練、昨日の訓練に比べればこんなの全然マシだよ……!!!!
「なっ!!!! 速すぎる!!!!」
あまりの突撃に、相手の技は不発に終わる。
よし、今だ!!
僕はこのままの勢いで剣を大きく弾く。
「そんな……剣が飛ばされた……!!」
相手は動揺を隠せないようだ。
「これで、終わりだよ!!」
「ひぃぃぃ!!!!」
僕は最後優しくペンダントを相手から奪い取る。
「へっ?」
僕の行動に疑問を持ち、先ほどよりも動揺している。
でも、それも終わりだ……。
僕は右手に握りしめたペンダントを大きく掲げた。
それを見た審判は、
「勝者、伊吹、鶴川ペア!!!!」
「うおおおおぉぉぉぉ!!!!」
そう呼びかけた。
それと同時に開始前より大きな歓声が沢山上がる。
「やったね、伊吹!!」
「うん!!」
僕は鶴川さんとハイタッチをする。
勝てた、何とか勝ったよ……。
急に安心したせいか、少しよろめいてしまう。
「だっだっ大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
鶴川さんに支えてもらったおかげで、倒れずに済んだ。
鶴川さんは本当に良い人だ。僕は改めてそう思った。
「いやぁ~参ったな。二人とも、強すぎるぜ」
相手が笑いながら、手を差し伸べてくる。
僕は相手を握手をした。
どうやらそんなに悪い人達ではないらしい。
それはそうだよね……。
「こちらこそ、強かったよ……」
僕はありのままの気持ちを伝える。
一通り、握手を終えた。
闘技場を去る時、司と柊さんと目が合った。
司は満面の笑みで笑っていて、柊さんは少し恥ずかしそうに見ていた。
ありがとう……柊さん、そして司。
僕は心の中で、感謝し、笑顔を返した。




