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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第一章 結成編
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第一話『最強と最弱』1

 

 戦闘技術科国立科女神学園風紀委員室にて。


 委任状

 瀬那せな 真央まお 風紀委員長


 あなたを問題児、涼風司すずかぜつかさの指導役に任命する。


 2048年、4月18日

 瀬那せな 麻里まり 生徒会長より


 私――瀬那真央は突如訳の分からん委任状を渡され、顔を曇らせていた。

「これはどういう事、姉さん?」

「どういう事って委任状の言葉通りよ」

 私の疑問を当然のように受け流す、私の姉――瀬那麻里は委任状の通り、生徒会長だ。

私よりも立場はもちろん上で実力も私は敵わない。ってそうじゃなくて!!

「そうじゃなくて!! どうして、私が司の指導をしなくてはならないんだ!!」

 バンッ。

私は勢い余って委員長の机を全力で叩いてしまった。少し手がヒリヒリする。

「まあまあ、これは決まった事だしねぇ……。それに司君とは昔からの幼馴染でしょ? だったら、いいじゃないの」

 また、姉さんは私の質問を綺麗に受け流した。

 確かに司とは昔からの幼馴染で色々と知っている。

でも、だからって……。

私の腹の虫は収まるどころか、今にも暴走しそうになっていた。

「だからって、納得出来ない!!」

「も~う、そんなせっかちだから真央の胸はいつまでたっても成長しないのよ」

 そう言い、姉さんは豊満な胸を見せてくる。

私が気にしている事を姉さんは……。

私は現在、高校二年生だが、体型は幼いと言われ、身長は150cm少ししかない。

もちろん、女性の自慢出来る所はない。

 えっ? もう成長しないって? 

いや、そんなことはない!! 私はまだ発展途上なだけだ。

 それに比べ、姉さんは身長が160cmもあり、スタイルも良くてグラマーな体型だ。

くっ、悔しい。でも、遺伝で私もまだ……って!! 

 また、姉さんのペースに飲まれてしまった。私の悪い癖かもしれない。

私が少し姉さんを睨むと、先ほどの軽い表情から真剣な表情に変わった。

「悪い妹ね……。これは、学園長の命令なの」

「学園長の命令!?」

 私は予想外の返答に驚きを隠せずにいた。

だが、今の姉さんの表情を見るとそれは嘘ではない事は伝わって来た。

 さすがに、学園長の命令なら風紀委員長と言えど、逆らえない。

でも、なぜ学園長が――――。

 私は新たな疑問が浮かぶと共に不安が押し寄せてきた。

「なら……なおさら私じゃ、荷が重すぎる」

 私では力が不十分なのではないかと思うようになってきた。

 すると、姉さんは私の元に近付き、

「司君の幼馴染だから出来る事よ。あなたしかいないの」

真剣な表情で語った。

 それはいいんだが、頭をなでなでするのは止めてほしい。

「分かった。私なりに頑張ってみる」

 私は姉さんの手を払い、そう返答した。

その返答を聞いた事もあって、姉さんはいつもの表情にいや少し嬉しそうな表情に変わっていた。

「良かった。これで、司君を監視出来るわ」

「えっ、監視?」

 私はつい、監視という言葉に疑問を持たざるを得なかった。

すると、姉さんはにっこりと笑った。

「そう、監視。だって、司君面白いだもん」

「まさか、その為に私を!!」

「あら、ばれちゃった?」

「姉さん!!」

 バンッ。

私はまた机を強く叩いてしまった。

今度からあまり叩いても痛くない机にしよう。そんな事まで考えてしまう。

 姉さんは私の表情を見て、楽しそうにしている。人をおもちゃみたいに扱って……。

「まあまあ、落ち着いて。そうだ!!」

「何?」

「あの子と一緒に指導したらどうかしら?」

「へ?」

 私は聞いていたが、あまりの無理難題に聞き返す。

「あの最弱の神人少女よ」

 ああ、あの最弱の神人少女か……。

さすがに最弱ってはっきり言うのはどうかと思うのだが。まあ、私もこれで思い出しているのだから、人の事は言えないか。

「その少女まで、私は指導を?」

 姉さんは大きく頷く。

本当に勘弁してほしい。私はその思いで一杯だ。

「正確には司君とチームを組んでほしいの」

「なぜ、今なんだ?」

 チームを決めるのは高校が始まってから、一週間程で決める。

もう、既に二週間ちょっと過ぎていた。

「それがねぇ……」

 姉さんが困った顔をする。

こういう時の姉さんほど厄介な時はない。

私は既に何回もそれを学んでいる。

「一年生のチーム決めで検査したところ、どうやら一チーム足りないみたいなのよ」

 そうなのか……。

 それは私も初耳だ。風紀委員長にはそういう情報までは流れてこない。

 でも、それでもこれは無理がある。

「チームは最低で三人必要だぞ。残りの一人はどうするんだ?」

 チームは最低で三人必要であり、人数が足りない場合は団体戦などに参加できなくなる。

「それは……真央、お願い」

 そう言い、私の手を掴んできた。

今日はいつも以上に馴れ馴れしい。

まあ、姉妹だからしょうがないかもしれないだろうが。

「さすがにそれは――――」

「じゃあ、明日からお願いね。明日から楽しみだわ」

「ちょっと私の意思は!!」

 私の健闘は虚しく、失敗に終わった。

姉さんは口笛を吹きながら、廊下に出て行った。

「問題児と神人少女かぁ……」

 考えるだけでも、頭がどうにかなりそうだ。

問題児と最弱の神人少女……何とかなるのか、これ?

「はぁ……」

 私は深い後悔を交えながら、深いため息を吐いた。

 


 

 

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