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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第一章 結成編
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第四話『問題児と神人少女は勝利を目指す……』2

「ふぅ~……。食った食った」

「僕、もうお腹いっぱいだよ~」

「君たち、奢りとはいえ食い過ぎだよ……」

 呆れた表情で、皐月は俺と伊吹を見ながらそう言った。

確かに、食い過ぎた。激辛ラーメンの後にうどんに、そうめんに……って全部麺類じゃないか。

 とにかく、伊吹も俺に真似て、様々な料理を食べた。

おかげで、すぐに激しい運動は無理そうだ。

 タダ飯ほど怖いものはないという事を今分かった気がする。

「それで、聞きたい事って?」

「またまた、分かってるくせに~」

 こいつ、俺達をからかうのが好きなのか。

まあ、聞きたい事は分かるが。

「チームの事だろう」

「ご名答。いやぁ~でも、まさか問題児と雫ちゃんがあの噂のチームメンバーだったなんて」

「僕は、一時的だけどね」

「とりあえず、チームについて教えてほしいの!!」

 前かがみになりながら、軽く興奮状態で皐月は聞いてくる。

おう、近いな……。

「分かった分かった。とりあえず、近いから離れてくれ」

「意外と紳士ね……」

 こいつ、俺に何を期待してるんだ。

まあ、いいや。

「実はな……」

 俺は今日までの事を洗いざらい、話した。



「ふぅ~んなるほど。面白いですな~」

「それにしても、どうして司は僕に話してくれなかったの?」

 俺が説明してる内に、伊吹の機嫌は悪くなっていた。

そして、今顔を膨らませながら俺に尋ねている。

 そんなに怒る事ないと思うんだけどな……。

「悪い悪い。いつか話そうと思ってたんだけどな」

 適当な理由を言って、何とか伊吹を宥める。

「そう、ならいいけどね!! 僕は、司の友達なんだから」

「さすが、問題児だね……こんな波乱万丈な事が最近あったなんて~」

「おい、話を大きくし過ぎだ。そこまでの事ではない」

 確かに、波乱万丈と言えば、波乱万丈かもしれない。

瀬那先輩に銃で撃たれたり、チームを作らされたり、団体戦に参加させられたしな。

 まあ、皐月の言ってる事も強ち間違っていないかもしれない。

「でも、どうして司がチームの埋め合わせになったんだろう?」

「確かに考えてみれば……そうだな」

 今までその事については、触れていなかった。

なぜ、俺? なぜ、俺がこの事を?

 まあ、いい。今はそんな事を気にしてる場合じゃない。

「その事は、俺は気にしてないから」

「本当に? なら、いいけどさ。う~ん、でもやっぱり気になるな」

 意外と探究心旺盛なんだな。

俺は皐月の意外な一面を知った気がする。

 面倒だな、誤魔化せないかな。

しょうがない、瀬那先輩の事も話すか。

「まあ、一つ挙げるとしたら俺と瀬那先輩が幼馴染だからかな」

「「ええぇぇぇぇ!?」」

「そんなに、驚かなくても……」

 伊吹と皐月は驚きを隠せず、少しよろめいていた。

そんなに意外なのか、瀬那先輩と幼馴染だという事。

「まさか、司に幼馴染がいたなんて……」

「僕もより……親しい人が……」

「まあまあ、あくまで一例だから気にするなって」

 ったく。伊吹はまた拗ねちゃうし、皐月は質問攻めをしようとしてるしな。

何とかしないとな。

 そう思っていると、

『まもなく、団体戦一回戦一日目が始まります。観戦する方は、まもなく闘技場を閉めますのでお早めにお入りください』

 ナイス、アナウンス。

まさか、二回もアナウンス助けられるとは。

 アナウンスとは仲良くやっていけるかもしれない。

自分で言っていて少し虚しくなってきた。

「おやっ。もうすぐ団体戦が始まるみたいね」

「本当だ。急がないと……」

 伊吹は立ち上がり、出て行こうとする。

今のうちに、俺も出るか。

 俺も立ち上がる。

「二人とも……ここをどこだって思ってるの?」

 やっぱり引き留められたか。

まあ、伊吹は本当に引き留められた理由が分かってないご様子だが。

「せめて、この試合だけは見て行ってよ」

 時間的にも余裕があるし、いいか。

俺は視線で伊吹に合図し、伊吹も理解したようだ。

「悪いな、ここまでしてもらって」

 俺は一応お礼の言葉を言っておく。

すると、皐月はにっこりと笑い、

「うんうん。別にいいよ。ほら、始まったみたいだよ」

 そう言って、皐月は闘技場を指さす。

ここからは本当に良く見える。

 さすが、VIPルームだな。

俺は改めて感心する。

 闘技場を見ると、一回戦が始まったようだ。

どちらも剣を使って戦っている。

「どちらも、攻撃特化型だな。凄いな、火花が」

「そうだね、僕もあそこまで特化型を見たことがないよ」

 とはいえ、一方のチームが疲れ始めている。

これは、時間の問題だな。

 こういう時は、体力勝負だな。

 俺たちの相手がこういうチームじゃないと良いけど。

「あっ。終わったみたいだね、試合」

「そうみたいだな……」

 どうやら、試合が終わったようだ。

体力が切れたチームが押し切られ、負けたようだ。

 あそこまで激しい戦い方をしていれば当たり前か。

「もういいか、皐月?」

 俺は一応許可をもらう。

「うん、いいよ」

「じゃあ、またな。行くぞ、伊吹」

「うん」

 俺と伊吹は立ち上がり、VIPルームを去ろうとする。

すると、皐月が少し悲しそうな表情を浮かべる。

「うん? どうした、皐月?」

「あっ……えっと……君たちの試合っていつかな?」

「団体戦一回戦最終日だ」

 俺は淡々と答える。でも、わざわざ今聞く必要があったか。

別に明日の午前にでも聞けばいいだけだ。

 どうやら、他に聞きたい事があるようだ。

皐月は困った表情をしている。

 何だかまだ居てほしいと言ってるように感じる。

「何だよ? まだ、何かあるのか?」

「後は……うんうんやっぱり何でもないよ。頑張ってね、試合」

「ああ、頑張るよ」

 俺は最後にそう言い、伊吹と共にVIPルームを後にした。

 最後の皐月のあの悲しそうな表情は何だったんだろうか? 

何か、俺に大事な事を伝えたかったんだろう。

 まあ、いい。今度聞く事にして、今は気にしないことにする。

そう思いながら、俺たちは今日の訓練する場所に向かった。

 

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