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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第四章 決断編
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第二十話『揺らぐ信頼』2

 相変わらず投稿が遅れてしまってすいません……。

 俺と暁教官が家の中に入ると、必死で料理を作っている渚の姿があった。

「お~い、渚? どうしてそんなに焦って」

「えっ、お兄ちゃんまでいる!? い、い、今ちょっと手が離せないから!! ま、ま、待ってて!!」

 声を掛けると渚はさらに焦った様子で返事をした。

 なぜ、そんなに忙しそうにしているんだ。それに何を作っているのか。

 俺は出来上がっている料理に視線を移動させる。

 餃子に、焼売シュウマイに、回鍋肉……って全部中華料理じゃないか。渚はそこまで料理の腕があったのかよ。

 昔から俺の母親に沢山の料理を教えてもらっていたが、まさかここまで達者になっているとは。さすが、母親の血を引いているだけはある。

 暁教官もこれは苦笑いのようだ。

「とりあえず、司君。料理を運ぼうか」

「そうですね、暁教官」

 料理が不得手な俺がいるのも何かと邪魔だろうし、ここは暁教官と一緒にテーブルに移動するのが正解だ。

 俺と暁教官は出来上がっている料理だけテーブルに並べる。

 ある程度並べ終わった後、俺と暁教官は椅子に座った。

 今や、渚のいるところはキッチンではない。厨房と化している。ぐっ、兄としての威厳が無くなるような気がする。

 そんな感想を覚えつつ、数分後。

「お待たせしました!!」

 笑顔で渚は残りの料理を並べた。

 豪華すぎるだろう、これ。中華料理フルコースだ。俺としては最高だが。

 向かい側に座っている暁教官は鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしている。

「渚君は何でも作れるのだな……」

「それは違いますよ。僕が作れるのは知っている料理だけです」

「そ、そうか……」

 恥ずかしそうに渚はそう言ったが、素直に褒められて嬉しそうだ。いや、でも本当に凄いぞ。

 さらに渚のエプロン姿。妹だったら、お兄ちゃんはたまらんよ。って俺は何を言ってるんだ。

 完全に変態発言じゃないか。たとえ妹でもこれはまずい。

 落ち着け、俺。そんな趣味はないぞ、絶対に。

 強い自己暗示をかけ、精神を落ち着かせる。

「こんな豪華な料理を作ってくれるのはありがたいけどな、渚。暁教官を外で待たせるのはまずいぞ」

 一応兄として渚にこれだけは注意する。

「あっ、ごめんなさい。少し気合が入っちゃっいました……」

 それを聞いた渚は暁教官の方を見て、申し訳なそうに呟いた。

 確かに熱が入り過ぎていたよな、今日の渚は。

 まあ、可愛いから許す。

「別に構わないさ。私もこんなご馳走に有り付けて嬉しいよ」

 暁教官は笑顔で渚に返答した。

 どうやら、気にしていないらしい。

「ほら、渚君も座ろう」

「は、はい!! でもその言い方は止めてください……」

 暁教官にそう言われると、渚は渋々と俺の隣に座った。

 まあ、渚だって今年で中学三年生だからな。そんな幼い子供を宥めるような口調はさすがに恥ずかしいだろう。

 とりあえず、変な空気ではないからいいか。

「さて、頂きましょうか」

「ああ、そうだな」

「お召し上がりください……」

 俺と暁教官は最初に焼売を口にする。

 お、美味しい!! こんなに美味い焼売があるのか、驚きだ。

 それは暁教官も同じようで満足げに頷いている。

「うむ、凄く美味しい」

「ほ、ほ、本当ですか!!」

「ああ。こんなに美味い焼売は初めて食べた」

「良かった……」

 食べる様子を観察していた渚は感想を聞き、安心したように呟いた。

 それにしても美味すぎるぞ、渚。いい嫁……いや、いい主夫になれそうだ。

「渚も食べろよ。俺や暁教官ばかり食べてるじゃないか」

「あっ、うん」

 餃子を頬張りながら、渚にそう言った。

 渚も料理を食べ始める。

 凄く美味しそうに食べる渚、悪くない。ってまた俺は……。

「まったく、良い弟を持ったものだな」

「ええ、そうですね。兄としても嬉しい限りです」

 本当に嬉しいし、最高だ。

 こんなに素晴らしい弟はどこにもいないだろう。決して、変な意味ではなく。

「そういえば、暁教官。今日の要件をまだ聞いていませんが?」

 回肉鍋や春巻きを食べている最中で、大事なことを思い出した俺は暁教官に尋ねる。

「ああ、そうだったな。渚君の料理が極上なものなのでつい忘れていたよ」

「まあ、仕方がないです……こんなに最高なんですもんね」

「お兄ちゃんも暁さんもそんなに褒められると恥ずかしいです……」

「そう、照れるな。これは誇っていい所だぞ、渚。おかげで最高の状態で話が出来る」

「その通りだ、司君。私も本当に嬉しいよ」

「…………ありがとうございます」

 さすがに褒め過ぎたか……。

 渚は真っ赤に顔を染めている。そんなところにも渚は可愛いさがある。

 まあ、それはさておき話を進めよう。

「暁教官、神の作り手ゴッドメーカーについて新しい情報が入りましたか?」

 俺がそのワードを口にすると、暁教官も真剣な表情に変わる。

「ああ、そうだ。察しが良くて助かる、司君。神王戦という言葉は聞いた事があるだろう?」

「はい、あります」

 帰るまで俺を悩ませていたのだから、知らないはずがない。

 俺がそう返答すると、暁教官はある資料を取り出す。

「これを見てくれ」

 渡された資料に目を通す。

 どれどれ……。なっ、会場の襲撃事件……!!

 この資料によると、会場の外壁のほとんどの破壊されてしまったらしい。

「これは私達の情報で手に入れたものだ。つまりは極秘という事でもある」

「それにしては堂々と俺に見せていますが……」

「司君以外になら見せないから大丈夫だ」

「なら、いいですけどこの原因不明が気にかかりますね」

 最初のページに襲撃について記されていたから驚いたものの、肝心の原因が分かっていない。

 恐らく、ゴッドメーカーの可能性が高いが。

「まあ、明確な原因物が見つかっていないからな……それが気になっている点ではあるが」

「確かに周りの壁を壊しておいて、まったく証拠が見つからないのはおかしいですね。そんなに会場が古いわけでもありませんよね?」

「もちろん、それが原因ならこんなのは不必要だ。まあ、詳しくはまた調査するつもりだよ。とりあえず、君には神王戦の監視をしてほしい」

「監視ですか……」

「ん? 何か不都合があるのか?」

 俺は頷いてから話す。

「実はですね……俺、神王戦のメンバーになったんですよ」

「えっ、それは本当なの!? お兄ちゃん、嘘じゃないよね……!!」

 先ほどまで照れていた渚が急に興奮した面持ちで俺に話しかけてきた。

 そんなに凄いのか、やっぱり。

「ああ、本当だよ。異例だけど、選ばれたんだ」

「凄いよ、凄いよ、凄い!!」

「気持ちは嬉しいけど、少し落ち着いてくれ。後、悪いんだが食べ終わった料理を片付けておいてくれないか?」

「うん、いいよ!!」

 渚は先ほどよりも何倍も嬉しそうに片付けをする。

 まあ、俺も嬉しいのはある。

 さて、話題を戻そう。

「とにかく、全ての監視をするのは残念ですが難しそうです……」

「そうか。それなら仕方がない。気にするな、司君。今回は大舞台だ。だから、私達の部下を大勢監視にさせるつもりだ。

 安心して参加するといい。私はそんな情報が聞けて楽しみだ。ぜひ、頑張ってくれ」

「お気遣い感謝します、暁教官」

「気にすることはない。ゴッドメーカーの件はこれでひとまず終わりにする。実は今日、もう一つ話しておきたい事があるのだ」

 それは珍しい。

 いったいどのような要件だろうか。暁教官の表情を見る限り、悪い話ではなさそうだ。

「司君、新しい武器が欲しくないか?」

「新しい武器ですか……」

「そうだ。司君の今使っている、能力消滅剣スキルキラーも万能だがその上をいく代物だ」

「俺の剣の上をいく武器……」

「司君が気に入るかどうか分からない。だけど、申し分ない程の武器だよ、それは」

 そこまで言われると凄く気になってくる。

 昔から愛用しているスキルキラーより優秀なんていったいどんな武器だろうか。

「それはどんな武器なのでしょうか?」

「能力としては至って簡単に説明出来る。魔法、剣技、固有スキルなどを奪う武器だ」

「……!! どういう意味ですか?」

「いや、そのままだよ。そうだな……言うならば能力略奪剣――スキルディスピア。相手の持っているものを自分のものにすることが出来る、まさに最強の武器かもしれない」

「そ、それは……俄然、興味が湧いてきました」

 そんな武器を手にできるのならぜひしたいものだ。

「だろう? そこで、だ。私達の研究室に来てみないか?」

 暁教官は面白そうな表情で俺に提案してきた。

「それはいいのですか?」

「ああ、構わない。今まで助けてもらっている身だ。それに一応私の教え子なのだから、それぐらいのお礼は当然だろう」

「ありがとうございます、暁教官」

「気にするな。さて、これでこの話も終わりだ。私達も片付けをしようじゃないか」

 食事を終えた暁教官も片付けを始める。

 俺ももちろん食べ終わっているので、片付けをする。

「明日にでも来い」

「分かりました」

 俺は頷き、その後は黙々と渚の手伝いをした。

 能力を奪う剣、スキルディスピアか……。

 とても楽しみだ。明日が待ち遠しい。

 

 


 

 

 

 追記

 明日、必ず投稿します!!

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