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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第四章 決断編
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第十九話『問題児の打開策』4

 あれからちょうど一時間が経った。

 瀬那姉妹の指示によって、代表メンバーや風紀委員、生徒会などの学園の担い手とされている生徒達が会議室へと集められている。

 言うまでもないが、もちろん俺もだ。

 それにしても凄い数だな……。権力を持っている者達はこんなに大勢の生徒を動かせるのか。実に羨ましい。

 こんな所に俺がお邪魔していいのだろうか。出来るなら参加したくない。場の雰囲気に圧倒されていると、俺の肩を叩く者が現れた。

「やあ、涼風君!!」

「あ、あ、荒井先輩……」

 どうやら荒井先輩もこの会議に参加するらしい。それにしても今日はなぜ白衣を着ているんだ。

 まあ、似合っているから何とも言えない。

「君も真央ちゃんに呼ばれたのかい?」

「いや……まあ、そうですね……」

 正確には強制だけどな。だが、本当の事を言うと後が面倒なので言わないでおく。

 それに少々変態な先輩には余計に話せない。

「いやぁ~、ついに僕も真央ちゃんの役に立つが来たという事だ。よし、頑張るとしよう!!」

 この先輩のエネルギー源はほとんど瀬那先輩なのだろう。

 それぐらい今の荒井先輩はやる気に満ち溢れている。俺にも少しやる気を分け与えてほしい。

「それにしても、どうしてこんなに生徒が集められたのだ? 涼風君、何か聞いているか?」

「ああ、それはですね……」

 俺は荒井先輩に耳打ちをしながら、理由を教えた。

 理由を聞いた後、荒井先輩は眼鏡を多少揺らし、

「なるほど。代表メンバーの数が足りないと」

「はい、簡単に言えばそうです。それについてどうするかを話し合うのがこの会議の目的です」

「よく分かった。ありがとう、涼風君。さあ、僕達も席に座ろうじゃないか」

「そうですね……」

 呑み込みの早い荒井先輩は指定された席へと移動し、腰を掛けた。俺も隣の席に座った。

 もうそろそろ始まるだろう。ほとんどの生徒達が集まっている。

 残りは瀬那姉妹と神人の風紀委員か。

 そう思いながら、辺りを見渡す。

 見渡していると、代表メンバーが座っている席の端にいる千草を見つけた。

 相変わらず無表情だな……。俺自身、千草が笑っている姿などをほとんど見たことがない。最近会ったばかりだから、当たり前か。

 千草は俺に気が付いていないらしいし、後は柊がいるかだ。

「…………やっぱり、いない」

「ん? どうした、涼風君?」

「いえ、何でもありません」

 俺の心の声が漏れていたらしい。

 予想はしていたが、本当にいないとは。今頃自分の部屋で泣き崩れているかもしれない。

 多少の悔しい気持ちはあるが、こればかりは仕方がない。

 次に期待だ、柊。

 心の中で呟いていると、

「みんな、集まっている?」

 瀬那生徒会長と瀬那先輩が入ってくる。

 先輩達が中へと歩いてくると、生徒達が一斉に立ち上がる。

 やっぱり凄いな。俺も遅れつつも立ち上がった。

「姉さん、あいつ以外は全員いるぞ」

「そうみたいね。じゃあ、みんなはどうぞ座ってくださいね」

 生徒達は息を揃えたかのように座った。

 俺だけまだこの雰囲気に馴染めないのだが。

 全員が座ったことを確認した先輩達は、瀬那生徒会長は中央の席へ、瀬那先輩は俺の隣の席へと腰掛けた。

 何だかまた瀬那先輩の機嫌が悪いんだけど……。

「瀬那先輩、大丈夫ですか?」

「まあ、大丈夫だ。相当腹が立っているが」

「それ、全然大丈夫じゃないですよね……」

「真央ちゃん、困っている事があれば僕が手を貸すよ」

「いらん、そんなもの。お前には雑用だけ十分だ。後、いい加減真央ちゃんは止めろ」

 うわぁ……俺の扱いも酷いと思っていたが荒井先輩はもっとだな。

 少し可哀想になってくるな、変態気味な先輩だとはいえ。

「ありがとう、真央ちゃん!! 僕は雑用を極めてみせるよ」

 訂正、この先輩は変態だ。

 どうして俺の周りは変な人ばかりなんだよ。本当に勘弁してくれ。

「はぁ……勝手にしろ」

 良かった。さすがにここでは発砲しないようだ。

 俺はそっと安堵する。

 それはさておき、会議が始まらない。

「あの、瀬那先輩?」

「何だ、司」

「この会議はいつ始まるのでしょうか?」

「まだだ……あいつが来ていない」

 神人の風紀委員か。

 今の瀬那先輩は苦虫を百匹くらい噛み潰したよう顔をしている。

 なるべく火に油を注がないようにしないとな。

「そうですか……」

「まったくだ。私と姉さんがわざわざ呼びに行ってやったのに……これだからな。今すぐにでも発砲してやりたい」

「それは風紀委員長としてどうかと……」

「冗談に決まっているだろう。それぐらい腹が立っているのだ」

 瀬那先輩が言うと冗談に聞こえないから怖い。

 気持ちは何となく分かるが。

「それにしても遅いですね……」

「ああ、遅いな」

 瀬那先輩達が来てから、十五分くらいは経過している。

 そろそろ来てもおかしくない時間だ。というか頼むから来てくれ。隣の瀬那先輩が本当に恐ろしいから。

「…………」

「…………」

 ついにこの部屋が静寂に包まれる。

 いよいよまずい雰囲気だ。何をしているんだ、神人の風紀委員は。

 瀬那先輩が拳を握り始めた。ああ、寿命が縮みそう。

「…………遅い。遅すぎる!!」

「せ、せ、瀬那先輩、落ち着いて下さい。あともう少しで来ますから」

「もう少しだけ待つ……」

 ふうっ……。

 いい加減来てくれ、本当に。

 俺は扉をじっと見つめる。

 まあ、見ても仕方がないか。

「…………本当に遅い」

「ま、ま、まああと少しで――」

 バタンっ!!

 扉が大きく開く音がした。

 ようやくか。

「いや~悪い悪い。ちょっと遅れてしまった」

 結構馴れ馴れしい風紀委員だな。

 身長は高いし、中々の美男子だ。女子に人気があるだろうな。

 羨ましい限りだ。

 それはいいとして、瀬那先輩の堪忍袋の緒が切れそうなのだが。いや、切れている。

「貴様、いい加減にしろ!! どれだけ待たせたと思っているんだ!!」

「まあまあ、落ち着いてよ。そんなに怒ると余計に身長伸びないよ、幼児体型な風紀委員さん」

「わ、わ、私が幼児体型だと?」

「体型はそうですね」

「ふんっ!!」

 痛っ!!

「お前は黙っていろ」

「すいません……」

 足を全力で踏まれた。

 本当に容赦ないな、瀬那先輩。

「ほら、そうやって人に当たるのは良くない。これで身長はまた伸びなくなるな」

「う、うるさい!! 私はまだ成長期だ!! そ、そ、それに今は関係ないだろうが!!」

「それにしては動揺しているけれど?」

「貴様……死にたいようだな」

 まずい。瀬那先輩の怒りは頂点に達している。

 俺のせいもあるが、いよいよ危険だ。

 だが、俺にはどうしようもない。

「まさかここでやるのかい?」

「ああ、貴様には罰を与えなければならない。今すぐに!!」

「待ちなさい、真央。少し落ち着きなさい」

「姉さん……でも、こいつが」

「それが風紀委員のやることなの?」

「……!! す、す、すまない。少し頭を冷やす」

 さすが瀬那先輩の姉だ。

 何とか怒りは収まったご様子だ。

「あなたもよ、若月わかつき風紀委員長。真央を挑発させるような言動は止めてね」

「分かった、善処しよう。少し俺もふざけ過ぎた」

「反省しているならいいわ。早く座ってもらえるかしら?」

「生徒会長の命令なら仕方がないな」

 そう言って、若月とかいう神人の風紀委員長は自分の席へ座った。

「ようやく集まったわね……。それでは、第一回神王戦対策会議を行います!!」

 


 

 明日も投稿する予定です!!

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