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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第四章 決断編
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第十九話『問題児の打開策』2

 投稿期間が開いてしまって本当にすいません。以後、このような謝罪がないよう気を付けます……。

「……という事だ」

 俺はあらかた柊に事情を話した。

 すると、柊は俺が思った通り勘違いしていたのか、少し照れくさそうに、

「そういうことね。……もう!! だったら、最初からそう言いなさいよね!!

 変な勘違いしちゃったじゃない……」

「…………私は嘘、言ってない」

「そうだけど、言い方っていうもんがあるでしょ!!」

 まあ、それはそうだよな。

 千草の言い方が良くなかったというのは俺も同意見である。あんな言い方して勘違いしない方がおかしいだろう。

 一悶着あったが、とりあえず無事収まったのでよしとしよう。

「まあまあ、落ち着け。ここでそんなにむきになっても仕方がないだろう」

「それもそうね。ここで許すとするわ」

 いや、柊に許される必要があるのか。少し疑問に思ったが口にはしない。

「とりあえず、教室に戻るか」

「そうね」

「……千草も同じ」

 同意を貰ったところで、俺達は教室へと歩き出した。

 とはいえ、戻っても何もすることはないけどな……。


 × × ×


 柊達の教室に戻ると生徒達が着実に準備に取り掛かっていた。

 さて、どうするか……。

 俺は何をするのか、特に考えていなかったので少し悩む。

 あっ、そういえば。柊が俺を探していたことを思い出す。

「そういえば、柊。どうして俺を探していたんだ?」

「あっ、そういえばそうだったわね……」

 おい、忘れるなよ。

 まあ、柊はたまにそういう所があるからな。

 俺の言葉を聞いた柊は一拍置いた後、口を開いた。

「実はね、どうしても司達に話しておきたい事があって……」

「達ということは、七瀬や伊吹にもか?」

「ええ。それで司を探していたの」

 そういうことか。

 どうやら柊は俺や七瀬、伊吹を集めて何やら話をするらしい。

 まあ、恐らく時期からして神王戦の事だろうが。

「とりあえず、分かった。それで話はどこでするつもりなんだ?」

「場所ね……七瀬達には神人フロアで話することになっているからこの教室に呼ぶわね」

 柊は制服からスマホを取り出し、電話を掛ける。

 いつの間に電話出来る仲になったのか……。チームの中で親睦を深めるのは勝手だが、俺だけ仲間外れにされているのは気のせいだろうか。

 きっと気のせいのはず。別にそんなので落ち込んだりはしない。

「……うん。一年三組の前に来てね。それじゃ」

 電話を終えた柊はスマホを制服に仕舞った。

「七瀬や伊吹に連絡したのか?」

「ええ、すぐに来るはずよ」

 柊は俺の問いにそう答える。

 それから一、二分経った後七瀬や伊吹がここにやって来た。

「こんにちは、司君」

「ああ、一週間ぶりだな」

「随分と大変な仕事をされているのですか?」

「まあ、そうだな」

 特に精神面で。あの先輩は本当に鬼だ。

 それを心配してくれる七瀬は伊吹と同じ優しい人だ。

「本当に大変なんだよ、七瀬さん。最近、教室にいる時は死にそうな顔しているから」

「そ、そ、それは本当か、伊吹?」

「うん。だから、僕は心配何だからね。こういう時こそ僕に頼ってよ」

 ありがとう、伊吹。本当に天使だわ。

 今の拗ねた顔も輝いて見える……って落ち着け、俺。

 決して俺はそんな趣味ないからな。そう、ないはず……。

 とりあえず、話を聞いている限り伊吹はもちろん七瀬も元気そうだ。俺が居ない間に何か問題が起きていないか、心配していたのだ。

 俺が居ない方が問題起きないというのは、なしだからな。悲しくなるから。

「さて、そろそろ話をしてもいいわね?」

 俺達は頷く。

 頷いた様子を確認した柊は話を始める。

「来月に神王戦があるのは知っているよね?」

「ああ」

「私も一応」

「僕もだよ」

「そう、なら話は早いわ。私も神王戦に参加したいと思っているの。……って何よ? その『参加して大丈夫なのか』とでも言いたそうな顔は」

 柊にしては意外と鋭いな。

 その事に関しては驚きつつ、俺は理由を話す。

「いや、だってお前。そこそこ実力はあるとはいえ、人間側の団体戦だし、それに神人トーナメント戦では二回戦敗退だったよな?

 それで神王戦に参加しようなんて無謀だと思わないか?」

「それは……」

「私も司君に同感です。流石に私も無理だと思います」

「ごめん、僕も」

 俺達の言葉を聞き、一気に柊のテンションが下がる。

 まあ、事実だからどうしようもない。

 別に人間の団体戦が劣っているというわけではない。ただ、神人の方はそれ同様かそれ以上の実力争いになっているかもしれないということだ。

 とはいえ、柊だってこう言われたら、何か言い返すはずである。

 俺はそんなちょっとした希望を抱きつつ、柊を見る。

「…………」

「そこで黙るなよ」

 予想していたが、少しは反論してほしかった。

「う、う、うるさいわね!! それなりの実力はあるから大丈夫よ!!」

「そうだけどな……」

「……スズの言う通り無理だよ」

 気が付くと仕事を終えた千草が俺達の輪に加わっていた。

 俺と柊は分かっているが、七瀬と伊吹は急に入り込んできて驚いている。

「あの、あなたは?」

「……宮美千草。……千草って呼んで」

「名前は分かりましたが、どうして私達の話し合いに参加するのですか?」

「……スズと……な関係だから……」

「おい、変な言い方するな。七瀬、千草はちょっとした知り合いだ。決していかがわしい者ではないから」

「司君がそう言うなら信じます。でも、随分と信頼されてるんですね。スズなんて呼ばれて……」

 何だろう、笑っているのに凄い怖いんだけど。

 俺、七瀬が癇に障ることしたか? 残念ながら、何も心当たりがない。

「いや、千草は勝手に呼んでいるだけだから。俺は別にそう呼べとは命令していない」

「でも、少し羨ましいですよ!! まあ、いいです。とりあえず怪しい者ではないので良かったです」

 どうしてそこで少し拗ねるのだろうか。

 俺は全員と対等に接しているのにな。少し七瀬に対して配慮が足りなかったことに反省する。

「宮美の自己紹介はもういいでしょ。それより私が無理ってどういうことよ?」

「……そのままの意味。……ヒナの成績は芳しくない。……だから無理」

「そんなのまだ分からないわよ。本番で頑張ればいいのだから」

「……成績が良くないのに本番で実力が発揮出来るわけない。……それに選抜がある。……ヒナが選ばれる確率は低い」

 柊に対しては結構辛辣なんだな。

 いや、的を射ているから何とも言えないが。

 千草に痛い所を突かれた柊は少しむきになっている。

「な、な、何よ!! あ、あ、あ、あなただって選抜メンバーになっていないじゃない!!」

 すると、その言葉を聞いた千草は少し腹が立ったのか、制服のポケットからある紙を取り出す。

「……千草はしっかりと選ばれている」

 千草はそう言いながら、その紙を柊に渡した。

 それを見た柊は顔が真っ青になる。

 俺達も気になり、それを確認すると確かに千草は選抜メンバーになっていた。

 というか、千草ってそこまでの実力者だったのか。まったく予想していなかったな。

「大丈夫よ……選抜の通知は……明日までだから……」

「おい、柊? 大丈夫か、凄い心配なんだけど」

「ええ……大丈夫よ……」

 それより選抜の事知っているなら、通知貰ってからこの話しろよな。

 俺は心の中でそう呟いた。

 先ほどまでのやる気に満ち溢れた柊は、はたしてどこに行ったのだろうか。完全に意気消沈である。

「まあ、明日までなら希望はあるな」

「司……そ、そ、そうよね!! きっと何とかなるわよね!!」

「……単純」

「私も同感です」

「確かに僕もそう思うよ」

「俺もだな」

「少しくらい私の事、応援しなさいよ!! 今に見てなさい、明日にはみんな驚かせてやるんだから!!」

 少しは元気になったらしい。

 明日柊が落ち込んでいないかを心配しつつ、今日の仕事を終えた。

 後半、話を聞いていただけだが。

 




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