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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第四章 決断編
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第十九話『問題児の打開策』1

「なあ、そろそろ移動しないか?」

 千草と中庭に来てからだいぶ経った。

さすがにずっとここにいるわけにいかないので、俺は声を掛けた。

「…………スズ、そう言うなら行こう」

 一切抵抗することになく、千草は立ち上がる。

 わがままな子じゃなくて良かった……。

ある誰かさんを思い浮かべながら俺はそう思った。

「…………どこに行くの?」

「一度、千草の教室に戻ろう。お前だって何か準備あるよな?」

「…………ない」

「いやいや、あるからな」

 一応一人ずつ役割があることを説明したのだが、まさか聞いていなかったのか。

まあ、千草が何の準備を把握するのは俺の仕事ではないので知らないけどな。

 とりあえず仕事の有無関係なく戻らなくては。

 授業がないとはいえ、基本生徒は教室にいないといけないからだ。

ちなみに俺は関係ないぞ。問題児以前にな。

「とりあえず行くぞ」

「…………分かった」

「さて、行くか――えっ?」

 俺は一瞬千草が何をしたのか理解が出来なかった。

どうしてそこで手を組む、千草?

 わけが分からないぞ。少し心臓の鼓動がおかしい。

「…………どうしたの?」

 どうやら俺の動揺が伝わったらしい。

下から顔を覗かせながら、千草は尋ねてくる。

 まずい、千草がそういう仕草が可愛いせいか非常に緊張している。

「いや、なぜ手を組む?」

「…………スズ、遠くから見てほしくないって言ったから」

「確かにそれっぽいことを言ったが、限度があるだろう」

 これはさすがに近すぎる。

それにとんでもない勘違いをされそうだ。それだけはなるべく避けたい。

「…………嫌だった?」

「いや、嫌ではないが……」

 むしろ男子としては嬉しい。

くっ、少し柔らかい感触が俺の理性を……。あまり言うと大変な目に遭いそうなので止めておく。

 でも、これは中々だな。

 って、俺はなにを考えているんだ!?

「これだと色々と問題になるからさ。頼むから、止めてくれ」

 口調は冷静に保ちつつも心の中では理性が吹き飛びそうだ。

「…………別に千草は構わない」

「いや、そういう問題じゃない!! 少しくらい恥じらいとかはないのか?」

「…………ない」

「少しくらい恥ずかしがってくれよ……」

 俺だけが緊張しているようで馬鹿みたいじゃないか。

 はぁ……。どうやら別の意味で面倒な少女と俺は出会ってしまったようだ。

 俺に普通な少女は寄ってこないのか。

問題児だからしょうがないか……いや、俺は問題児じゃないぞ。

 気持ちはまだ普通のはずだ。

「頼むから、もう少し距離を取ってくれ」

「…………スズがそんなにお願いするなら仕方がない」

 千草は少し残念そうに俺と手を組むのを止めた。

 まずい。初めての経験だったからついドキドキしてしまった。

幼馴染みである瀬那先輩とでさえしたことなかったのだから、動揺しても仕方がないだろう。

 とりあえず、落ち着け。ここで深呼吸、深呼吸……と。

 ぎゅっ。

「うおっ!?」

 再びあの感触を味わってしまってつい驚いてしまう。

それを見た千草は少し嬉しそうに、

「くすっ…………スズってやっぱり面白い」

「人で遊ぶな、千草」

 最初見たときは物静かそうな感じがしていたが意外と悪戯が好きな女の子かもしれない。

 まったく、気が全然休まらないな……。

 さっさと教室に戻ろう。

そう思いながら俺は中庭の出口へ歩き出す。

「…………もうしない」

「そうしてもらえるとありがたい」

 俺の後ろに続きながら千草はそう呟いた。

それを聞いて俺はそっと胸をなで下ろす。

 だが、ここで新たな問題が起きる。

 扉が開いた瞬間、

「あっ」

「えっ」

 理由は分からないが柊と出くわしてしまった。

「ここにいたのね、司。まあ、そんな事はいいわ。

 どうして宮美と一緒にいるのよ!?」

「…………やあ、ヒナ。大変そうね」

「何、平然と挨拶してるのよ。それに私は柊よ!! ひ・い・ら・ぎ!!」

 相変わらず千草は変わった呼び名をするらしい。

俺が考えるに、恐らく柊のひに成実のなをくっつけてヒナと呼んでいると思う。

「司、これはどういうこと?」

 柊が怪訝そうな表情を浮かべながら俺に聞いてくる。

「えっとだな……」

 参ったな、千草と一緒にいた理由をどう説明しよう。

一難去ってまた一難とはまさにこのことだ。

 千草が俺を見ていたことを話したら、千草が柊にストーカーだと思われてしまう。

いや、ストーカーには近かったけどな。

 追い回してはないから許容範囲だ。

 さて、いきなり手詰まりだぞ……。

 打開策がまったくないんだが……困ったな。

俺は淡い期待を抱きつつ、千草に助けを求める。

 また変な事を言わないのを祈る。

 頼むぞ、千草。

 すると、照れるように千草は、

「…………ヒナに言えないこと、してた」

「……!? えぇぇぇぇ!!!!」

「千草、言い方あるだろう!!」

 頼る相手を間違えたか、俺?

「…………事実でしょ?」

「いや、確かに間違ってはいないが……」

 でもこれじゃあ絶対に誤解される。

「司と宮美が……私に言えない事……? あんなことやそんなことを……」

 現に柊は顔を沸騰させて変な想像している。

「それに間違っていない……? あなたたち、いつの間にそんな関係だったの!?」

「いやいや、誤解だ!! 決して柊が思っているようなことはしていないから!!

 だよな、千草?」

「…………千草は嘘言ってない」

「ほら、やっぱり!! もうそこまでの関係なのね!!」

「だから、違うから!! 千草も誤解を生むような言い方をするな!!」

 最悪の状況だ。

 どうする、俺。

ここまで来たら事情を話すしかない。

 そうしないと俺と千草は恋人関係だと思われてしまう。

「この問題児!! どこまでも問題児!!」

「だから、違う!! わけを話すから落ち着いてくれ、柊」

「ふん。なら、聞こうじゃない」

「ああ、話してやる」

 俺が事情を話すと別の意味で柊が顔を赤面させる。

 ほら、やっぱり勘違いしてたな。





 

 

 


 追記

 間隔が開いてしまって本当にすいません……。明日こそ投稿します!!

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