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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第四章 決断編
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第十八話『不思議な出会い』5

 午前中の授業を終えた後、瀬那先輩の指示により一年三組の教室の前まで俺は足を運んでいた。

 朝のHRホームルームに今年から人間と神人が共同で神王戦の準備するのが伝えられた。

なので、午前は授業をし午後からはどの生徒も準備を行っている。

 俺はその準備の始めとして神人の生徒に挨拶回りをしている。

 最上級生から始まりここ一年三組まで挨拶をした。

まあ、どの教室にいる生徒も歓迎してくれなかったが。

 多少傷付いたがこれぐらいは慣れているので大丈夫だ。

 とりあえず、一年三組の生徒に挨拶をすれば終了ということになる。

 早く終わらせたいな……少し辛い。

 服装を整え、一年三組の扉に手を触れる。

何だが緊張してきたな……。元々参加したのは俺を見ていた宮美千草に会うためだしな。

 少し落ち着こう。まあ、大丈夫だろう。

 自分を安心させた後、扉を開いた。

 よし、入ろう。

 俺は一歩踏み出す。

そして、少し早歩きで中に入った。

 俺が教卓の前まで行くと、今までの違うことが起こる。

 一つは俺の知っている少女が俺を見ながら固まっていること。

もう一つは俺を見ていた少女が驚いた表情をしていること。

 後は俺に冷たい視線を向けている生徒が多数。

 さっさと自己紹介をしよう。

「えっと……今年から始まりました合同委員会に所属している涼風司です。

 神王戦準備の間だけになりますがよろしくお願いします」

「「「「……」」」」

 上っ面の言葉だけあってか反応がない。

いや、分かっていたが。とはいえ、少し悲しい気分になる。

 問題児だから余計に俺に対して冷たいのだろう。

「何か質問はありますか?」

 まあ、何もないだろうと思った矢先、

「どうして……どうして問題児のあなたがこんなことしてるのよ!!」

 俺の仲間である柊成実ひいらぎなみが大声で質問をしてきた。

そうだよな……こいつからは沢山あるだろう。

 変な感じだが、適当に返すか。

「それはもちろん反省としてですよ。当然の行為だと思います」

「嘘を吐きなさい!! 日曜日に何で俺はこんな目にって叫んでたでしょが!!」

 余計なことを……というかなぜ知っているんだ。

まさか柊にまで見られていたのか。理不尽だ、まったく。

 柊のせいでより視線が痛いじゃないか。

「そ、そ、そうでしたか? 気のせいだと思いますけど……」

「あんな大声、どうやって間違えるのよ!! あと、その喋り方止めなさい!! 気持ち悪いから……」

「それは言い過ぎだ、柊!! あっ……」

 いつもの口調になってしまった。

 ああ、最悪。ええいもう仕方がない。

「ふん。ぼろが出たわね……」

 そこで威張るなよ、柊。

「お前のせいだろうが!! まず日曜日、訓練室にいたはずだろう。どうしてお前が俺の声を聞いているんだ?」

「えっ……それはその……」

 そこで顔を染めるな、柊。

照れ隠しなのか、動揺しているのかどうかは知らんが誤解されるからその反応は止めてくれ。

「おい、柊?」

「う、う、うるさいわね!! たまたま通りかかったのよ!!」

「苦し紛れの言い訳がそれですか……」

「ち、ち、違うわよ!! この問題児!!」

「だから俺は問題児じゃない!!」

「今は問題児でしょうが!!」

 まずい、柊がヒートアップしている。

いや、俺もだけど。

 どんな茶番だ、これは。

「もう知らない!!」

「勝手に拗ねるなよ……」

 俺とはあさって方向を向いて柊は拗ね始めた。

まったく、俺が来たぐらいで動揺し過ぎだろう。

 はぁ……視線が痛いな。特に男子から。

気持ちは分からないわけではないが……違うからな。

 彼らは俺を問題児として見ていない。

 とりあえず、終わらせる。

「お前たちが俺を問題児と思うのは別に良い。ただ、神王戦の準備をしたいのは本当だ。

 そんなに気に入らないのなら扱き使っても構わない。ある程度は必ず協力する。

 だから、少しぐらい人間を歓迎してくれ」

 本当の気持ちを含めつつ俺はそう言った。

 神人に軽蔑な目で見られるのは百も承知だ。

だけど、少しぐらい歓迎されても悪くないだろう。

 俺はそう思っている。

「「「「……」」」」

 駄目か……。

 俺が諦めかけていると、

「私は別に構わないわ」

 先ほどまで拗ねていた柊が俺に賛成してくれた。

「柊……」

「か、か、勘違いしないでよ!! 私はあなたの仲間として当たり前のことを言っただけだから」

 何となく誤解されるような言い方は止めようか。

 まあ、これが柊の優しさだから仕方がない。

 それに柊のおかげで他の生徒の視線が良くなったしな。

俺を覗いていた彼女は罰が悪そうな表情をしているが。

『柊さんが言うのなら……』

『まあ、いいかな』

『頼むよ、人間さん』

 良かった……。どうやら歓迎してもらえたようだ。

 何だよ、柊。お前は人望あるじゃないか。

前までの仕打ちはなさそうだな。

「みんな、ありがとう。じゃあ、少しの間だがよろしく!!」

 軽い拍手が起き、ようやく俺の自己紹介が終わった。

 


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