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最強の問題児と最弱の神人少女  作者: 鈴夢 リン
第三章 奮闘編
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第十七話『問題児はどこまでも突き進む……』3

 後半の内容を修正しました……。分かりにくい文章を書いてしまいすいませんでした。

 司君、頑張ってますね……。

 私――七瀬唄は目の前の相手と戦いながら、司君の状況を確認していた。

 今の所、私も司君も苦しい状況にはなってはいない。

私もこの二丁拳銃ツインライフルで、的確に相手の攻撃を阻害しているから大丈夫なはず。

 ですが、

「中々粘り強い相手ですね……」

 私の相手である鶴川亜里沙さんは私の銃弾の来る方向を読み取り、それをいとも簡単に打ち払っている。

久しぶりにこんな相手に会いました……。

 彼女の身体能力ももちろんだけど、特にあの短剣。

 状況に応じて形が変化する短剣なんて聞いた事ないです……。

苦しい状況にはなっていないとはいえ、私の攻撃が一切当たっていないのはまずい。

「どう? この転換短剣スイッチダガーの力」

「私にとっては最悪の武器ですね……まったく」

「そう、遠距離を得意としているあなたにとっては最悪の相性ね。弾丸が通らないんじゃ逃げるしかない。

 防戦一方という奴だわ」

 どうやら鶴川さんは少し余裕が出てきているようです……。

 まあ、でもそれでいい。

それが私の作戦であり、司君の作戦なのだから。

 油断。その甘えた感情を引き出す。

 私はツインライフルを鶴川さんに向ける。

「何度やっても同じなんじゃない? ただの消耗戦になっちゃうわよ?」

「そうでしょうか? 私はそう思いませんけどね!!」

 銃弾を放つ。

一弾は手に、もう一弾は足へと。

 もちろん、これが弾かれることは分かっている。

 ガチンっ!!

 そんな音がしてスイッチダガーと言われる短剣に銃弾を粉砕される。

銃弾を粉砕した鶴川さんは先ほどよりも余裕の表情を見せた。

 だけど、それが油断です……!!

 私は鶴川さんに迫る。

「――っ!?」

 今のは予想していなかったのか、明らかに動揺している。

やっぱり油断していたんですね……。

 ここまで作戦通りです!!

「はっ!!」

「……!!」

 私は隙のある足を狙って、足払いをした。

当然、鶴川さんは体勢を保てるわけはなく……。

 鶴川さんは地面に倒れた。 

 今もどうしてこうなっているのか、困惑しているでしょうね……。

 少し意地悪な私が心の中で嬉しそうに呟いている。

「ど、ど、どうして……?」

「もしかして、知らないんですか? 攻撃は武器による攻撃だけでは限らないことを」

「……!?」

「それに鶴川さん、あなたは油断していました。きっと私がもう策がないとでも思っていたのでしょう」

「まさか、この状況に追い込むために仕掛けたの……?」

「はい、その通りです」

 私はツインライフルを再び向ける。

この至近距離なら、反則に近い短剣だって通用しないだろう。

「恐らく、伊吹君も司君に同じような状況になっているはずですよ。

 隙を突かれて焦っているでしょうね」

「……!!」

「もちろん、全て作戦ですよ? 司君と私の作戦は至極簡単ですけれど、形勢逆転の作戦です。

 あなたたちは最初から私と司君の手のひらに居たというわけです」

「そんな……嘘でしょ」

 事実を叩きつけられ、鶴川さんは苦しい表情をする。

 少し心を揺さぶってみますか。

「実力はあるものの、まだまだ爪が甘いですね。あなたには伊吹君は合いませんよ」

「どういう意味よ?」

「ですから鶴川さん、伊吹君のことが好きでしょう?」

「……!! ち、ち、違うわよ!!」

 鶴川さんは今まで以上に動揺する。

予想通りですね……。

「本当ですか? 初めてお会いした時、鶴川さんは伊吹君しか見ていなかったですよね。

 どうして、話している相手は司君なのに伊吹君の方に視線を向けたのですか?」

「そ、そ、それは……」

 図星のようですね……。

 鶴川さんは顔を真っ赤に染め、下を向いている。

「それに、自分で呟いていたじゃないですか。最初は伊吹君に見てほしかったと」

「き、き、聞こえていたの!?」

「それはそうですよ。他の皆さんには聞こえていなかったようですが、私にはっきりと聞こえましたよ」

「…………」

 痛い所を指摘され、鶴川さんは黙り込む。

まさか、ここまで私の考えた通りになるとは……。

「まったく、正直じゃないですね」

「あ、あ、あなたに何が分かるっていうの!!」

「分かります」

「……!!」

 私は強くそう言い切った。

「私も鶴川さんの気持ちは分かります。私にも大切で大好きな人がいますから」

「大切な人……?」

「はい。私はとある理由で彼を無理やり手に入れようとしていました。その時はもちろん彼には好意など一切持っていませんでした。

 でも、道を誤った私は彼に救われたのです。彼はそんな最低な私を仲間だと言ってくれました。初めて私という存在を許してくれた気がしました。

 本当に嬉しかったです。そんな優しい所が私は惹かれたのでしょう。鶴川さんだって、伊吹君に大切な何かを与えられたはずです」

「……確かにそうかもしれない。でも、あなたのような大それた理由じゃない。

 私は傍で笑ってくれる伊吹に惚れたの。だから、今回は負けられなかった」

「別に悪くない理由だと思いますし、理由が大事ではありません。

 大事なのは好きな人をどこまで信じていけるかです」

 信じる……。

 それは簡単そうで意外と難しい行為。

私はそれが司君と出会うまでなかった。

「話を戻しますが、どうして私が鶴川さんに伊吹君は合わないと言った理由は分かりますか?」

「……分からない。今だってそう言われたことに驚いているわ」

「なら、教えてあげます。あなたは伊吹君のことを信じていなかったからです」

「私が伊吹を信じていない……?」

「はい。恐らく鶴川さんは一週間伊吹君を自分のチームに留まらせようと頑張ったはずです。

 それは確かに大事な取り組みだと思います。しかし、それは鶴川さんのわがままですよ」

「……!!」

 やはり分かっていなかったみたいですね……。

まるで、柊さんを見ているようです。

「司君と伊吹君を見てください」

「……!! 伊吹が笑ってる……?」

「まったく、本当に楽しそうに二人とも戦っていますね」

「どうして……負けたらあいつのチームに移動しないといけないのに」

「簡単ですよ。ただ、伊吹君は司君と本気で試合をしたかっただけなのです。

 思い出してみてください、試合をする前の彼らの表情を」

「……!! 伊吹は今までに見たことがない嬉しそうな顔をしていた……」

「分かりましたか? 鶴川さんはこうであってほしいという欲望を伊吹君に押し付けていたのですよ。

 勝つためだけに頑張っていた鶴川さんには無理な話だったかもしれません。伊吹君の思いには一切応えていなかったのです」

「……そんな……私が頑張ってきたのは……ただ……わがままだというの……」

 鶴川さんはようやく気が付いたようで、暗そうな表情を浮かべる。

でも、分かってもらえてよかったです……。

 私は心の中でほっとする。

「私は彼、司君のことを信頼しています。だから、私は思いっきり鶴川さんと戦えました。

 そして、追い詰めました。これが私と鶴川さんの差です」

「……私の負けだわ」

 鶴川さんはそう呟いた。

「私は伊吹を信じ切れていなかった。だから、こうして迷って油断して、そしてあなたに負けた。

 まったく、情けない話」

「別に気にする必要はないですよ。鶴川さんはこうして間違いに気付けたのですから。

 今のあなたなら、一歩踏み出せるはずです。だから、こんなところで諦めないでください」

「それぐらい……分かってるわ」

 鶴川さんは首に掛けていたペンダントを外し、私に渡した。

 これで、後は司君たちの試合だけとなりましたね……。

 頑張ってください……司君。

私は心の中でそう応援した。


 

 


 




 

 次回、決着です!!

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