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照れ屋高校生の初恋のゆくえ?!

作者: ミー子

私では3段目の初恋小説!

珍しい人物目線です!

とっても甘くて、少しだけ苦い?小説、ご賞味下さい。

今回はおまけ付き!

俺の名前は、飯泉(いいずみ)(しょう)

高校3年生だ。

今、俺には好きな子がいる。その子は凄く美人だ。

セミロングで、色白でほっそりしている。

目は垂れ目で、笑うとすごくかわいい。そして、誰にだって優しいんだ。

俺と同じ男子たちは、その子のことを狙っているに違いない!

ただ、俺はなぜか素直になれない。

好きな子には、冷たい態度とってしまうんだ!ああ、どうすればいい?


「翔!教室の入り口で何おでこガンガン打ちつけてんだよ。早く教室入れよ」


廊下の壁に額を打ちつけていたらしい。

なるほど確かに、額がズキズキと痛い。

その額の痛みと友人の声で我に返った。


「ああ、彰浩(あきひろ)!悪い悪い!入るわ」


頼むぜ本当に……とあきれた様子でソイツは俺の後に続いた。

席について、彰浩のところに向かった。


「んで、お前あれかよ。田島(たじま)の事、まだ諦めてねえの?」


俺が彰浩の席に行くと、彼は唐突に言った。

田島 (もも)俺の好きな子だ。


「田島、男子の間ですっげえ人気じゃん。お前なんかが適うはずないっての」


彰浩はケラケラと笑いながら言うが、俺は本気だ。


「まあ、俺は田島よりも、田島の友達の石川のほうが好きだけどね」


石川 麻衣子(まいこ)は、桃の友達で、毎日一緒にいる。

確かにい奴だが、男子を平気で殴って撃退するようなやつで、俺は正直あまり好きではなかった。


「おい、いい話教えてやるぜ。田島な、もうすぐ誕生日なんだと」


彰浩は俺の耳を引っ張ると、小声でそう言った。


「それってマジかよ!」


「おお?おもしろい話してるなぁ!」


石川と……俺の想い人の田島がいる?!


話に入ってきたのは、石川だった。田島は石川の後ろに引っ込んでいた。


「石川、なんだよ?お前には関係ねーし!」


石川は、俺の方を見ると、ニヤッと笑い、こう言った。


「そして田島!お前にも関係ないし」


また田島にわざと冷たくしてしまった!

俺ってばいったい……

田島は顔を赤くして俯いてしまった。

それを見て俺はまた後悔をする。

ここでフォローを入れなければ!


「てのは、うそで……居たければ、いても、いいんだぜ?」


上手くフォローした…つもりだが、田島はそっぽを向いてしまった。

石川は俺を見ながら田島と一緒に席に戻って行った。

あああああああああ!俺のバカ!

彰浩はニヤニヤと俺を見ている。

嫌な奴だ!だから俺の友人なんだ!

と、訳のわからないことを考えながら自分の席に着いた。

やがて担任の先生が来て、ホームルームが始まった。

注意事項とかもうすぐ体育祭だとか、どうでもいいようなことを話して

いったん教員室へと戻ってゆく。

その5分休みの時に、石川が俺の席に来た。


「飯泉、飯泉」


「何だよ石川」


俺は心底迷惑だ、という顔をしながら石川を見る。


「今週の土曜、あいてる??」


ニカッ!と笑いながら石川は俺を見た。


「あたしの買い物、付き合って!」


俺の時間は、一時停止した。

買い物?何で?俺と石川が?


「理由は内緒だけど、モモへの恋、手伝ってやるから」


俺の心臓は、うるさいくらいに高鳴った。

顔が熱い。今日は夏日だ。俺のところだけだろうが。



そしてその土曜日が来た。

待ち合わせ場所は、ショッピングモールのメインストリート。

石川はまだ来ていない。

いったい何を買うのだろうか?

人はざわざわと楽しげだ。

アイスクリームを食べている親子や、仲がよさそうな恋人たち。

キャッキャとはしゃぐ女子高校生。

ゲームセンターで騒いでいる男子の声までが聞こえる。

ああ、いいなぁ。俺も田島と…って、何を考えている!俺!

今日は石川と買い物だ!


「おーい!飯泉、遅れてごめんね!」


石川が来た。

学校で見るのとは違う、白いワンピースを着ていた。

結構かわいいと思った。

まあ、田島のほうが上だが。


「おせーよ!石川!」


「ごめんね、女には色々あるんだぁ」


石川は悪びれもせずに弁解した。


「さ、行こう」


石川が俺の手を引っ張った。


「え?どこへ?」


「モモのプレゼントを買いに!」


「え?!おい!」


石川は楽しそうに俺の手を引っ張る。

エスカレーターを登り、2階へ向かった。手をひかれながら色々な店の前を通り過ぎた。

その間も石川は楽しそうにしていた。


連れていかれた先は、パワーストーンを売っている店だった。

いかにも女の子が好きそうなネックレスやら、綺麗な石やらが並んでいる。

メンズ専用アクセサリーのコーナーも作られていて、なかなか好感のもてる店だ。

シルバーメインの龍がモチーフのパワーストーンのペンダントや

ゴツいブレスレットも用意されている。

見やすい配置で、俺はなかなか気に入った。


「さ、この中から一緒に選んでよ」


沢山のかわいらしいネックレスが売られているコーナーへと連れて行かれた。

猫がモチーフのもの、アルファベットがモチーフのもの……

みんな、きらきらとした小さな石がはめ込まれていた。



「あたし的には、これがいいと思うんだけど……」


石川は、ネコがモチーフの、緑色の宝石がはめ込まれたシルバーのネックレスを指した。

確かに可愛いが、そんなものは、田島には似合わない!


「それもいいと思うけど、田島にはこっちの方がいいさ!」


俺は目の前にぶら下がっていた、クローバーがモチーフのネックレスを手にとった。

田島がこのネックレスを身につけている姿を想像する。

絶対にかわいいと思った。


「あ、ペアセットがあるなぁ」


促されて見ると、斜め前にペアセットがある。

月のネックレスと、太陽のネックレスで、女子とかが友達と一緒につけていそうだ。

月のネックレスも、田島に似合いそうだ。とぼんやりと思う。


「なかなかかわいいな」


「な!折角だから買ってこう?」


「はぁ?どーしてだ!」


俺は顔をしかめる。何でこんなやつと!


「今日の記念だよ!いいでしょ!」


石川は斜め前のペアセットと、俺が選んだクローバーがモチーフのネックレスを

持って会計レジに行ってしまった。

やめてくれ!俺が石川のことが好きだと思われるだろう!

俺は顔を真っ赤にしながら伏せた。



次の日、俺は、石川から受け取った田島へのプレゼントを鞄に忍ばせて登校した。

そしてなぜか、石川と俺が付き合っているといううわさが流れた。

別のクラスの女子でもみていたのだろう。

とんでもないうわさだ。俺があんな奴を好きになるわけがないだろう。

石川は気にしている様子もなく、いつも通りあっけらかんとしている。

彰浩は俺を気にしてか、授業中にこっそりと耳打ちしてきた。


「飯泉、お前大丈夫かよ?石川と田島を二股かけてるって噂も流れてるぞ」


「知らん」


そう言って田島を見る。

田島は少し元気がなかった。

体調でも悪いのか、心配だ。


退屈なLHR (ロングホームルーム)が終わり

俺は田島のところへ行った。


「おい、田島、元気がないぞ?大丈夫か」


田島は俺をみると、プイッとそっぽを向いた。

そして歩いて廊下へさっさと行ってしまった。

俺はなんだか、少しだけだが頭にきて、鞄に入っていたプレゼントを反射的に手に取り

田島を追いかける。


「お、おい待てよ!」


俺の声に気づいて、彰浩と石川がこっちを見た気がしたが、俺は無視をした。


廊下へ出て、田島の後を追った。

出入り禁止となっている屋上への階段へ続く廊下を田島は歩き、俺は彼女の後を追う。

田島は俺に気づいているのかいないのか分からないが、さっきから怒っているように見える。

屋上の出入り口のドアノブに手をかけたところで俺は田島の肩を捕まえた。


「何怒ってるんだよ?」


「怒ってない!」


田島が珍しく声を荒げたので少し驚いた。

田島は続けた。


「飯泉君、麻衣子が好きなんでしょ!なら、麻衣子といればいいじゃない!」


「どうしてそうなるんだよ?!」


俺もさすがに頭にきて、少しだけ怒った。


「だって、隣のクラスの女子が言ってたわ!飯泉君、麻衣子と一緒に居たって」


「誤解だ!」


「ペアリングまで買ってたって!」


何でネックレスが指輪になっているのか。

確実に噂に尾ひれがついている。


「じゃあ何してたって言うのよ!」


田島が声を震わせて俺に振り返る。目元が赤くなっていて、泣いているようだ。


「私の方が、飯泉君のこと好きだったのに!」


俺は本当に驚いた。

田島が好き?俺のことを?

クラス1の美少女が俺を好き?

頭の整理がつかなくなり、俺は呆然とした。


「でも、飯泉君が麻衣子のことを好きなら、あきらめるわ……潔く」


田島はうつ向いた。

俺は反射的に、叫んでしまった。


「俺は、石川じゃなくてお前が好きなんだよ!田島!」


ああああああ!言ってしまった!


「え……麻衣子じゃなくて?」


田島がこっちを見た。

お互い気まずくなって、うつ向いた。


「そうだよっ」


俺はよそ見しながら答える。

誰が石川なんか好きになるが。石川が好きなのは、彰浩のほうだっ


「ほらっ!」


プレゼント、と俺は田島に差し出す。

昨日買ったネックレスだ。

田島は驚いたように、包みを開けた。

その中身に俺は驚いた。

なんと、石川が自分と俺に買おうといった月と太陽の、あのペアネックレスだ。


「これ、飯泉君が……?」


俺も驚いた。

石川は、記念にとそれを買ったはずだ。

俺が選んだのは、クローバーがモチーフのネックレスのはずだ。


「そ、それは石川が選んだ奴だ!俺は知らない!」


今度は俺がそっぽを向く番だ。

石川、あのクローバーはどこへやった?


「でも、ありがとう!かわいいね!」


田島が笑う。とってもかわいい、太陽のような笑顔だ。


「はい、飯泉君」


太陽のネックレスを差し出された。


「2つあるから1つあげる」


俺は、照れながら受け取った。

田島は月のように、やわらかく優しい。

俺は太陽のネックレスをポケットに突っ込みながら、田島に戻るぞと促す。

田島の首には、さっき俺が渡した月のネックレスが控え目に輝いていた。

いつの間にかつけたのか。


俺たちは2人並んで階段を下りた。



                     END



おまけ↓


麻衣子は、階段下の、物置の前――――つまり死角に隠れて二人の様子をうかがっていた。


「あーあ、告白しちゃったか、飯泉」


石川の学校指定のベストのポケットには、翔が選んだクローバーのネックレスが入っていた。


「あたしも飯泉のこと好きだったのに……」


唇をとがらせながら麻衣子は言う。

その声音は少しばかり残念そうだった。


「ま、いいや」


麻衣子はポケットからネックレスを取り出すと、先ほどまで2人が降りてきた階段に目をやる。


「そのペアネックレス、あげるよ。あたしには似合わない。

飯泉とモモだからこそ似合う」



麻衣子は、ネックレスをポケットに入れながらほの暗い廊下を1人で歩いて

教室に向かった。

廊下には初夏のにおいがかすかに漂っていた。

読んでくださりありがとうございました。

私初のキャラ目線でしたので、楽しく書きました。

最後は少しだけハラハラさせようと頑張りました。

そして、麻衣子ちゃん目線のおまけも書いて、楽しかったです☆

あと、麻衣子ちゃんは、実は私の恋愛小説デビュー作である

「十六夜までの不思議な1週間」

にも登場しています。

そちらもぜひご賞味くださいね


今回は本編は甘み93パーセント

酸っぱさ4パーセント

苦さ3パーセントです。

隠し味は「苦み」でした。

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