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今までになかった朝

ピピピピ…

 目覚ましの音が鳴る。その音に反応し布団がもぞもぞと動き、

「ん~…」

 麻奈は、背伸びをしながらベットから起きた。

(はぁ…もう、朝か~…いろいろ考えながら寝ちゃった所為か、寝不足気味かも…そういえば、今度から四人分のご飯を準備しなくちゃかな…)

 そんなことを思いながら、パジャマのボタンに手をかけた。


 着替えが終わり、階段を下りてリビングに入り、壁にかけてあったエプロンをつけながらキッチンに向かった。

 お米は、昨日の内に洗って水につけてあるので、炊飯器のスイッチを押す。冷蔵庫から朝食の食材をだそうと、冷蔵庫の扉を開けた時に後ろから声をかけられた。

「朝からご苦労だね、麻奈」

「あ…枯葉さん。おはようございます」

「ん…おはよう」

 枯葉がリビングの入り口のそばの壁に寄りかかりながらこちらをうかがっていた。

「枯葉さんこそ、早いですね…寝付けませんでしたか?」

「いや、そんなことはない。ゆっくり、休ませてもらったわ」

「そうですか。それなら、よかったです」

 会話を続けながらも、麻奈は、朝食の準備をしていた。

(慣れたものね~…)

「毎日、この時間に起きているの?」

 枯葉が関心しながら聞いてみる。

「いえ、毎日ではないですよ。休みの日は、もう少し遅いです」

「そうなの」

(家事のために毎日ってところは変わらないみたいね)

「何か、手伝おうか?これでも、それなりにはできると自負しているわ」

「大丈夫ですよ。好きでしていることなので、苦でもないですから、ゆっくるしていてください」

「そう?それなら、そうさせてもらおうかしら」

 枯葉は、リビングから直接外につながるガラス戸を開け、そこに腰かけた。

「ごめんなさいね…迷惑かけてしまって…」

 枯葉の謝りに、麻奈が少し驚いていた。

「ん?どうしたの?」

「あ…いえ…昨日、拒否権がないなどを言っていたので、罪悪感などはないものだとばかり…」

「あはは♪麻奈も、言う時は言うのね~」

「あ…ごめんなさい…」

「気にしないでいいわ。そう思われても仕方ないものね。でも、一応、罪悪感はあるつもりよ」

 枯葉は、笑いながらそう言う。つられてか、麻奈も少し微笑んでいた。

「わたしも、予想していたことと違ったところがあったから、戸惑っているわ」

「違ったところ?」

「そ…ココの性格ね…まさか、わたしに歯向かう性格で生まれてくるとは思わなかったわ…それに、麻奈にもつれない態度だし…」

「あぁ…お兄には、すごい、懐いてますよね」

「刷り込みの延長線で、願いの元となる人物を好きになるはわかっていたのだけど、少し、度を越えてるのよね」

「………」

 麻奈は、ココの態度を思い出し、少し、黙ってしまった。それを見ていた枯葉が、

「ふふ…♪心中、穏やかじゃなさそうね?」

「そ…そんなことは、ないですよ…」

 麻奈が、少しづつ小声になりながらも答えた。

「わかった。ココや神のことでの説明役で残ることは考えていたけど、それとは別に、麻奈をサポートしていこうかしら。ココに嫌われてる者同士ね」

「え…?」

「迷惑かな?」

「いえ、そうではないのですけど…」

「よし、決まりね。改めて、今後もよろしく」

 枯葉に、半ば押し切られる風ではあったが、麻奈も少し楽しそうに、

「はい♪こちらこそ、よろしくお願いします」

 と、笑いながら答え、朝の時間は過ぎて行った。


 麻奈と枯葉の会話より、ほどなく時間が経ち、雄樹の目覚ましも音を鳴らし始めた。

 雄樹が起き上がろうとしたのだが、腹のあたりに重みがあり、起き上がれなかった。

「ん?」

 首を少し持ち上げ、腹の方に視線を向けると、狐が半分乗るように寝ていた。

(えっと…)

 起き抜けの雄樹が、状況を理解するのに少し時間が経ち、

(そっか…そういえばココが一緒に寝るだったか…すぐに、寝てしまったから、寝るところを確認せずに落ちてしまったのか…)

「ココ、起きろ。朝だ」

 右手でゆさゆさと揺らしながら、起こしてみる。

(毛がふかふかだな…結構、気持ちいいな)

 少しし、ココが体を起こし、伸びをし始める。

{あ…お父さん…おはようなのです}

「あぁ、おはよう。」

 ココが退いたことで、雄樹もベットから起き、立ち上がる。

 クローゼットから制服を取り出し、着替え、リビングに向かう。

 その後ろから、ココもついていく。

 リビングに到着すると、テーブルには朝食が並んでいた。

(ほんと…毎日、タイミングが合うのだから、驚きだな…)

「おはよう、麻奈」

「あ。おはよう、お兄。ココちゃんもおはよう」

 麻奈が雄樹に挨拶し、後ろから来ていたココにも挨拶をしたのだが、ココはぷいっと顔をそむけた。

「ココ…挨拶されたのだから、ちゃんと返す」

 雄樹に怒られ、しゅんとし、

{おはよう…}

 と、落ち込みに答えた。

「くすくす♪ちゃんと、お父さんしてるじゃないの?」

 その声に反応し、ガラス戸の方に目を向けると、枯葉が居た。

「そういう訳ではないのだが、間違ってることではあるのだから指摘したまでだ」

「それで、いいのよ。やっぱり、わたしの選びは間違ってなかったってことなのかな?♪」

「はいはい…それじゃ、ご飯をいただくか」

「冷たい反応…ね~?麻奈」

「そうですよ、お兄」

 仲良さそうに、二人は雄樹を責める。

「何かあったのか?軽い人見知りの麻奈にしては、珍しい気がするが?」

「わたしと麻奈、仲良しなのよ」

「お兄には内緒」

「…。何があったかはわからないが、とりあえずご飯だ。遅刻するぞ」

「はーい」

 それぞれがテーブルの席に向かう。いつの間にかココも人型に変身していた。

「いただきます」

「「{いただきます}」」

 昨日と同じで、ご飯を食べ始めた。

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