型破りな親友
枯葉との念話が終わり、授業も滞りなく進んでいった。ココもぬいぐるみに変わり、昼休みを迎えた。
チャイムが鳴って、少し経ち、
「よっしゃ。飯にしようぜ、雄樹」
凪が雄樹の近づきながら言ってきた。
「そうだな。それに、朝の件についても話せるようになったからな」
雄樹がカバンを手に取りながら立った。
「お。ようやくか~…それは、楽しみだな~♪」
凪が嬉しそうに答える。
「ただ、いつもと違い一人増えるが…」
「一人?一匹じゃなくてか?」
凪が、カバンに目線を向ける。凪も、予想はしていた。
「まぁ…そのことについては、後で話す」
「だな。それじゃ…」
凪が、教室を見渡しながら、
「姫~…麻奈~…それじゃ、行こうか~?」
少し離れたところで話してた二人に凪が呼びかけた。呼ばれるのを話しながら待っていたのだ。
「もぅ、遅いよ~…お腹へってるんだから、早く呼んでよね…もう少しで、麻奈を食べちゃうところだったわ♪」
「ふぇ?!」
姫華の言葉に、麻奈が驚く。
「冗談だから気にするな、麻奈…姫も、麻奈をあんまりからかうなよな…」
「あはは♪」
雄樹が呆れながら言うと、姫華が笑った。
「でも、そうか…それは、待たせてすまなかったな…」
「いや…そう、謝れるとこっちも戸惑うのだけどね…」
姫が、少し慌てる。
「大丈夫だ。それをわかって言ってるのだからな」
「む~…それはそれで、癪なのだけどねぇ…」
「はいはい。それくらいにして、早く行こうぜ~。時間も少ないんだしさ」
雄樹と姫のやり取りを、凪が静止に入る。
「そうだな」
四人は、いつもの場所へと向かった。
いつもの場所に着き、定位置に座り、それぞれが昼ご飯を出した。
「さてと…それじゃ、食べながら話をするか。その前に…」
雄樹が、カバンから狐のぬいぐるみを取り出した。
「まず、紹介しないとな。ココ」
雄樹の呼びかけでぬいぐるみが光り、姿が大きくなっていく。
狐の姿のココが現れ、
「朝見たよな。それと…ココ。人型で居てくれるか?」
{はいです}
ココ(狐)は頷き、また光を放ちながら変わる。そして、ココ(人)が現れた。
それを見ていた姫華と凪からは、言葉がなかった。
(やっぱり、常識的に考えて無理だったか?)
雄樹はそう思いながら麻奈に視線を向けたが、麻奈は首を傾げた。
そして、二人から反応があった。
「なに、この子?!かわいい~♪持ち帰りた~い♪いい?いいよね?駄目?それにしても、今の和服でもいいのだけど、洋服が似合うと思うのよね~?ねぇ、今度、お姉さんと買い物に行かない?絶対に、損はさせないわよ?雄樹、了承頂戴!」
と、すごい勢いで話しながら、姫華はココ(人)に寄っていく。
そして、凪も…
「ふむ。二次元ではよくある獣耳娘だが、現実で見れるとはな…これは、なかなかにグッとくる。それに、狐耳というところがポイントだ。今までは、あんまり興味がなかったが、その考えは変わりそうだ。グッジョブ!」
そんなことを言いながら、ココ(人)を観察していた。
「「…」」
そんな二人を見ていた雄樹と麻奈が、絶句していた。そして、ココ(人)は、
{ち、近寄るなです。見るなです}
ココ(人)が後ずさりしながら、雄樹の背中に隠れた。
そして…
「おまえら、絶対、おかしい!!」
雄樹は、二人に向かって言い放ち、麻奈は苦笑を浮かべていた。
その言葉に、二人はというと…
「え~…こんなかわいい子を見かけたら、普通じゃない?むしろ、かわいい子を放置する方がどうかしてると思うのだけど?」
「こんな、面白そうなことが起こってるんだ。否定するより、肯定したほうが楽しいにきまってるだろ」
と、自論を言い始める。
「はぁ…話す相手の選択、間違えたか…?」
雄樹はあきれながらこぼした。
「まぁまぁ、兄さん。さっきだって、二人のおかげで助かったんだから。ね?」
雄樹をなだめながら続ける。
「それに、ひとまずお昼ご飯にしよ?時間も大分経っちゃったし…」
「そうだな。それに、この後も、また、疲れる奴と話さないとだからな…」
「あはは…そうだったね…」
「ぶ~ぶ~…疲れるってなによ…失礼するわ」
「そうだそうだ。分かってしてるんだから、問題ないだろ?」
姫華と凪が、文句言う。
「なお、性質が悪いわ!」
姫華と凪が笑いあい、そんな中、各々、食事を始める。