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十三章『死を冒涜する者』

 宿の一室にいたカリクとレインの“心”に、それが飛び込んできたのは、昼と夕方の間のことだった。

『カリク!』

「ん?」

 仰向けになって、ベッドに倒れ込んでいたレインが、顔を上げる。隣のベッドに腰かけうつむいていたカリクも、同じだった。

『私はここだよ。ここにいるよ。助けに来て。約束したよね。私が一人でいたら、助けに来るって。カリク、私は信じてるから』

「どうなってるんだ? 自分の内側から女の子の声がするぞ。もしかして、俺っちの女性的部分が覚醒して……」

「違う。ちょっと黙ってろ」

 見当違いも甚だしいレインを遮り、自分の中から聞こえる声に神経を集中する。

『私を助けて、カリク。どれだ時間がかかってもいいから。私は耐えるから。いつまでも、待ち続けるから』

 間違いなく、サリアだった。今までに覚えがないほど、力強い想いに溢れている。レインも聞こえているあたり、おそらく最大限に力を解放しているのだろう。

『カリク−−』

「呼んでる。俺のことを、呼んでる」

 つぶやきながら、腰を上げる。大切な女の子に、これだけ請われて、動かないはずがなかった。

「あっ、おい、カリク! どこ行く気だ」

「決まってる。サリアのところだ」

「駄目だって。今、飛び込んだって、返り討ちにあうのが関の山だろ。シルラさんを信じろよ」

「あの人が信じられないわけじゃない。でも、サリアが俺に助けを求めてる。これ以上、ここで待つ必要性はない。あいつの想いが、すべてだ」

 必死に制止するレインの言葉を弾く。すると彼は、腕を掴んできた。さらに、逆の手にナイフを持つ。

「カリク君の気持ちも分かるけど、冷静さが足りない。意地でも行くって言うなら、こっちも本気で止めるぜ」

「……そりゃ、残念だ」

 レインの腕を振りほどき、カリクは服の内側にあるホルスターから、銃を引き抜いた。距離を置いて、照準をレインに合わせる。

「……強情だねぇ、本当に」

 レインは、ほどかれた手にもナイフを持った。変わらない口調と対照的に、醸し出す雰囲気は、鋭くなる。

「一応、先に言っとく。今まで協力ありがとよ、レイン」

「いやいや、これからもよろしくってことで、感謝にはまだ早いぜ」

 互いに、タイミングを図る。気が抜けない状態だった。

 ある気配を感じ取るまでは。

「……レイン、一旦、休戦でいいか」

「依存ないぜ、カリク君」

 共に武器は下ろさずに、注目を部屋の入り口に移した。扉側に立つカリクが、入り口からは死角になる場所に移動して、呼びかける。

「鍵なら開いてるぞ。そんなに張り詰めた殺気出してないで、姿を見せたらどうだ」

 すると、扉が勢いよく乱暴に開かれた。カリクは顔と左手をわずかに壁から出し、発砲する。

「問答無用だなあ、カリク君」

 カリクより奥側で状況をうかがっているレインのつぶやきが聞こえたものの、気にせず、もう二発撃ち込む。

 それから、ようやく相手をしっかりと見た。開け放たれた入り口部分にいたのは、うなだれて顔の見えない人間だった。体格からすると、おそらく男。ただ、色々とおかしい。武器は持っていないし、服装もポロシャツに短パンで、とても今、肌に感じている殺気とは結びつかない外見だった。さらに、銃弾が腹や腕に命中しているのにも関わらず、あまりに反応に乏しいのである。

「容赦ないな。シャズでもそうだったが、引き金を引くことに迷いがない。たいしたもんだ」

 と、低く重い声がした。しかも、聞き覚えのあるものだった。レインが、わざとらしく驚く。

「おおう、しゃべった」

「今、見えてる奴じゃないだろ。後ろに、他の奴がいる」

 カリクが冷静に返す。シャズという単語で、すぐにある一人の男軍人が思い出された。

「あのときの奴か」

 もう放棄されていたジーニアスの関連施設に潜り込んだ際に、出くわした人物だった。姿は見えないので、確信はできないのだが。

「あのときってことは、覚えていてくれたみたいだな。嬉しいかぎりだ。シャズでは、しっかり手合わせできなかったからな。今度は、全力でやらせてもらう」

 言葉が途切れると同時に、うなだれていた男が顔を上げた。瞬間、

「なっ……!?」

 信じられない光景が飛び込んできた。思わず、声を発する。レインの方からも、息を呑んだような音がした。

 男の額に、弾痕があったのだ。いや、痕どころか、完全に穴が空いていた。肉や脳みそらしきものすら覗いている。だが、それは二の次の驚愕でしかない。一番ありえないのは、

「なんで、生きているんだ……?」

 目の前で、その人間が動いていることだった。脳にまで弾が達しているなら、普通、即死は免れない。

「こ、これはまさか、リアルゾンビ!?」

「言ってる場合か! 来るぞ!」

 冗談なのか本気なのか分からないレインに言葉を返しながら、構える。敵の目に生気はない。本当に、ゾンビのようだった。

 まず、レインがナイフを何個も投げつける。顔から下腹部にかけ、縦一列に刺さり赤い液体が零れるが、衝撃に少し動きを止めただけで、まったく苦にしていない。すぐにまた、カリクたちの方へ近づき出す。

「はは。無駄だ。そいつは、どれだけ痛めつけても、壊れない。なんせ、もう壊れてるからな」

 ゾンビ男の後ろから、笑い声が上がる。

「あと、付け加えておくと、背中にも気をつけた方がいいぞ」

「何?」

 男の忠告に、背筋が寒くなる。二人のいる部屋は、一階。つまり、

「レイン、後ろだ!」

 敵は、後ろからも来る。自身は前方のゾンビ男から目を離さずに、レインに指示を飛ばす。

「分かって、る……」

「どうした?」

 知り切れになった返事に不安を覚え、カリクは横目で後ろを見た。無意識に、息をのむ。

 瞳の色を失った二人目のゾンビ男が、窓にへばりついていたのだが、正面から見て顔の右上部分、全体の四分の一ほどが、なかった。完全に、骨が見えていた。脳と、肉の断面も。

「ちょっ、ヤバいヤバいヤバい。あれはヤバいって! さすがの俺っちでも、見るに耐えなくて、泣きそうだよ!」

「気が合うな。俺もだ」

 まだなんとか余裕を保ったが、相当にキツい光景だった。顔の一部を失ったゾンビが、窓を砕き、中に入ってくる。

「ていうか、こいつらいったいなんなんだ? 武器は持ってないけど、まず間違いなく死人が動いてるぜ。それに、痛みとかは感じてないみたいだし」

「決まってる。あの軍人が、こういう能力なんだよ」

 会話をしながら、お互い眼前のゾンビに攻撃を加える。しかし、効果は薄そうだった。カリクが舌打ちする。

「ご明察だ。この死体たちは、俺が操ってる。どっちも、さっき俺が殺したばっかりの、この宿の従業員だ」

 未だに部屋の外にいるのであろう、男の声がした。カリクの予測は当たっていたらしい。

「けっ。趣味の悪いこった。これも、“オモイノチカラ”の一種か」

「ええ、これも!?」

 男よりも先に、レインが驚きの声を上げる。

「ほお。ジーニアスに潜り込んだだけあって、“力”の存在を知っているか。ますます、消さなければいけない理由が増えたな」

 続けて、男の声が飛び込む。とても楽しそうだった。

「その通り。これも、“オモイノチカラ”の一種だ」

「へぇー、で済まないぜ。ゾンビ製造に“オモイノチカラ”が使われるなんて、聞いたことないぞ」

 ゾンビにナイフを放ちながら、レインが疑問を呈する。彼の知るサリアや軍王の“力”とは、かなり差があるため、無理もなかった。

「確かに、お前が知っているであろう軍王様の能力や、さっきの声なんかとは、一線を画したものだからな」

 気づくと、カリクはかなりレインとの距離が縮まっていた。背中がぶつかるのも、時間の問題だった。

「そいつらは、死んで空っぽになった心の部分に、俺の心を侵入させることで、一時的に俺の身体の一部になるのさ。だから、死んでいても動ける。こっちからしたら、死んでるからこそ動かせるんだがな」

「うはー。そんなのありかよ。既に死んでるから、殺しても無駄とか、無敵じゃんか」

 レインの嘆きが、もうすぐ近くから聞こえてきた。部屋の真ん中に、追い詰められつつある。

「そうだな、無敵だ。だから、お前らはもうあきらめろ。身体はリサイクルしてやる」

 男の声は弾んでいた。ゾンビに任せて、自分は出てこないつもりらしい。

「仕方ないな」

 カリクは、ため息を吐き、つぶやいた。レインと背中合わせになる。ゾンビから具体的な攻撃はまだ受けていなかったが、親切なものがくるとは、到底思えなかった。

「おいおい、どうするんだ、カリク君。背中がくっついちまったぜ」

「そんなもの、決まってる」

 相棒から尋ねられたカリクは、迷わず答える。

「一旦、この部屋を出るぞ」

「まあ、そうなるか。了解だぜ」

 二人はすぐさま行動に移る。まずカリクが、前方の敵から目を離し、後ろを向いた。レインが、微笑を浮かべる。

「ちょっと痛いことさせてもらうぜ、ゾンビ君」

 その言葉を合図に、二人が同時に攻撃をしかけた。ナイフと銃弾が次々放たれ、敵をひるませる。相手が体勢を立て直す前に、カリクは懐へ踏み込み、

「死人をさらに痛みつける趣味はないが、どいてくれ」

 銃を持った右手で、左頬を思いっきり殴った。鈍い音が部屋にこだまし、無言のままゾンビが吹っ飛ぶ。割られた状態である窓への道が開けた。

「走れ!」

「あいあいさー」

 叫びに応じたレインも、後ろに続く。窓枠を飛び越え、外に出た。眼前には塀があり、越えようとすれば、その間に背中を撃たれるのが濃厚だった。

「一度、別れるぞ」

「了解。で、どこで合流するんだ」

「明確には決めない。ここで、奴を潰すからな」

「……えっ?」

 レインが、呆気にとられた顔をした。

「に、逃げるんじゃないの?」

「逃げてどうする。前のときと違って、今の奴は俺たちを殺すことを目的にしてる。それに、俺は首都から離れる気はない。となれば、奴はここで片付けるしかないだろ。逃げても、追われるだけだからな」

「そりゃ、確かにそうだが……。勝機はあるのか。向こうは、ただでさえジーニアスで特殊訓練を受けてるのに、厄介な力まで持ってるんだぞ」

 納得を示しつつも、レインは問題を口にした。確かに、彼の言うとおりだった。だが、引く気はない。

「勝機は、正直に言って、はっきりとはない。見込みはあるってくらいだ。けど、ここで逃げてもいたちごっこになるだけだ。なんとかして、倒してしまった方が懸命だろ。つけ込む隙はある」

 カリクが、自身の主張をしたところで、

「勝機なんてないと思うぞ、ガキども」

 窓の内側から、男の声が聞こえた。二人とも後ろは振り向かず、

「散るぞ!」

「あっー、もう、仕方ねぇ! 腹くくってやる! 俺が死んだら、首くくれよカリク君!」

 カリクは右に、レインは左に、それぞれ逃れた。


 獲物がいなくなった部屋で、ノーザン=ジャッジは一人つぶやく。

「ああ、面白くなってきたよ、父さん。ゆっくりゆっくり、追い詰めてあげようね」

 部屋の外で、何かが蠢いた。




 カリクは、裏口にたどり着いていた。ただし、そこから逃げていく気はない。勝手口のそばに腰を屈めて、銃を膝あたりで構える。耳を扉に当て、中の様子をうかがった。音がかすかにするが、遠い。少し開けて、今度は目で確認する。どうやら、倉庫のようだった。備品の入っているのであろうダンボールや、火の燃料などが保管されている。息を殺しながら、内側へ滑り込んだ。さらに内部へと続く扉は一つしかない。構造上、おそらく廊下に通じていると、カリクは読んだ。

 入ってきたのとは、反対側の扉に接近し、さっきと同じように、扉の向こう側の様子をうかがう。音が近くなってきていた。鼓動は否が応でも激しくなるが、頭は冷静さを保つ。

(俺の逃げ出した方向からして、この辺りが無警戒ってことはないな。この扉の向こうに、何かしらはいるはずだ)

 考察を終え、ノブに左手をかける。一度、息を吐き、一気に扉を押した。

 そこには、

「ふん。やっぱりか」

 目の光を失い、人の形を成しただけの屍人形が待ちかまえていた。先ほどの頭が欠けていたものと違い、そこまで強烈な印象を与えてくる死体ではない。

 ただ、腹部には致命傷になったのであろう痕を隠すようにして、ガーゼが貼られていた。

(わざわざ傷痕を隠して、どういうつもりだ)

 疑問符が浮かんだのもつかの間、信じられないものが目に映った。鈍く光る、黒いそれは、間違いなく、拳銃だった。右手が持ち上がり、

「何っ!?」

 カリクの額へ、照準を合わせてきた。咄嗟に、右へ逃れる。一瞬遅れて、銃声が轟いた。

(どうなってるんだ。なんで、武器を持っている?)

 回避には成功したものの、いつも冷静なはずのカリクすら、動転していた。部屋を襲撃した二体は、素手だった。しかし、壁と扉を挟んだ反対側には、銃を持った個体がいる。

(元々、武器が使えるなら、どうしてさっきの奴らには持たせていなかったのかが、分からない。ちっ。さっぱりだな)

 頭の中で悪態をつき、理論よりも、遭遇した事象をどう乗り切るかに頭を切り替える。これを越さなければ、あの男軍人と戦うことすら叶わない。

(相手は、死ぬことのない存在だ。どう戦ったものかな)

 壁に背を当て、考えを巡らせる。




「こりゃなんていうか、ついてないね」

 カリクと別れ、正面玄関の方へと逃れてきたレインは、

「よう。すぐ会ったな」

 一体のゾンビを連れた、男軍人本人と再び遭遇していた。ただし、今度は顔が見えている状態で。問答無用で、銃口を向けられる。まだ、玄関の扉の外にいたレインは、牽制で一本ナイフを放つと、敵の死角に逃げた。

「おいおい。そんなに必死こいて逃げられると、追うのが楽しくなってきちまうぞ」

 壁の向こうから、弾んだ声が聞こえてくる。冷や汗が出た。

(あの軍人に、ゾンビが一体か。カリク君、俺っちには、荷が重いぜ)

 唇を舐め、唾を飲み込む。荷が重くても、やるしかなかった。




 壁に背を当てていたカリクは、敵が扉をくぐって倉庫側にきたところで、銃を持っている手を狙って発砲した。だが、寸前でずらられた。逆に、撃たれる。

「ふん、優秀な人形なことだ」

 相手が引き金を引く前に回避を始めていたカリクは、余裕を持って避ける。

(しかし、随分と正確に動くもんだな。あそこまで綿密に操れるものなのか? さっきの奴らは、そこまで細かい動きはできそうになかったが)

 戦いながらも、思考は止めない。倉庫という地理を生かし、身を隠しながら攻撃のチャンスをうかがう。

(やっぱり、こいつは何か特別なんだろうな。逆に言えば、その特別な奴を倒せれば、絶対的な有利に立てるかもしれない)

 その特別なゾンビは、キョロキョロと辺りを見回している。

(視力なんてあるのか?)

 物陰からの光景に、単純な疑問を抱く。視力もないであろう死者が、見回す必要はあるのか。

 と、ゾンビがこちらに気づき、銃を撃ち込みながら突進してきた。身を隠し、カリクも銃だけを陰から出し、狙いはつけずに何発か放って応戦する。何度も銃声がこだました。

(ジリ賃だな。打開策を立てないと)

 相手は、死者である。殺すのは不可能だった。

(どうすればいい……)

 拳銃での応戦の中、悩む。そこかしらに穴が空いて、備品も灯りの燃料も、零れ放題だった。

(どうすれば……)




 玄関では、レインと男軍人が交戦していた。しかもゾンビがいるため、一対一ではなく、一対二である。

「おらおら。頑張らないと、三人目が来るぞ」

 しかも、敵の軍人の言葉からすると、まだゾンビがいるようだった。

「いやいや、さすがにそれはきっついなあ。今の一対二で許してくれよ」

「俺が、それを聞き入れるような善人だと思うか」

「聞き入れてくれたら、ギャップで惚れるかも」

「なら、余計に受け入れられないな」

「実に、正常な判断なこって」

 軽口を叩き合っているが、この間、互いに銃弾とナイフをどれだけ放ちあったか分からない。どちらも、余裕があるように振る舞っていた。

「それより、そろそろ本気できたらどうだ。気づいているだろう。自分が壁際に追い込まれてることに」

 だが、実際のところレインは不利に立たされていた。ゾンビは直接的な攻撃しかしてこないものの、男の銃撃と合わせると、厄介だった。そのせいで、背中が壁にかなり近くなっている。

「ああ、俺っち、壁際好きだからな。落ち着くんだ」

「強がりを。ジーニアスの出身で、軟禁生活の経験があるなら、狭い場所は嫌いだろう」

 レインの言葉を一笑に伏し、男は続ける。

「死にゆくお前に、遺言のチャンスをやろう。何か言いたいことはあるか」

「んー? 別にないぜ。まだまだ、これからがあるからな」

「……まだ現状が理解できていないか。いいだろう。遺言は、なしだ」

 銃口がレインを捉えてきた。瞬時にナイフを放る。

 横一列に。

「面倒なことを……」

 敵がつぶやきながら、自分に向かってくるナイフを撃ち落とす。その隙に、

「くっらえー!!」

 レインは両手にナイフを構え、飛びかかった。男にではなく、ゾンビの方へ。力一杯、両肩へ一本ずつ刺した。ドロリとした赤い液体が、溢れ出す。

「へぇ。そっちを狙うか。何体いるかも分からないのに」

 男からの嘲笑が聞こえたが、今はゾンビの方に気の重きを置く。表情に変化がないので、効いているのかどうか分からなかった。

「コツコツやっていけば、成果は出るさ。学校で教わらなかったか」

 ナイフを引き抜き、距離をとる。赤い飛沫が、壁と床、それからレインの身体にかかった。

「いいや。生憎、普通の学校には通ったことがなくてな」

「ああ、そうだったな。失礼したぜ」

 ゾンビの男の腕はダラリと下げられたまま、動かない。だが、レインに襲いかかってくることは変わらない。駆け寄ってきた。ナイフを投げつつ、男からの銃撃を警戒し、位置をずらそうと、後ろへ飛び退こうとしたが、

「あだっ」

 背中が壁に当たった。瞬間、全身の血が冷える。

「やば」

「ああ、そうだ。人を殺す方法なら、教わったな」

 銃声がこだました。




 一方カリクは、生きていないという特殊な敵を前に、突破口を見いだせずにいた。首を飛ばしても、止まるかどうか疑わしい。向こうの動きの遅さを利用し、出し抜いて操り主の男を先に倒そうかとも考えたが、その前にこのゾンビに追いつかれるのが確実のため、廃案にした。

 ゆえに、今の戦況は膠着している。決定打は出ず、ただカリクの持ち弾が減るばかりだった。

 漏れ出た燃料に足が入り、パシャリという音がたつ。物陰に隠れているカリクは、まだいい案を出せずにいた。

(さっき銃声がしたことから鑑みるに、たぶんレインがあの男と交戦してるんだろう。そう簡単にはくたばらないだろうが、早めに加勢に行かないと、地力の差が出て負けちまう。ちっ、こいつさえ、なんとかできれば……)

 息を殺しながら、辺りを見回す。足下には、流れ出ている油、眼前にはカリクの入ってきた勝手口があった。

(油、勝手口……。油?)

 動く死体を止める方法が、カリクの頭の中に急速に組み上がっていく。

(これなら、死体を“殺せる”!)

 すぐさま行動に移った。まず、勝手口の鍵をかけ、ドアノブだけを撃って吹き飛ばす。音に反応したのか、カリクの右の方から走ってくる足音がした。

(ここで、なんとしても銃を落とさせないと)

 今度は逃げ出さずに待ち受ける。目的は一つ。相手の銃を奪うか破壊するかだった。

 食料の積んである陰から、人の形をしたものが覗く。身体の前に構えられている銃も共に。

「あんまり時間はかけないぞ」

 返答は、なかった。

(先手必勝!)

 相手がカリクに照準を合わせる前に、攻撃をしかける。放たれた弾丸は、確実に敵の銃を捉えていたが、またもほんの少しずらされた。狙っていた場所ではなく、手首にめり込んでいく。

「肉を切らせて骨を断つ……じゃないな。なんて言えばいいんだ? 肉を切らせて、骨は切らせないみたいな感じか」

 一人でつぶやき、敵の反撃を受けつけずにさらに攻める。だが、ことごとく狙いははずれた。自然に舌打ちが出る。

「やっぱり、動きが他と違うな」

 そのうちに弾がきれ、空薬莢をすべて下に捨てた。新しい弾を込めたいところだが、敵が反攻に移ってくる。さっきのカリクの攻撃をそのまま真似したかのような、連射が襲いかかってきた。

「おっと」

 身を翻し、物陰に入る。向こうと違い、こちらは弾が一発でも当たれば、致命傷になりかねない。その部分の差は、大きかった。

 だがらといって、あきらめるつもりはなかった。手段はすでにあるのだ。

 あとは、銃を飛ばすだけ。その一手が、遠い。

 向こうは、カリクの姿がなければ弾も替えることができるのか、明らかに銃の最大弾数を越えていた。

(弾切れは狙えないか。どれくらい持っているか分からないから、時間がかかる。やっぱり、手から落とさせるしかないな)

 壁を背に、銃撃をやり過ごす。どうにか、武器を奪いたかった。

「策を実行するために、別の作戦が必要になるなんてな。皮肉な話だ」

 一人、愚痴る。手元の銃を見つめ、息を吐いた。

「二発で決められるといいんだがな」

 攻撃が止み、静寂が場を包む。だが、耳を澄ませると、かすかに、弾を入れているらしき音が聞こえてきた。しばらくして、弾倉を戻した音が響く。と同時に、カリクは飛び出した。無表情な人形が、驚くことなく、素早く銃口を向けてくる。引き金に、指がかかった。勝負所は、まさに今。敵が発砲しようとしているこの瞬間が、狙いだった。

 カリクは、相手の発砲にタイミングと軌道を合わせた。ほぼ同時に出た二つの弾丸は、旋回しながら互いにぶつかった。カリクが、“狙ってぶつからせた”のだ。空中で衝突し、パアンと、爆発音が響く。これは、布石だった。

(チェック!)

 頭の中にチェス用語が浮かんだときには、もう二発目を撃っていた。敵の銃撃による反動、自分の方の反動、角度、速度、すべてを読み切って放たれた弾は、正確に、相手の持っていた銃に当たり、吹き飛ばした。床に、黒い凶器が転がる。

 続けてのカリクの動きは、早かった。すぐさま接近し、ゾンビの顔を思いっきり殴って、左にどけた。床に転がる銃を回収すると、そのまま、宿の廊下へと出る扉まで走った。半開きにしてから、倉庫側のドアノブを吹き飛ばす。準備は、これですべてだった。

 近くの照明を強引にはずし、中で燃える火を、油の広がる倉庫の床へと落とした。

「チェックメイトだ」

 伝わりはしないだろうと思いつつ、冷徹に告げる。扉を閉め、廊下へと去った。


 取り残されたゾンビは、燃え盛る炎の中、走り回って出口を探した。まず、カリクの出ていった廊下への扉。鍵がかかっているばかりか、こちら側のドアノブが吹き飛ばされている。さらには、銃も奪われたため、こじ開けることもできない。

 次に、勝手口に回る。こちらも扉は同じようになっていた。

 結論として、一人でこの場から脱出する方法はなかった。

 炎がどんどん広がり、辺りを包んでいく。色のない目が、周囲を見回す。そこにあるのは、絶望なのか、それとも何もないのか。

 ゆっくりと、廊下へつながる扉へと歩いていった。




 少し、時間は戻る。カリクの耳に入った銃声は、男からレインに撃たれたものだった。

「あっぶねー」

 ただ、その弾は身体には届かず、顔の前に出されたナイフによって、軌道を変えられていた。髪と頭皮をかすったようで、かすかに血が見えた。

「ずいぶん、反応がいいな。ジーニアス出身は厄介なもんだ」

「へっ。あんたも一緒だけどな」

「違いないな」

 決定的な場面を一度逃しても、男の余裕は崩れなかった。

 と、男が眉をひそめた。ゾンビも、動きを止める。

「どうしたよ、浮かない顔して。家の鍵閉めたか、心配になったか」

「まあ、そんなところだ」

 はぐらかしてきたが、明らかに様子がおかしかった。

(ひょっとしなくても、チャンスだな)

「なんにせよ、こっちに集中しないと、危ないぜ」

「言ってくれるもんだ。そもそも、こっちに集中しきっていない」

 ナイフを両手に二本ずつ構えたレインへ、男は微笑を消して応える。

「早めに片づけさせてもらう」

「急ぐなら協力するぜ。俺っちの勝ちにしてくれるなら」

「ぬかせ」

 再び、刃物と銃器の応酬が始まる。ゾンビも、また動き出した。

「ああ、面倒なこった。やっぱり、せめてこいつは止めてくれよ」

 ゾンビの額にナイフを放つも、無意味に終わりぼやく。

「嫌なら、自分でなんとかするんだな。生憎、俺はそんなに優しくない」

「そんなんじゃ、周りに嫌われちまうぜ」

「問題ない」

 言葉の応酬も再開されるが、男の歯切れがどうにも悪い。銃撃も、精度が落ちていた。

 そんな最中、急に男が声を上げた。

「なんだと!?」

「えっ、何が?」

 突然の言葉に、レインはゾンビを蹴り飛ばしながら反応した。しかし、向こうは聞いていない。

「くそっ。こそこそ動いていると思えば、そういうことか。あのガキ……!」

 男が、歯ぎしりする。攻撃の手が止まるほどの何かが起きているようだった。

「くそっ!」

 呆気にとられていると、急に彼はレインを無視して、走り出した。

「あっ、おい」

 レインも後を追おうとしたが、ゾンビがその前に立ちふさがった。それも、先ほどまで戦っていたのとは、別の個体。後ろには、頭にナイフが刺さったままのゾンビも健在している。

「おいおい。チャンスなのに、素直に攻めさせてくれないのかよ。嫌だねぇ」

 ナイフを構え直し、目を据わらせた。

「お前らじゃ、力不足だ。速攻でやるぜ」

 軽い口調で宣言すると、唇を舌で舐めた。獲物を前にした、獣のように。




 ノーザン=ジャッジは、走っていた。ただ、一途に。小規模な宿の中なので、なんてことのない距離のはずなのに、目指す場所は異様に遠く感じた。

(ちくしょう。もう少し、早く気づいていれば……!)

 後悔は、なんの役にも立たない。分かっているが、浮かんでくる言葉を抑えることはできなかった。

(まだ間に合う。間に合うんだ)

 自分に言い聞かせるが、その希望を砕くかのごとく、二丁の銃を持った一人の少年が立ちふさがる。

「そんなに急いでどうかしたか。人形遊びは、そろそろ卒業した方がいいと思うが」

 名前もまだ分かっていない、目つき鋭い少年。まだ、“殺し”を知らない目をした少年。そんな、甘い人間が、今、自分を焦らせている。

「舐めるなよ、人を殺したこともないガキがぁ!!」

「悪かったな。でも安心しろ。ここで、お前は殺してやる」

 軍人であり、ジーニアスで特殊訓練を受け、さらには普通の人間が持たない能力を有したノーザンを前にしても、まったく揺らぐことなく、二本の足でどっしと構えている。とても、普通の子供とは思えなかった。

「お前、いったい何者だ」

「人に名前を尋ねるときは、自分から名乗るんだな。まあ、名乗られても、こっちは教える気なんてないが」

 煙に巻くような返しだった。本当に、何者か見当がつかない。右手の銃を、指でくるくると回した。

「言葉は充分だろ。俺は、レインほど多弁じゃないんだ」

 しっかり掴み、こちらへと向け直す。

「おもちゃ遊びをしたいなら、片付けることを片付けてからにするんだな」

「そうさせてもらう。後悔するなよ、ガキ!」

 ノーザンも、銃を構える。

(父さんは、助ける!)

 歪んだ想いを、軸にして。


 一対一で、男と対するのは、カリクは初めてだった。表には出さないが、胸がざわついている。

 二人がいるのは、廊下である。銃撃を妨げるような障害物は見当たらない。身を隠すなら、近くの部屋に飛び込む他なかった。ただ、目の前の軍人がそれを許すかどうかは、定かでないが。

 距離は、二歩踏み込んで拳が届くくらいだった。

 無言が続く。出方をお互いに図っていた。

 先に動いたのは、男の方だった。膠着を破る銃声が響いた。

 睨み合いの構図は変わらない。ただ、二人の間の床に、二つの銃弾が落ちていた。男が引き金を引くのとほぼ同時に、カリクも同じ動作をしていたのだ。

 両方、言葉は発さずに、次の動きへ移る。カリクはは駆け出し、距離を詰めようとした。だが、男は手近な部屋に入り、接近を拒む。逃すまいと、後を追ったが、部屋の前でカリクは急ブレーキをかけた。目の前を、銃弾が飛んだ。すかさず、腕だけを伸ばし、部屋の内側へと発砲する。すぐに戻した。直後にまた攻撃がきたため、命中しなかったらしい。

(決め手に欠けるな)

 相手に焦りがあるにも関わらず、攻めきることができない。地力差が効いていた。

(もう一つ、要素がいる。もう一つだけ)

 壁際で息を潜めていると、急に黒の物体が眼前に現れた。

「っ!?」

 声にならない声と共に、反射的にひざを折る。すぐ後に、後方で着弾音が聞こえた。

 カウンターを狙い、はみ出ている黒い銃へ攻撃を仕掛ける。しかし、よけられた。

(印象と違って、ちまちま攻撃してきやがるな。面倒臭い)

 乾いた唇を舐め、警戒を続ける。ふと、廊下の奥を見ると、灰色の煙が漏れていた。

「まずいな。ここも、そのうち燃えるか」

 火元は間違いなく、カリクの発火した倉庫だった。だんだんと燃え広がっているらしい。

 死体でも、焼いて骨にしてしまえば、操ることは不可能と読んだ結果だった。戦っている相手の様子からして、正しい判断なのは、明らかである。

 問題は、戦闘が長引くとここも火の手に包まれてしまうことだった。

「おい、お前。焼死と銃で殺されるのと、どっちがいい?」

 カリクは、そう声をかけると、立ち上がり、二丁の銃を構え直した。時間をかけるのは、無理そうだった。

「必要ない選択だな。お前が死ぬの一択だ、ガキ」

 余裕の感じられない、殺意に満ちた返答がきた。向こうは元々、時間をかける気はないはずであるため、短期決戦は確実だった。

「数十年先の話だな。まだ、そんな選択肢はない」

 カリクは、相手の言葉を簡単にいなし、大きく息を吐く。心の準備も整った。

「あんまり時間はかけない。行くぞ」

「勘違いするな。攻めるのは、俺だ」

 言葉と共に、男は部屋から身体を出し、カリクの眼前へと現れた。即座に、銃口が向いてくる。すぐに反応し、身体を軌道上からはずす。反撃の隙なく、続けざまに弾が放たれてきた。必死に右へ左へ避ける。

「この距離で、そんだけ避けれるなんてな。お前、人間か?」

 男から話を振られたが、さすがに答える余裕がない。とにかく、動きを止めずにやり過ごす。

 と、連発が止まった。

「ちっ。弾切れか」

 男が悪態をつく。しかし、カリクは“騙されない”。

「そういう簡単にバレる嘘はやめとけ。後一発、残ってるだろ」

「銃そのものにも明るいか。厄介なもんだな」

 男は忌々しそうに顔を歪め、最後の一発を放ってくる。それも、なんとか横っ飛びでかわした。

(普通に攻めても、意味がないな。どうするか)

 自分の攻撃の機会が回ってきたものの、ただ普通に撃っても弾を無駄にするだけである。どう攻めるかが問題だった。

 だが、考えるまでもなく、強力な攻め手が、左側にある開いた部屋への入り口から“見えた”。

(いけるな)

 勝利への確信を持ったところで、二つの銃口を男に向けた。

「終わりだ」

 一言だけ告げ、連射し出す。次から次へと、弾が飛ぶ。最初のうち、男は先ほどのカリクのように軽快に避けていたが、二丁は厳しかったらしく、

「ちっ」

 舌打ちをして、先ほどのように部屋へ転がり込んだ。今度は躊躇なく、カリクも踏み込む。

 男は部屋の奥の死角へ逃げた。カリクの視界からから消える。さらに追い、角から出ると、急に目の前が白くなった。

「なっ」

 男がシーツを投げたのだ。ひるんでいるところに、

「おら!」

 蹴りが腹部へと飛んできた。壁に叩きつけられ、「かはっ」と息が漏れる。

「銃だけが、殺し合いじゃねーんだよ!」

 追撃を察知し、カリクは入り口側へ転がった。さっきまでいたところに、また足が伸びていた。攻撃後の膠着を狙い、両手の銃から一発ずつ放つがかわされてしまう。

「後、一発ってところか。充填させないとして、肉弾戦になったら、お前は何分持つかな」

 男が自身の優位を確信し、笑みを浮かべる。言葉に、余裕が戻っていた。

 しかし、カリクはむしろ笑い返してみせた。

「何がおかしい」

「俺の弾数は確かに一発だ。でも、攻撃手段は一つだなんて言ってない」

「なんだと?」

 男が顔をしかめた瞬間、ガラスの割れる音がし、続けてドスッという、鈍い音がした。聞こえたのは、彼の後方からである。

「がっ……?」

 苦しげに息を漏らし、後ろを向く。彼の後頭部や背中など、複数の箇所にナイフが刺さっていた。黒の軍服がために、あまり目立っていないが、血が流れ出ている。

「なんだと……」

 呻く。カリクからも、攻撃した人間が見えた。窓を叩き割って、室内に入ってきたのは、

「駄目だぜ、戦闘中に油断しちゃ。後ろから、刃物が飛んでくるかもしれないからな」

 レインだった。廊下にいたとき、部屋の窓越しに彼をカリクは視認していたのである。

「レインだと……。馬鹿な、どうやって、あの二人分の死体をやり過ごした?」

 後頭部への一撃がキツいのか、男はゆっくりと壁にもたれた。徐々に身体が沈み出す。

「簡単さ。両手にナイフぶっ刺して、壁に磔にしてきたんだよ。ナイフを四本も使っちまったけどな」

 レインが部屋に入り、足元でガラスの破片を踏みながら、こちらに近づいてきた。

「なるほどな……。確かに、油断した」

 男が、力なく笑う。少しずつ、床に赤い血が滴り出す。

「この状況で、二対一か。さすがに活路が見えない。父さんももう、半分以上焼けてしまっているみたいだしな」

「父さん?」

 レインが首をかしげる。答えたのは、カリクだった。

「俺が戦ったゾンビのことだろう。他の奴とは、動きが全然違った。父親の死体だったのか」

「そういうことだ。ジーニアスの研究者だった父さんに殺されかけたことがあってな、返り討ちにした。ずっと父さんが嫌いだったが、自分で操れるようになって、やっと愛情を持てるようになったよ」

 男は、息荒く語る。

「父さんだけは、精密に操ってたのに、まさか燃やされるとは思わなかった」

「そうかい」

 カリクは興味なさげに流した。男との戦いは、もう終わっているのだ。サリアのところに急ぎたかった。銃口を、男の額に向ける。

「最初の一人だ」

 と、男が突然、そう口にした。意味が分からず、カリクは眉をひそめる。

「一人殺せば、その時点でお前はもう“こっち側”の人間だ。普通の奴とは、一線を画す」

 警句だった。親切なのか、単なる気まぐれなのかは、判断がつかない。

「カリク君、早く! なんか、煙ってる!」

 レインか叫ぶ。部屋の外に、煙が見えていた。

「……俺は」

 挑発的に微笑む男に、カリクは告げる。

「サリアを助けるためなら、どれだけ手を汚しても構わない」

 決着の銃声が、轟いた。

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