第4話:蒼という男、その②
昨日は風邪により更新ができず・・。うう(涙)
本日もかぜっぴきですが、頑張ってみました(何を?)
読んでいただけると、嬉しいです(^-^)
おじさんから降ろされた花乃衣は、今度は蒼に抱っこされていた。
蒼の表情からはその年齢が窺えない。見かけは20代くらいであったが、雰囲気は穏やかで落ち着いている。おじさんと同じ深い青い瞳と白い肌、金色の髪は長かったがくせはなく、腰の近くまで伸びた髪を、黒色のリボンでまとめていた。
蒼は背が高いのでいつもと違う目線に花乃衣はご機嫌であったが、ずっと抱っこされていることに飽きてきた。この壮麗なお城の中を探検してみたい!!・・・とそわそわし始める。
「花乃衣」
そう思っている花乃衣に、父親は微笑むと、
「蒼にこのお城を案内してもらいなさい。・・・みてみたいんだろう?」
「うん!!」
花乃衣が元気に返事を返すと、父親のそばに立つおじさんもにこやかに、
「そうだな。蒼、案内してあげると良い。頼むぞ」
そう言われた後、花乃衣の視界は、いままで見ていた部屋の風景ではなく、全く別の部屋の風景になった。
「花乃衣」
気がつけばそこは花乃衣の屋敷の居間だ。
目の前に気遣わしげな帝の顔がある。
しばらく自分が昔のことを思い出すのに意識を飛ばしていたことに気がつき、花乃衣は(珍しく)気遣わしげな兄を安心させるようににっこりと微笑んだ。
「大丈夫ですよ、帝・・・蒼は、私の父の関係者です」
「関係者って・・・」
何?と言いたげな顔を、花乃衣以外の全員がしていた。
もちろん蒼も。
「ひどい・・・あの時花乃衣は『大きくなったら蒼のお嫁さんになる!』って言ってくれたのに・・・」
白々しく泣きまねをして見せた蒼に、花乃衣は冷たいまなざしを向ける。帝の顔はムンクの叫び状態だ。
「3歳のこどもに『私と結婚したらずっとここに住めますよ』とかいってたのはどこのどなた」
そうなのだ。あのあと白亜の城のあちこちを案内してもらったのだが、城はまだまだ未知の扉が幾枚もあった。両親が帰るといっても『ここに住む!!』といって聞かない花乃衣に、母親は爆弾発言をしたのだ。
曰く、「蒼と結婚したら、ここに住めますよ」と。
父親とおじさんはどちらも不満げな顔をしたが、蒼は満面の笑顔を見せ、
「そうだよ。私と結婚したら良い。そうすれば、ずっと一緒にここに住めますよ」
その言葉に、花乃衣も綻ぶような笑顔を見せ、
「うん。私、大きくなったら蒼のお嫁さんになる!」
と、約束したのだ。
「約束って、魔族にとってみれば大変な効力をもつものでね」
蒼はしんみりと、つぶやいた。
「花乃衣を探して、あちこち放浪していたのですがね・・・よもやこんなところに隠れていようとは・・・」
「ここに住めといったのは、私の両親よ」
「私の父にも、この場所は伝えていなかったんだよね」
「ああ・・・おじさん?」
初めて訪れて以来、2度ほど訪ねたおじさんのお城であったが、父親が亡くなると、母親はおじさんの城に行くとは言わなかった。父親が亡くなったのは花乃衣が6歳のとき。それ以来、母親は原因不明の病に罹り、亡くなるその日まで床から出ることはなかった。
「おじさんは、元気なの?」
ポツリと、花乃衣がつぶやくと、蒼はフッと笑った。
「あのひとは殺しても死なないよ・・・いまでもあの城で、元気にやってる」
「そう・・・」
おじさんは、父親が亡くなったのを知っているのだろうか。
「多分、知ってると思うよ」
花乃衣の思いを読み取ったように、蒼がつぶやく。
「あの二人は二人で1つ、だったからね・・・一時期ものすごく『力』が落ちてたときがあって、そのとき少々暴れてたから」
「蒼は、大丈夫だったの?」
「私?」
蒼が、驚きの表情で花乃衣を見た。
「蒼も、つらかったんじゃないの?」
父親が、そんなになってしまって、悲しまない子はいない。
現に花乃衣も、父親が亡くなってしまったときは、こんな世界壊れてしまえばよい、と泣き叫んだものだ。
「花乃衣」
花乃衣はいつの間にか目の前に蒼が立っているのに気がついた。
さっと抱き上げられていて(しかもこどものように)、驚きのあまり固まってしまった。
「貴方は本当に・・・得がたい人だ」
そういって、蒼は花乃衣の頬に口付けた。
大事に大事に、自分を抱き上げる蒼に、何だか不思議な気持ちを感じた花乃衣であった。
さて、蒼の正体が徐々に現われてきましたかね。
主役は花乃衣ですが。
まだまだほんろーサレ具合がすくないな・・・(もっといぢめなければ(笑))
まだまだ続きます。よろしくお願いします(^-^)
12/3ちょこっと修正。(間違い発見)