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第3話:蒼という男。

 本日は蒼の出番~


 まだまだお話は序盤です。


 読んでいただければとってもうれしい(^-^)



 なんとなく目線を向けると、やっぱり蒼は花乃衣を見つめていた。

 それは切なそうに。


 帝は蒼のことが気に入らないらしく、蒼を見つめる目には(多少?)殺気が篭っている(ように思われる)。

 そんな3人を、充と満の双子コンビは、面白そうな表情で眺めていた。


 三角関係?


 満の無言の問いかけに、充はクスリ、と笑うと、うんうんうなずいた。


 なんにしても、理由も分からずこうも熱心に見つめられると、いたたまれない花乃衣は、意を決して、蒼の方を向いた。


 「蒼」

 「花乃衣」

 「どうして私のことを見つめるの」

 「・・・なつかしくて、つい」

 「「「・・・なつかしい?」」」


 花乃衣と満と帝が同時に声を上げた。


 ・・・いままで一度も会った記憶のない花乃衣は、横を向いて、帝に無言で尋ねる。


 あったことある?


 対する帝は無言で首を横に振った。

 満も同じく、首を横に振る。


 こんなにキラキラしい男、一度会ったら忘れるわけないじゃん。


 胡散臭そうなまなざしで自分を見つめる花乃衣に、蒼はクスリ、と笑った。

 「花乃衣はまだ小さかったからね。私はさほど容姿も変わってないし・・・思い出さないかな?『魔法使いのおじちゃん』」


 「・・・あ」


 思い出した。



 花乃衣の最初の記憶は、両親と共に出かけたある壮麗なお城の風景だ。


 あまり夜更かしを許さなかった両親だが、なぜかその風景は夜、しかもかなり遅い時間帯のようであった。

 なぜかといえば、煌々と輝くふた月がそのお城の真上にかかっていて、何の音も、感じることができなかったから。

 両親に両の手を握られて、花乃衣は呆然とそのお城を見上げていたと思う。そのアホ顔を両親は笑いをこらえて見つめていた。


 「花乃衣、口をあけていると、そら、虫が飛び込んでくるぞ」

 「あらあら、大変」

 くすくすと笑う両親の台詞は聞こえてきたが、花乃衣はとにかくそのお城の外観に見惚れていて怒るどころではなかった。ほんの数ヶ月前に遊びに行った異父兄の城とは造りが全く異なっており、目の前のお城は、磨きぬかれた白い石で造られていて、遠くから見ても近くで見ても、とにかく北方の大陸にある「おとぎばなし」の中のお城そのものであったから、花乃衣は我知らずそのお城の城壁に触ろうとした。


 「だめよ、花乃衣」

 母親が咄嗟に花乃衣の手を掴んだ。その様子を見て、父親が花乃衣に言う。

 「城の中から迎えが来るから、それまでは触れてはいけない」

 父親がそう言いおわると同時に、何故か壁に穴があいた。


 同時に、父親に非常によく似た、父親と同じ年頃の男が現われた。


 その男は一言で表現するなら「豪奢」だ。ウェーブのかかった長い金色の髪は背中を覆うほどあり、白皙の美貌は父親に引けをとらない。深い深い蒼天の瞳、鼻筋は高く、唇は薄くて整っていた。

 ととさまにごーまんさを足したらこんな顔になるのかな~・・・と、子供の癖にそんなみょうちきりんなことを考えていた花乃衣は、出てきた男が穴の開くほど自分を見つめていることに気がつかなかった。


 「これは、お前の子供か?」

 「ええ」

 「・・・なぜ、お前の子が・・・」

 「私の子供ですから」

 にっこりと笑って、母親は花乃衣を抱き上げると男に近づけた。

 「花乃衣、ご挨拶なさい。あなたの父様の、お兄様よ」

 「はじめまして。え~っと、おじさん?」


 「おじさん・・・」

 男の顔にはまるで「がーん」という文字が張られているかのようだった。

 ショックだったのかな・・・でも、ととさまのおにいちゃんなら、おじさんだよね?

 まちがってたのかな、と、花乃衣は心配になって、ちょっと半泣きになったところで、男は突然、彼女を母親から奪い取り、抱き上げた。


 「そうだよ~私は君のお父さんのお兄ちゃんだよ~」

 おじちゃんと呼んでくれ~とニコニコしながら話しかけてくれるおじさんはとても機嫌がいいように見えた。

 花乃衣を抱えたおじさんは、両親を城に招き入れると何事かをつぶやいた。

 すると先ほどまであった穴は消えてなくなり、かわって城の玄関と思われる広く豪華な空間に出た。


 天井から下がるシャンデリアや、美しい調度品はどれも北の大陸にあるものに似ていて、だけどかなり高価なものであることは子どもでも感じられるほどであった。

 花乃衣が「夢なのかな」と思ってほとんど思い出すことがなかったことも頷けるくらい・・・すばらしい城であったのだ。


 「蒼、降りて来い」

 花乃衣を抱えたまま、おじさんは誰かを呼んだ。


 瞬きをする間もなく、

 目の前に、またしても見知らぬ男が現われた。


 「いま、どこからきたの?」


 見知らぬ男もまた、おじさんとよく似た顔立ちをしていた。

 深い蒼い瞳で、じっと、花乃衣を見つめている。


 「魔法だよ」

 ニッと笑って、花乃衣に手を差し出した。


 手のひらに、美しい白い花が1輪、のっていた。

 夜空にかかる、月のような花。

 蒼と呼ばれた男は、花乃衣にそっと、花を渡した。



 これが、蒼との出会い。


 蒼との話はまだまだ続く・・・


 また次回も読んでいただければ嬉しいです(^-^)


 まだはじまったばかりですが、お気に入り登録していただきありがとうございます(^-^)

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