第25話:しょこのかみさま。
お久しぶりです~
(前回早く更新するって書いたのにこのていたらく・・・)
今回もお楽しみください(^-^)
座り込んで一息ついた蒼と、未だ目を覚まさない清を見ていた花乃衣は、この先どうするかを思案していた。
花乃衣が後宮を自由に動き回っていたのは、本当にまだ小さい頃のことだ。部屋のつくりや方向など全く分かっていないし覚えていない。後宮は広く、彼女は興味の赴くままに走り回っていたため、特に記憶に残る場所等は思い出せなかった・・・が。
「書庫・・・」
「え?」
蒼がゆっくりと立ち上がり、花乃衣に近づく。彼女は何かを思い出そうと、きょろきょろとあたりを見回していた。
蒼は、この先にある「暗黒の」部分を調べに行きたいところであったが、魔力が万全でなく、そんな状況でなにか起きた時に、花乃衣を守れるのかどうか不安だった。
花乃衣のつぶやきに、蒼は、彼女が前日に話していたことを思い出した。
「花乃衣・・・書庫の場所は、思い出せるか?」
「う、ん・・・多分」
何かを必死に思い出しながら、花乃衣は頷いた。
蒼はゆっくりではあったが自力で歩いてくれた。騒ぎにならないよう念のため、未だ子供の姿をしている。
花乃衣は、気を失ってしまった清をほうっておくわけにもいかなかったので、彼女の手足を動かす方術を使い、蒼と並んで、後宮のある場所に向かって歩いていた。
懐かしい気配を頼りに。
その気配は「書庫の神様」のものだ。
書庫の神様・・・と、花乃衣が勝手に呼んでいる存在・・・が、この後宮に棲んで、かれこれ千年は超えている。
華帝国の開闢当初より、書庫の番人として後宮の一室に「縛りつけ」られた彼は、魔族の一員であった。
しかし、ひょんなことから華帝国の初代皇帝に気に入られ、そのまま後宮の一室を賜ることとなるのだが、彼はまったく変わった思考の魔族であった。
曰く、魔族としての永きに亘る生に飽きてきていた彼は、自らの食料である「人間」に興味を持ち、人間の生態を研究するため、華帝国の初代皇帝に「書庫」を与えられ、自らその主となった。
それまでの彼は、魔族の中でも「元始の存在」として恐れられていたらしい・・・
強力な封印を施された部屋で一人、浮の世界の様々な書物を読んで暮らしている彼の存在は、帝国の中でもほんの一握りの人間しか知らぬことであった。
「ここ、だったと思う」
後宮でも西の端にある「月の宮」の、そのまた一番西の奥に、不思議な気配の部屋があった。
常の人には見えないよう、結界が敷かれているようで、ここまで来るのに、後宮の侍女の一人にも、会うことが無かった。
花乃衣はとりあえず、近くの空き部屋に清を寝かせると、蒼とともに書庫の扉を開いた。
「よう来たのう、花乃衣」
白い官服を着た好々爺が、花乃衣に笑いかけた。
次回は「神様」(?)との対話~
更新開くかもしれませんが、気長にお待ちいただけたら・・・(汗)
次回もお楽しみに・・・