第24話:華帝国の皇妃
はあ~
連休が終わってしまいました~(自分的には)
というわけで(?)新しい話をお届けします~
「お久しゅうございます、義姉上」
鈴を転がしたような声、とはまさにこのことだろう。愛らしい容姿と美声に、碧妃と対面出来た者の八割は、彼女に好意を持ち、高じれば崇拝者までなっていくという。
そんな自分の外観を、碧妃は十分に知りつくしていた。決して態度を荒げず、常に微笑を湛える顔は「癒しの女神」とさえ呼ばれている。公式の場で焔帝と並んで座すれば、至高の一対とまで呼ばれるほどであった。
だが、少しでも碧妃のもつ「邪気」を感じることのできる人間は彼女から遠ざけられ、政でも中央より遠ざけられてしまう。
まるで見えない「何か」が、碧妃を守るがごとく・・・
この国は、少しずつだが、何か歪んでいっているようだった。
花乃衣は、初対面のときから、何故か碧妃が苦手でたまらなかった。
見に覚えのない悪意を向ける相手に、好感を持つ人間がいるだろうか。
碧妃は初対面のときから、感情の伺えない表情をしていながらも、その深い緑の瞳で、憎憎しげに花乃衣のことを睨んでいた。
花乃衣が10歳位の時だ。
その対面の時は、母も一緒にいたはずだが、碧妃の美しい碧の瞳はずっと、花乃衣に向けられていた・・・憎悪の炎を灯らせて。
一言も交わすことなく終わった対面時。
麗花とは始終和やかに話していた碧妃と焔帝であったが、二人とも花乃衣と会話することはなかった。いつもは親しげに花乃衣と話す焔帝も、皇居の中では何故か彼女と会話を交わすことはなかった。
まるで、全く違う人間になったかのように・・・
「此度の登城は、如何様で?」
冷たい眼差し。なぜ、彼女は自分をこんなに敵対視するのだろうか。
近づいてくる碧妃に対して、何故か花乃衣は後ずさりしようとした・・・が、
「花乃衣」
小さい蒼がそう呼んで、花乃衣の手をぎゅっと握った。
そうして蒼は、ゆっくりと何事かを唱える。
「散」
蒼がそうつぶやくと、彼を中心に風が、吹き始めた。
さらり、と風が吹き抜けると、今までの重たい雰囲気と邪気が何故か感じられなくなり、花乃衣たちの目の前に立っていた清の体が、ぐらり、と揺れた。
「危ない」
花乃衣が慌てて清の体を支えると、清は何故か気を失っているようだった。
蒼は小さくため息を吐いた。
「・・・大丈夫だ。清さんから邪気は抜けた」
「・・・そなた・・・何者じゃ?」
ぞっとするような冷たい声だった。
「・・・じわりじわりと義姉様に掛けていた術まで解くとは・・・そなた、人間ではないな」
ゆるり、と碧妃はつぶやきながら、更に花乃衣たちに近づいてきた。
碧妃の後ろから着いて来たフードを深くかぶった人物が、彼女の前にさっと出ると、何かの術式が展開して、二人の姿が消えた。
咄嗟のことに、花乃衣が二人を追うことは出来なかった。
蒼はもう一つため息を吐くと、廊下の柱にもたれて、その場に座り込んだ。
「蒼!」
蒼は確実に疲れていた。魔力をハンパなく使ってしまい、少し休憩を取らないと、魔力が足りないようだ。
「蒼、大丈夫?」
彼はここに入る前にも姿変えの魔術で力を使っている。
今の魔術・・・『払い』は、清だけでなく、花乃衣の中に元々あった、碧妃の『邪気』を拭い去っていた。
「邪気を操り、人々の心を操作する・・・」
はあ、と蒼が息を吐きながら、つぶやく。
「花乃衣も、操られていたとは」
「そうみたい、だね」
蒼の手を取り、ゆっくりと、魔力を流し込みながら、花乃衣はつぶやく。
「花乃衣・・・」
花乃衣をゆっくり見上げて、蒼はにっこりと微笑んだ。
「魔力補給なら、こうして欲しいな」
言いながら、花乃衣に顔を近づけ・・・口づけた。
十分に花乃衣を堪能して唇を離した蒼は、仕上げとばかりに彼女の下唇を舐めあげ、彼女から拳骨かまされていた。
え~っと、おばかな終わり方でスンマセン(汗)
でも、こういういちゃをちょっとずつ入れていけたらと思ってます(うふ)
次回もお楽しみにしていただければ嬉しいです!!