第23話:後宮にて、出会う。その③
お久しぶりです~
また間が開いてしまいましたが~
お楽しみいただけたら嬉しいです~(^-^)
なるだけ目立たないようにと、地味な色合いの庶民服を着た花乃衣と、貴族の坊ちゃん風なカッコをした蒼は、ぱっと見、どこぞの貴族の子弟とその侍女風な感じに見えなくもない。
だがいかんせん、二人は自身の外見にほとほと無頓着で、どんなに地味なカッコをしていても、自然と周りの人間が目で追ってしまうような、そういう外見と雰囲気を持っていた。
蒼は小さくとも将来有望(確実)な美少年だし、花乃衣は「帝国の華」とも言われていた母親と、美しいのが標準装備な魔族の父親との子どもである。この大陸にすまう民族とは目鼻立ちから違い、くっきりとした瞳と唇、高い鼻は、北の大陸の人間に多く見られる特徴である。本人に自覚はなくとも、花乃衣は多くの人間にその容貌を羨ましがられていた。
清も後宮で知り合いと思われる侍女服を着た女性数人に声をかけられていたが、ついて来ていた二人にあからさまに視線を向ける人々を軽くいなし、どんどん後宮の奥へと進んでいく。
花乃衣は昔の記憶を掘り起こしながら、清が大体どのあたりに向かっているか考えようとしていた。
華帝国の後宮はかなりの広さを誇っている。昔はこの後宮内を「冒険」と称しながら散策するのが大好きだった。だが、今、清が進んでいる方向には全く見覚えがない、というか・・・
「ここには、入ってはいけない、と、言われていた・・・」
「え?」
花乃衣の小さな呟きを蒼が聞き取り、繋いだ手に力をこめた。
「一体、誰に?」
「・・・」
花乃衣は考え込みながら歩いていたので、歩みが遅くなっていた。だがしかし、先に行く清はお構いなしに、どんどん先へと進んでいく。
蒼はこの先にある「何か」のせいで、自分の神経が過敏になっているのを感じていた。
何かがある。
自然に強く握られるつながれた手。
花乃衣も強く、握り返した。
清が唐突に立ち止まった。
2,3歩後ろを歩いていた蒼と花乃衣の二人は、清にぶつかることはなかったが、あまりにも突然立ち止まられたために、少したたらを踏んでしまう。
蒼は子どもらしからぬ力で花乃衣の手を引き、その体が前のめりになるのを止めてくれた。
清は立ち止まりはしたが、どこに案内する風もなく、ただ、前方をじっと見つめている。
そんな様子の清に、花乃衣が声を掛けようとすると。
前方から怖気立つほどの気配をまとった存在が、現れた。
それは女の姿をしていた。
白い顔。眉は薄く、瞳は切れ長の奥二重で、涼しげな印象を持つ。だが、鼻と唇がぽっちゃりしているせいで、雰囲気よりも幼びているような感じがした。
しかし、その身にまとうモノは・・・
「邪気だな・・・」
蒼がポツリ、とつぶやく。
花乃衣が蒼に同意するように、首を縦に一つ、振った。
すばらしく豪華な単衣を身にまとった女は、花乃衣の見知った女だった。
華帝国の上位・・・宰相の地位を持つ男を父に持ち、同じ家柄の女性を母に持った、焔帝の皇妃、碧君であった。
次回も頑張って書き進めます~
物語りも(とりあえず)後半、といったところ・・・
お楽しみにしていただけたら嬉しいです~






