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第22話:後宮にて、出会う。その②


 実に久しぶりの更新になってしまいました・・・

 のんびり書いてたらこんなにかかっちゃって(涙)


 久々ですが今回は短めです。

 お楽しみいただけたら嬉しいです。

 清は10年前に最後に会って以来、何も変わるところがなかったかのように、花乃衣に微笑みかけた。


 「お久しぶりでございます」

 そういうと、清は深々と頭を下げた。後宮女官の上位の制服を身につけている彼女に頭を下げられ、花乃衣は待合室の人々に(図らずも)注目されてしまう。


 そこかしこでこそこそと囁き合う人たちを横目にしながら、花乃衣は蒼の手をぎゅっと握って清に近づいた。

 「清さん、頭を上げてください」

 花乃衣が清に小さな声で話しかけても、彼女は頭を下げたままだ。蒼が頭を下げている清の顔を覗き込むと・・・清は、泣いていた。

 「清さん、泣いてるよ」

 子どもっぽい話し方で、蒼は花乃衣にそう言うと、彼は清に手ぬぐいを貸そうとポケットに手を突っ込んだ。

 清は蒼から手ぬぐいを受け取ると、「ありがとう」と小さな声でつぶやき、ゆっくりと涙をぬぐう。

 花乃衣はとりあえず場所を移そうと、清の腰に手を当て、「ちょっとこちらに」とささやきつつ、彼女の体を支えながら待合所の端の空いた椅子に座らせた。


 清は涙を拭いた後は落ち着いたらしく、椅子に座ったまま花乃衣のことをじっと見つめていた。

 「こちらにお見えになると、満様からお聞きしたので、つい・・・」

 はにかんだ微笑を見せて、清は花乃衣と一緒にいた蒼に視線を向ける。

 「月日が経つのは、早いものですね」

 手ぬぐいを握った両手に視線を落とし、清はつぶやいた。


 花乃衣には、清と過ごした記憶があまりない。

 だが、母親によると、花乃衣が産まれた頃に数度、焔帝のお供で彼女に会いに来ていたそうだ。

 母と清は大の親友で、母親は、焔帝の乳母が清であることをことのほか喜んでいた。

 焔帝の成長をつぶさに観察し、折に触れて母親に連絡をしてくれていた清。母親はいつも彼女に感謝していた。

 そうして母とは交流していた清だが、花乃衣は10年前のあの夜まで、彼女と直接話をした記憶がない。母親が清と会うときは大抵夜で、自分が寝付いた後のことだったからだ。

 清がきたことは彼女が帰ってから母親から聞かされるので、特に興味もなく「ふーん」と聞き流していた。


 焔帝が流に遊びに来るときも、彼が幼い頃は、清がついてきていたが、彼女はいつも母親と共にいて特に関わることもなく、10歳を越える頃には「炎君」と近衛のみで、乳母である清がついてくることはなくなっていた。


 つまり、花乃衣には清ほど彼女を懐かしがる気持ちはない。

 ただただ訝しく思ってしまう。

 自分は母親ではないのだ。



 だが、10年前に自分を窮地から救ってくれたのは、目の前にいる清なのだ。

 花乃衣はそう思うと、これ以降、清が現れたことに対する訝しさを心の底に封じ込め、彼女の案内で蒼と共に後宮に入ることとなった。


 次話は早めに更新できるかな・・・

 現在、仕事が忙しくて、表も裏も更新できてなくて・・・(涙)

 なるだけ早めにUPできるよう頑張ります!

 どうぞお楽しみに・・・

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