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第15話:撃退する。


あんまり戦いっぽくない・・・


それでも楽しんでいただければ嬉しいです~

 花乃衣が転移した先は御者台だった。御者は恐怖のため震えてはいたが手綱を落としてはいなかった。最初の攻撃で一人落ちてしまったのだろうか、御者台には一人しかおらず、若い男が必死の形相で馬車を止めようと手綱を精一杯引っ張っていた。


 花乃衣は自身の術力で少し体を浮かせていた。なので体が斜めになる心配はなかったが、御者は自身の体が御者台から落ちないよう、体を支えつつ、手綱を引っ張っていたので、馬が止まる気配はない・・・最も、つながれていた馬も、先頭の2頭は消え、後方の2頭が恐怖のためか、全速力で走っているだけだったのだが・・・


 花乃衣は御者から手綱を取り上げると御者の肩に触れ、小さく転移の呪を唱える。すると御者の体は消えた。

 花乃衣は改めて手綱を取ると、ゆっくりと馬達に呪を唱える。

 『走る獣達よ、静まりたまえ。そなたらの敵は消え、目の前には安息の地が広がる』

 花乃衣の口から流れた不思議な響きをもつ言葉は、普段この大陸の人間が使う言葉とは異なっていた。『力ある言霊』と呼ばれる、術師特有の言語だ。だが、これを唱えられるからといって、誰でもがこの術を使うことはできない。文字通り『力ある』ものが唱えてこそ、その威力を発揮するのだ。


 馬達は、この術のせいか進めていた足の回転が目に見えて遅くなっていき・・・ついには止まってしまった。

 花乃衣は馬達に集中していたためか、馬車がいつの間にかまっすぐになっていることに気づかなかった。蒼の方も成功したらしい。

 御者台から降りた花乃衣は、この馬車の異変を起こした張本人を退治する蒼の元へ向かった。



 馬が止まった位置よりかなり後方に、蒼の姿が見えた。

 花乃衣は蒼の前に、大きな角を持つ魔物と対峙していた。


 花乃衣は蒼に加勢しようと彼に急ぎ近づいた・・・が。


 ぞわり、と、闇の力の蠢く気配がする。

 それと同時に、蒼の頭上に、青い火球が現れた。


 すんごく、熱そうだな・・・

 と、花乃衣が、場違い(?)なことを思った刹那。


 火球は、蒼が対峙する魔物の方へするすると飛んで行き。


 それが触れた瞬間、本当にあっさりと、蒼の三倍の大きさはあったであろう魔物は、消えてなくなった。



 「蒼」

 花乃衣の息は少々乱れていた。慌てて走ってきたのだろう、肩から掛けていた鞄のかけひもがずれている。

 蒼は花乃衣の方を向くと、彼女の鞄の紐を肩に掛けなおした。彼女は照れたような表情を浮かべ、更にきちんと鞄を掛けなおす。

 「無事に、馬を止めてくれたね」

 よいこよいこ、と花乃衣の頭をなで、蒼は蕩けるような微笑を浮かべた。

 対する花乃衣の顔は真っ赤に染まっている。


 無駄に色気がありすぎます、この魔王め・・・(涙)

 朝のあれこれを思い出し、ちょっぴり(いや、かなり)恥ずかしい花乃衣であった。



 それからの花乃衣と蒼は、お互いの術に対し激論を闘わせていた。

 満と水君は、そんな二人を遠くから眺め、「このバカップルめ・・・」と生温い目線を送っていたことを、二人は知る由もなかった。


 旅は続くよ~

 まだ帝都には着きませぬ~

 次の街で休憩~


 お読みいただきありがとうございました(ぺこり)


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