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夜を生きる  作者: 八折伏木
夜警団入団編
5/13

組手の次は座学

こんにちは、八折伏木です。

2025年3月22日時点、寒かったり暑かったりで室温管理が大分大変ですがいかがお過ごしでしょうか。

まだ5話しか書いてないのに既に設定を書き切れるか不安になってきております。なので前回の様にたま〜に前回の内容に対しての補完だったりをこの前書きに入れることがあるかもしれません。その時は書き方ミスったんやなぁって優しい目で見ていただけると助かります。

それと、モンハンが一区切りついたのでこれからペース上げてこうと思ってます。頑張っていきますので温かく見守っていただけると幸いです。

それでは本編へどうぞ。

登場人物

ユウ・・・幽夜ユウヤ

ラブカ・・・透鮫トオサメ 愛渦マナカ

レイン・・・霊場レイバ 照陰テイン

先生・・・豊巣トヨス メイ

夜警団の先輩・・・成田ナリタ 乙何オトナ

      ・・・確日タシカ 滅花メッカ


 昨日の特別授業で発現者にランク付けがある事を知り、2人の先輩と組手をしてもらった事で“数字持ち”と“英字持ち”の強さと格を知った。今日も先輩が授業に参加してくれるらしいが正直昨日とは見る目が違ってしまう。特に僕とレインは身をもって英字持ちとの差を思い知らされてしまった。レインはあまり気にするタイプではなさそうだけど、僕は……。

「お」

「あ」

 教室まで向かっている途中でレインとでくわした。

「おはよ、ユウ」

「おはよう、レイン。昨日はなんか色々……すごかったね」

「うん、そうだね……乙何さんのあの動き……何回思い返してもとんでもないものだった」

 レインはぶつぶつ何か呟きながら色々と考察している。本人の中では僕に喋っているつもりなのだろうけど、はたから見れば独り言だろう。でも……いつも通りで安心したし、こういう所はやはりレインの強みだしすごいところだと思う。

「で……って聞いてる?ユウ」

「え?あ……ごめん、ちょっとぼーっとしてたや」

「ん、まぁ寝起きだしね。この話はまた後にしようか」

「あはは、助かるよ。今日の授業も乙何さんが来てくれるって言ってたし、授業の後で反省会しよう」

「ラブカは嫌がりそうだけどね」

「まぁ無理にはやらなくてもいいしね。ラブカに関しては何も考えないのが強みみたいなところもあると思うし……」

「誰がなにも考えてないって〜〜??」

 驚いて振り向くと気付けばラブカに後ろから肩を掴まれていた。

「あ、おはようラブカ……」

「おはよーゆーちゃん、なにかいうことはあるかなー?」

「はは……ごめんね……でも誤解しないでほしいんだ、僕はラブカが感覚派なんだと思って言っただけで……」

「そうだよラブカ、ユウは頭が悪いなんて一言も言ってないだろう?」

「ちょっとレイン!?その言い方は語弊が……」

 あ、またレインの口元がちょっとニヤついてる……。あいつめ……。

「もー!今日という今日はゆるさないぞー!」

「いやちょっと待……というか結局いつも何かしら酷い目にあってるよね僕!?今日という今日とかじゃないよ、もう!?落ち着い……」

 結局レインはすたすたと我関せずといった顔で先に教室に向かってしまい、僕はラブカにぺちぺちぽこぽこしばかれて時間ギリギリに教室に入る羽目になってしまった。


 教室に入ると今日は乙何さんが先にいて、先生と何やら雑談していた。

「お、残り2人も来たね。おはよう、幽夜くんに愛渦ちゃん」

「おはようございます、今日もよろしくお願いします」

「おはよー!乙何さん!」

「あはは、元気で良いね。今日もまた僕以外に1人呼んであるんだけど……ちょっと朝が苦手な人でね。大丈夫って言ってたから1人で来たけど、やっぱり時間通りには来てくれなかったかぁ……」

「呼不地さんではなくまた別の方を呼んでくれたんですか?」

「うん、今日の授業は昨日みたいな実技じゃなくて座学気味な事をするって聞いたからね。そっち方面の人を助っ人に呼んでおいたんだ」

「なるほど……でもその様子だとまだみたいですね」

「そうなんだよねぇ、う〜ん……やっぱり迎えに行った方がいいかなぁ……僕ちょっと行ってくるね。申し訳ないけど明さん、また途中参加でお願いします」

「全然大丈夫だよ〜!よろしくね〜」

「ごめんね、3人とも。またあとで!」

 乙何さんはたったか駆け出して行ってしまった。普段のゆる〜っとしたスピード感からはやっぱり昨日の対戦中の速度は想像出来ない。となるとあれは乙何さんの能力……だったのかな。

「それじゃあ今日の授業、始めるよ〜」

 とりあえず乙何さんとその助っ人さんは途中から来てくれることになり、今日の授業内容の入りの部分はいつも通り先生が教えてくれる事に。

「今日のテーマは様々な組織について。今この国では大きな団体としては“政府機関”と私達の所属している“ポラリス”が挙げられるね。でもそれ以外にも色んな目的・理念をもって活動しているところがあってね。もちろん大小様々ではあるんだけど例えば……」

 政府の監視下ではあるものの人々の為に異霊の研究を進める「異霊研究所」、汚染が進んでしまった海をかつての綺麗な海に戻す事を理念とした「海洋除染推進会」、発現者の支援や補助具の開発を担う「発現者支援協会」……その他諸々。

「あとは……今回の本筋というか、この解説の為に乙何君と助っ人さんの講師をお願いしたんだけど……これに関しては来るまで待ってようか。それまで少し休憩時間にしようか」

 僕は少し力を抜いた。一旦開いていたメモを閉じ、ペンを置く。色々な団体……少し興味が湧いた。海洋除染推進会とか……司さんがもしかしたら詳しかったりするかな。今度会う事があれば聞いてみよう。

「ねぇ、ユウ」

「ん、何?レイン」

「さっき話に出てきた“異霊研究所”ってさ、本当に人々の為に研究を進めてる団体だと思う?」

「え……んん……まぁさっきの説明を聞く感じだとそうとしか思えなかったけど……なんで?」

「政府が監視してるって時点で怪しいけど……まぁ人々の為にってのが本当だったとしても、最終的には政府機関に利用されるんじゃないかって気がして」

「利用……監視下に置いて有用なことが判明すればその研究結果を横取りされるってこと?」

「それもそうだし、例えば政府にとって不利益な事が研究によって明かされるような事があったら……」

 レインはその先を言わなかったが、恐らくは抹消……揉み消される。最悪政府によって研究所ごと“解体”……なんて事もあるかもしれない。

「想像したら嫌な話だけど……突然どうしたの?そんなこと考えるなんて」

「そもそもが疑問でさ。政府機関がなぜ異霊の存在を隠す事にしたのか」

「まぁそれはわからなくもないけど……僕らはまだ実際相対したわけでもないし、わからない事があるんじゃないかな」

「……そうかな」

「いやぁごめん皆!お待たせしました、明さん」

 レインはまだ何か言おうとしていたようだけど乙何さんと助っ人の人が着いたので「後にしよう」と言って会話は途切れてしまった。

「それじゃ自己紹介お願いしま……あれ?滅花さん?」

「はぁ……歩くのが速いってんだよ乙何……」

 乙何さんに文句を言いながら教室に入ってきたのは白衣に身を包んだ女性だった。ぱっと見は研究者の様に見える。

「ごめんごめん、焦っちゃって。じゃ改めて自己紹介頼むよ、滅花さん」

「はいはい、わかったよ。初めまして、若者たち。私はポラリスで研究者兼医者として働いている者だ。名前は確日滅花タシカメッカ。よろしくね」

「はい、滅花さん自己紹介ありがとうございました〜!今日はよろしくお願いしますね」

「ん……まぁ、私の知ってる事でよけりゃ教えますよ……」

「じゃあ申し訳ないんですけど僕はお呼び出しくらっちゃったのでちょっと行ってきます……。滅花さんを置いていくので“図書館”の事についてはこの人に聞いてください、すみません!」

 乙何さんは何かしらの任務なのか出動しないといけないらしく、今日の授業は滅花さんが担当してくれるとの事だったけど……明らかに滅花さんが聞いてないぞって顔してるなぁ……。

「なんで呼びつけた奴がいきなり消えるんだい、全く……」

「ごめん滅花さん、今度何かしら無償でおつかいでも任務でも引き受けるから!」

「はぁ、まぁいいよ。行っといで」

「ありがとう、埋め合わせはちゃんとするからー!」

 言いながら既に乙何さんは走っていってしまっていた。残された滅花さんはため息一つついてから授業を始めてくれた。

「慌ただしくてすまないね、あの子昔から忙しない感じなんだ。じゃ、始めようか。今日私が担当するのは“図書館”という組織に関しての授業だ」

 “図書館”という組織は正直聞いた事がない。さっきまでの先生の話で出てきたような団体や会社などはちょくちょく聞いた事のあるようなものもあったけど……。なんで先生はこの組織だけは説明を滅花さんに任せたのかな。

「ちなみにこの組織の説明を私が請け負ったのは私が個人的にこの組織を追って調べているからだ。と言っても別に特段詳しいという程でもないが……そもそもが詳細不明の団体なんでね」

 タイミングが良過ぎて一瞬僕が考えていたことを見透かされたのかと思ってしまった。

「さて、前置きはこのくらいにして本題に入ろうか。今日の授業で明さんがこの組織についてをメインに置いたのは恐らくだが……今密かに政府・ポラリスと並び三つ目の大組織となりつつあるからだろう」

「さすが滅花さん、ご明察!私も詳しくは知らないけど……最近勢力を伸ばして大ききなりつつあると聞いて、これからポラリスで働くにあたって関わる事もあるのかなって思いまして。純粋に私の興味もありますが」

「ふむ、この子達の今後の為と。私も夜警団とは少し関わりがあるし……君達が活躍してくれることを期待しておくよ。その為に今日、私の知りうる限りは教えよう」

 図書館……政府機関や僕達の所属するポラリスと並びうる組織。正直ポラリスという会社がそのくらい大きいということすら僕は今日知ったくらいだったけど。政府機関……この国の中枢組織と同じレベルの組織、と思えばその規模は僕でも分かる。

「まず図書館の目的や行動理念についてだが、これについては不明だ。設立された理由もな。つまりは殆ど不明というようなものだが、判っている事もある。例えば構成員については政府機関から逃げ出した発現者達が主要メンバーになっている。元々いた創立メンバー達がどうなのかは不明だが、政府機関の所属だったはずの者が後々発見された際には自らを“図書館の使い”だと名乗っていたことから調査が入ってね。基本的には政府機関から人員を吸い取るような形で勢力を伸ばしている」

 政府機関からメンバーを奪っている……引き抜きみたいな事があるのかとも思ったけどそれにしては言い方がおかしいというか、そもそも何で政府機関から()()()()()人達がいるんだ……?

「あの、滅花さん」

「うん?何かな」

「政府機関から逃げ出した人達がいるっていうのは何故です?確か政府機関ではポラリスと同じ様に発現者を保護して教育・育成を行っているって以前の授業では聞いたんですが……」

「……おっと、()()()の説明はまだだったのか。それはすまない、内容が前後してしまったが……そちらも私から説明しようか」

 その辺?説明?

「あちゃ〜ごめんね、滅花さん。私が説明入れ忘れてたよ〜」

「構わないよ、明さん。では政府機関の裏の顔、とでもいうべきか。説明しよう。奴ら政府の役人達は、表向き一般人に馴染ませる教育の為に発現者を『保護』していると謳っているが……その実態は“洗脳”と“実験”だ」

 洗脳と実験。なんだか想像していたよりどろどろした話なんだろうか……。ちょっと聞くのが嫌だな。それにしてもなんというか……滅花さんの顔が少し険しくなったような?

「保護という名目で政府機関に連れ去られた子供達は……まぁいくつかあるが、どう転んでも幸せな結末にはならないな。政府機関がより発現者というものについて理解する為の被験体にされるか、運が良くても洗脳教育を経て都合の良い駒にされるかだ。そういった環境下故、時折政府機関の運営する施設から逃げ出す者達もいる。そうした人間を集めている事から、もしかしたら……図書館の目的は政府機関の崩壊なのかもな」

「政府機関の打倒……確かにそれが目的なら納得出来るしとても合理的だ。政府の人員を減らしつつ図書館側の戦力も増やしていけるから実質的に勢力を倍のスピードで伸ばしているし、そんな環境下で育った人達なら恐らく政府に恨みを抱いている人も多い。ならば図書館の理念に賛同してもらうまでもなく、行動してもらえる可能性は高い……」

 色々と話を聞く中で隣のレインは既にぶつぶつと独り言タイムに入っていた。でも確かに図書館の目的をそう仮定するなら、すごく効率的だ。でももちろん一般の人達はさっきまでの僕達みたいに政府機関では普通に発現者達を保護してくれていると思っている筈だし……創立した人の目的が政府打倒なら、何でそんな事を考えたのかもちょっと気になる。

「ほう、君は色々と考えるタイプのようだね。それにとても的をいている、助手に欲しいな。まぁ説明したところで図書館の話に戻るのだが、他に判明していることといえば……一部の所属メンバーは夜警団同様人々の悩みを解決して回っているらしい。何か狙いがあるのか純粋な善意なのかは不明だが」

 悩みを解決して回っている人がいるのなら、ポラリスの手を取る事も考えてくれるのではないだろうか。協力することが出来るなら、確実に困っている人々に手を伸ばせる範囲は広くなる。でも、一部のメンバーって事は全員が全員そうじゃないのか……なら難しいのかな。

「目的や行動原理は不明と言ったが……そもそもが無いのかもしれないな。“自由”を掲げた団体の可能性もあるだろう。……ふむ、正直確信を持って言える事はこんなところで殆ど判っていないようなものだが。憶測でもいいから聞いておきたい、なんて質問はあるかね?」

 質問。何かあるかな、聞いておきたい事……。気になる事はあるけど、聞くのもちょっとどうなのかな……。

「僕は大丈夫です」

「あたしもないでーす!」

「……じゃあ、ひとついいですか?聞いてもいいことか少し迷いましたが」

「構わないよ、何が聞きたいのかな」

「何で研究者兼医者の滅花さんがわざわざ、そんな組織の事を調べているんですか?特に関連性は見受けられないのですが……」

「……確かに、当然疑問に思うだろうな。そちらの幽夜君、だったかな?君も聞こうとしていたんじゃないかね?」

 ……やっぱりこの人はエスパーか何かなんじゃなかろうか。それともしっかり顔に出てしまっていたんだろうか。今日初めて会った人だけど、恐ろしい人だ……。

「問題無い、お答えしよう。私が図書館に目をつけて調べている理由は、そこに所属しているメンバーにある。馬鹿娘が、そこにいるかもしれなくてね」

 僕達は黙り込んでしまった。もしかしてさっき政府機関について説明する時に少し顔をしかめた様に見えた理由って……。

「いや、娘の事を馬鹿などとは言えないな。私の方が余程愚かだった。当時政府の関連施設で今と同じように働いていた時、何の疑いも無く私は自分の娘を政府に預けてしまった。それが今更、娘の顔が見たい、娘が心配だからなどと……」

 滅花さんは少し哀しそうな顔をしている……というより少し自嘲気味だった。

「……すまない、本来人様に話すような内容でもないんだが。そんな娘が政府機関から抜け出し図書館という組織に合流したと風の噂で聞いてね。こうして今更……娘の安否を心配するフリをしているのさ」

『フリだなんて!』

 ……そう言いたかった。けど。言葉が出なかった。

「……すみません、変な事を聞いてしまって。答えてくださってありがとうございます」

「いいんだよ、情けない話でこちらこそすまないね。他に聞きたい事はあったかい?」

「いえ、今日は本当にありがとうございました」

 レインは起立し頭を下げた。僕とラブカもそれに倣った。

「よしてくれ。……私は発現者でもないから力になれる事は少ないかもしれないが、君達のこれからを応援しているよ、若者達。また何か聞きたい事があれば、いつでもポラリスの研究室にくるといい。私は基本的にそこにいるから」

 それじゃ今日はもう教える事も済んだし戻るよ、と言って滅花さんは研究室に戻っていった。

「……色んな人がいるんだね、ポラリスには」

「そうだね。……好奇心に任せて聞いてしまったけど、申し訳ない事をしたな」

「まぁ、僕も正直言うと気になってたし。聞けて良かったと思うよ」

「そうかな。今度お詫びに何か持っていこうかな」

「いいね、それ」

「ちょっとー、2人でばっか話してないでわたしもまぜてよ〜」

「あぁごめんラブカ。今度滅花さんの所に行こうか、3人で」

「いいよ〜付き合ったげる!」

 わいわい話していると途中で先生がはいはい授業締めますよ〜と手を叩いたので一旦話はとめてその日の授業を終えた。その後、レインが話したいというので一緒に昼食を食べに食堂へ向かった。


「で、話って何?レイン」

「さっき授業中に話してた事の続き」

「えっと、あ〜研究所の事だっけ」

「そう。改めて、どう思う?政府が何故異霊の存在を隠したのか」

「ああ、その事か……う〜んでもやっぱり、混乱を招くのを恐れたってのが正しいんじゃないの?」

「それ、正直隠す理由としては無理があると思うんだ」

「無理があるってのは、どの辺が?」

「隠す労力を考えてみてよ、明らかに覆い隠すよりも広めて注意喚起する方が楽だと思わない?」

「あ……確かに」

「ね?それはつまりどういうことかってとこなんだけど……政府機関が異霊の存在を認識した時に何かしら、その労力を超えるくらいのメリットを見つけたからだと思うんだ」

「メリットって?」

「それは流石に今は分からないけど。少なくとも情報を隠してでも独占したい何かがあったんじゃないかと思う」

「はえ〜……いつも思ってたけどレインはよくそういう事に気づくよね」

「全くだ。思考の鋭さが15才の若者のそれではないね」

 突然隣に座った滅花さんが会話に入ってきたのでびっくりした。

「驚かせてしまってすまないね。昼食を食べに来たら君達が見えたから若者達がどんな話をしているのか気になったんだ」

「滅花さん。ここで会えてちょうどよかったというか……先程はすみませんでした」

 レインはあまり驚いていない様だった。

「ああ、いいんだよ。ただの研究者が何故外部の組織について調べているのか……普通に考えれば気になるだろうからね。それに君は賢いし、恐らく気になった事を調べずにはいられないタイプだろう。その辺は私と同じものを感じるんだ」

「自分が賢いと思った事は無いですが……確かに気になった事は探究したくなります。さっきの授業の内容以外で聞きたい事がいくつかあるので……今度お伺いしたいです」

「ああ、いつでも来たまえ。私の共有出来る知識ならばいくらでも伝えよう。だが……政府が何を考えているのか、などという事に思考を巡らせるのはやめておいた方がいい。良い事はひとつも無いからな」

「忠告ありがとうございます。思考を巡らせる過程を楽しんでいるだけなので大丈夫ですよ」

「ははっ、そうか。君はやはり賢い」

 滅花さんはすっと立ち上がって最後にそう言うと食堂から出て行った。僕達も既に昼食は食べ終えていたのでとりあえず今日はもうそれぞれの時間を過ごす事にした。明日からもまたいろいろな授業を先生が組んでくれているのだろうか、とこれからの事をぼーっと考えながらその日は過ごした。

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