魔人の狂想(50)
50
そんな三人の戦闘の始終を、冒険者学校の屋上から観察している影があった。
赤いローブを纏い、白いペストマスクをつけた異形の魔人パラノイア──と、もう一人。
「あれが、例の?」
「えぇ、『ノタリコンの魔導書』の原典の所有者です」
黒い長髪に黒のロングコート。
背中には幅広で肉厚な大剣を背負い、顔には黒い狐の仮面をかぶっている。
隣にいる異形とは異なり、全身どこを見ても人間の要素しか見当たらない彼女は、その通り魔人ではない。
「良いねぇ。私、ちょっと興味湧いてきちゃったよ」
「興味?」
はて、と首を傾げるパラノイア。
対し、彼女はニヤニヤと仮面の下で笑みを浮かべながら相槌を打った。
「あぁ。
君たちは死神を殺して、新しく自分たちの世界を建造することが目的なのだろう?
そして私は、強い奴を倒し続けることが目的だ。
ならば、立ちはだかる強敵に興味を示しても、何の不思議もないだろう?」
若干、声が震えている様に聞こえるのは、成長した彼女たちと戦うことを夢見て戦慄しているからか。
荒い息が耳に届くのを、パラノイアは呆れた声で返した。
「アナタって本当に戦闘狂ですよねぇ。
ワタシ達側からすれば、いい戦力になるので構わないのですが……ハッキリ言って、アナタのことを変態だと思わない日がありませんね、カナミ先生──否、クロエ殿」




