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魔人の狂想(23)


 23


「……いん、……ーりん、……マーリン!」


 遠くから、誰かの名前を呼ぶ声が聞こえてうっすらと目を開く。

 窓から差し込むオレンジ色の斜光。それを遮って、二人の人影がこちらの顔を覗き込んでいる。

 一人はふわふわの金髪を靡かせた蒼い瞳の美少女。もう一人は、やや日焼けの痕が残る赤い髪の三つ編みの少女──アリスとロゼッタだ。


(そうだ、俺、異世界に──)


 ぼやける視界が徐々にクリアになっていくにつれて、股下に感じる不快な感触に顔を顰めた。

 そういえば、まだ初潮はおさまっていないんだった。


「あー、おはよう、二人とも」


 ぬるくなった机の天板から頭を引き剥がして、二人に挨拶する。教室には帰り支度を進める生徒がちらほら見えて、どうやら終業のホームルームはすでに終わった後の様だった。


「おはようってあんた……もう六限目終わってもうとるやないか……。

 今日は移動やなかったからよかったけど、フォルルテ先生めっちゃ睨んでたで」


 呆れた様に腰に手を当ててそう告げる彼女に、俺は寝ぼけ眼で乾いた笑いを返した。

 フォルルテ先生。聞いたことない名前だけど──そう思って黒板横の時間割表を確認する。どうやら魔法実技の担当教員らしい。

 悪いことをしたとは思うが、この絶不調。どうすることもできないので勘弁してほしい。


「あはは……。

 来週はなんとかするよ……。ちょっとトイレ行ってくる」


 今はもう出血量も控えめになってきたしそろそろ終わるだろうけど、やはりこの不快感はいつになっても耐え難いものだ。

 俺は二人に見送られるがまま、トイレへと足を早めるのだった。

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