止まれない
山間を縫うように走る4両編成の電車。
その電車の先頭車両。
運転士のすぐ後ろで部活帰りの3人の高校生がバットを振り回し、彼等に掴みかかりその身体を喰おうとしているゾンビ共の頭を叩き割っていた。
高校生の1人が叫ぶ。
「運転士さん! まだ、駅に着かないんですかぁー!」
運転士が叫び返す。
「もう少しだ! このカーブを曲がり切れば、あ! ああ………………」
カーブを曲がりスピードを落とし掛けた電車がまたスピードを上げる。
運転士に声を掛けた高校生が駅のホームに目をやるとそこにも多数のゾンビがいて、駅員や電車を待っていた人たちに襲いかかり、その身体の肉を引き千切り喰い千切っていた。