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第8話 文治郎はブレない

「ごめん。俺、ずっと付き合ってる彼女いるから」

「待って! 試しに1ヶ月だけ私とも付き合って! それから答えを出して!」

「断る」

「お願い!」

もはや返事もせずにスタスタと去る文治郎ぶんじろう


── 毎日一緒に登下校してイチャイチャをアピールしているんだけどな。

それにしても今日の子はしつこかったな。


文治郎はモテる。しかし幼稚園からずっと美哉一筋な文治郎はよろめかない。



── フッカフカな正宗おじさんにじゃれる美哉は可愛い。ゴロゴロと喉を鳴らすおじさんも可愛い。


── 俺のことが大好きだと全身で表現する美哉は超可愛い。


── 特にあの尻尾はヤバい。機嫌の良し悪しが丸わかりだ。拗ねていないと言いながら不機嫌に尻尾を揺らす美哉の可愛いらしさは言葉にできない。


「おい、全部漏れてるぞ」

「何だ?」

「お前の美哉ちゃんへの暑苦しい愛情が、そのイケメンなおくちからダダ漏れ」

「漏れているんじゃない。あえて聞かせている」

「何でだよ!」


はあー、とわざとらしく溜息をつく文治郎。


「お前らに聞かせるだろ?」

「お、おう」

「お前らが俺と美哉の噂をするだろ?」

「今更しないけどな」

「しろよ。で、さっきの子が、それを聞くだろ?」

「クラスが違うし、その設定は無理だな」

「何度か聞いてるうちに諦めて次のターゲットに移るはずだ」


「だから、しねーって!」

「わざわざ違うクラスまで行って、そんなわざとらしい話を何度もできねーよ!」


つよし直之なおゆきが冷たい…」

「いや、俺たちが冷たいんじゃなくて文治郎の計画が欠陥だらけ。な?」

「ああ。設定に無理がありすぎだし。俺たちが小細工しなくてもお前の冷淡さと残念さはさっき告白してきた彼女にも伝わってるから心配するな」


剛は高校から、直之は小学校からの付き合いだ。剛は同じサッカー部で、割と短期間でコロコロと彼女が変わる。直之は彼女募集中だ。


「はあ。彼女のいない直之や取っ替え引っ替えな剛には分からないか…」

「てめえ!」

「絶対に協力しないからな!」



********

「という訳で…」


告白されて断ったことから剛と直之とのやり取りまで全部を美哉に話した。


「ふ、ふーん」

美哉の尻尾が嬉しそうに揺れる。

「断っちゃって良かったの?」

「当たり前だろ」

「そっかー」


── 今日も美哉が可愛い。

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