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第43話 ゆったりと過ごす冬の日

無事に期末試験も終わり、美哉は正宗と一緒に出掛けて、クリスマスプレゼントにコートを買ってもらった。


獣人用のオーダーメイドで仕立ててもらったので尻尾の具合がちょうど良い。

成長期が終わってきたので、これからはずっと着られる良いものを揃えると正宗が張り切っている。


美哉と一緒にお出掛けした正宗は前の日から翌日まで、ずっとご機嫌だった。


美哉が文治郎に贈ったプレゼントは、ストームグラスと呼ばれるガラスの天気予報ボトルだった。ガラスで出来たボトルの中身が天気によって変化するのだ。


晴れた日はボトルの中の詰め物が最下層に溜まり、上の液体は透明。曇りの日はボトル内が混ざって濁る。

密閉されたガラス容器に閉じ込められた透明な化学物質の溶液が外気温と天気の変化に応じて、ボトル内で結晶化して天気の変化を予測する仕組みだ。


天気を予測できるだけでなく、きれいなので部屋のインテリアとしても楽しめるが、家族の洗濯を請け負う文治郎にとって、インテリアというよりかなり実用的なプレゼントだった。さすが美哉は俺を分かっている…と感動していた。



寒がりな正宗へのプレゼントはブランケットだ。朝から晩まで美哉から贈られたブランケットに包まってゴロゴロと喉を鳴らしている。


「パパの毛皮に合う模様と色を探した」というコメントに感激してポロポロ泣いた。ブランケット探しに付き合ったのは文治郎だが口を出さずに見守ったので完璧に美哉の見立てだ。

さっそくブログで自慢…じゃなくて紹介したら、古くからの読者から「あの小さかったお嬢さんが…。」というコメントが殺到した。



*******

気温が高いと「油汚れ」を落としやすいから、正宗&美哉の家では『大掃除は夏にやるもの』なので年末に大掃除はしない。

今日もゆったりとした時間を楽しんでいる。


「ホットカーペットにコタツ、美哉ちゃんの毛布…幸せにゃあ」

ゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロ…。


普通のブランケットがケットシーをダメにするブランケットになっていた。


正宗がゴロゴロしている横で美哉と文治郎がティラミスを作っている。

クリスマスにチョコケーキかチーズケーキか苺のケーキか悩んで苺ショートをホールで買ったが、やはり他のケーキも食べないとクリスマスを終われない。


チーズの要素とチョコの要素、両方欲しかったのでティラミスを作っている。どこらへんがチーズでチョコなのか悩ましいが、マスカルポーネとココアパウダーが入るので良いらしい。


食べたがったのは美哉で、作っているのは文治郎だ。ティラミスは意外と泡立てる作業が多くて大変なのだ。


「あとは冷やして完成だ、ティラミスはおじさんも好きだし晩飯の後で食おうぜ」

「うん、文ちゃんのティラミス楽しみだなあ」



美哉を溺愛する正宗に隠れて付き合っていることに罪悪感を感じている文治郎。

せめて正宗に美味しいものを食べてもらいたいという思いから、文治郎の家事スキルは高まるばかりだ。

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