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第25話 パパの奮闘

お墓参りが終わって、正宗&美哉の家に帰ってきた。


「露子のお仏壇に正宗さんのおむすび。うふふ、いろいろ思い出しちゃうわ」

「ママって本当におむすびしか食べなかったの?」


「うちで暮らしていた頃は私の作ったご飯を食べていたわ。でも美味しいとも不味いとも言わなくて…本当に張り合いのない娘だったの。社会人になるや、さっさと家を出て1人暮らしをはじめて、それなりにやっていると思っていたんだけど…」

「ちゃんとしてなかったの?」


「そう。しかも私たちがそれを知ったのは露子が正宗さんと結婚するって言い出してから」

「お婆ちゃんたちは、どうやってそれを知ったの?」

「2人で結婚の挨拶に来た時に正宗さんが、ちゃんと工夫してこれからも露子にご飯を食べて貰えるように頑張るって言うのよ。ちょっと意味が分からなくて詳しく聞き出したら、何年も出来合いのおむすびしか食べていなかったって白状して…」


「うわあ…」

「あまりのことに、お爺ちゃんが“結婚なんて許さんぞ!この泥棒猫ちゃんめ!” って叫んだことをスルーしちゃったわ」

「うわあ…」

いさましく立ち上がって叫んだお爺ちゃんは哀しいピエロだった」

「うわあ…」


「露子ちゃんは食べることよりも本を読んだり…他のことに興味があり過ぎたにゃあ。だから露子ちゃんに興味を持ってもらえるように工夫したにゃ。栄養学の話とか、鮭フレークが出来るまでの話をドキュメンタリー仕立てて聞かせたり」

「ママって冬夜くんみたいだね」


「冬夜君?」

「ママの友達の京子さんの息子さん」

「冬夜は化学の勉強を拗らせすぎて、東大を中退して料理の修行中にゃ。大学で理論をこねくり回すのではなく、現場で素材と調味料と温度と調理法を研究したいらしいにゃ」

「露子と気が合いそうね。京子さんの息子さん、そんなことになっていたの。

それで、もう私たちが土下座する勢いで結婚が決まって。お爺ちゃんが“認めない”とか“許さん”とかグズグズ言ってたけどスルーよ」

「うわあ」

「あの時のお爺ちゃんはピエロというより駄々っ子だったわ」


「美哉ちゃんは露子に似てるけど、露子より可愛いわ。正宗さんに似たのかしら」

「照れるにゃ。お義母さんの特技は褒め殺しにゃ」


モジモジする正宗は可愛いくて、猫派の祖父がとても苦しそうだった。

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