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第14話 海デート

「美哉ちゃんが心配にゃあ」

正宗のヒゲが下を向く。


「ただの海水浴だよ、日帰りだし。文ちゃんも一緒だから」

「海にはウェイウェイしたクソガキがいっぱいにゃあ」


花火大会に続いて海。

遊んでばかりのようだが、これでいいのだ。来年は文治郎の受験があり、憂いなく遊べる高校の夏休みは今年だけなのだから。


「日焼け止めは持ったかにゃ? こまめに塗り直すにゃ」

「ちゃんと持ったよ、パパ」


「文治郎、分かっていると思うけど美哉ちゃんから目を離すにゃよ。今日もこんなに可愛くて…、浮かれたクソガキが寄ってくるのは間違いないにゃ。ウェイが美哉ちゃんに触ろうものなら腕ごと切り落とすにゃ」


今日も文治郎のやり過ぎな指示にうなずく文治郎。これはうなずいてはダメだ。



「海、楽しみだね!」

去年は地元のプールだった。埼玉から逗子は遠いが一緒なら電車の旅も楽しい。

指輪を買ってもらったデートの時に買った水着も初お披露目だ。



*******

「すっげー可愛い」

珍しく文治郎が赤くなった。美哉の新しい水着は文治郎のツボだったようだ。

「えへへ」

「……手、つないで。可愛い過ぎてヤバい。おじさんの気持ちスッゲー分かる」

美哉の手を掴んで歩き出す。


幼い頃から一緒の2人だが、珍しく新鮮なドキドキが発生した。まるで付き合いたてのように海でイチャイチャな水遊びを楽しんだ。



*******


「おかえりにゃあ」

「ただいまパパ、楽しかったよ」

当然、美哉はご機嫌だ。

「ご飯作るね! 今日はカレーにするよっ」

ご機嫌な美哉がキッチンに向かう。今日の昼は海の家で焼きそばを食べたが、カレーと迷ったのだ。


「文治郎、美哉ちゃんを狙う不届きなウェイは居なかったかにゃ?」

「今日の美哉はいつもより可愛い過ぎてヤバかった。だからずっと側にいたし目を離さなかった。美哉を見ようとする奴がいたら俺が間に入って自分の身体を盾にしてウェイからの視線をブロックした」

「さすが文治郎にゃ! 頼りになるにゃ」


その文治郎こそが不届き者だったと思い至らぬ正宗であった。

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