強欲王の物語
この小説は、話ごとに500~6300と文字数に幅がございます。
ご了承くださいm(_ _ )m
600年前。
この地に楽園と称される国があった。
国に住む者は誰もが飢えることはなく、いかなる病とて癒やされていた。
だが、いつしか王は欲に駆られそれ以上を望むようになる。
世界の全てを欲し戦争を引き起こした。
偉大な錬金術師であった彼は、神秘の秘術により無数の悲劇を生み出す。
だが己の手に納まりきらない物を望む者の末路は一つしかない。
最期、強欲なる王は魔神と化し英雄達に滅ぼされた。
それでも悲劇は終わらなかった。
王は死の間際に、自らの国を巻き込んで消えたのだ。
己の所有物が奪われるのを許せなかったのだろう。
多くが失われた。
楽園に住む多くの命も、高度な文明も。
残されたのは戦果の痕のみであった。
この戦争は、後の世で様々な名で呼ばれるようになる。
その中で特に有名なのが、楽園と世界連合の各指導者が有していた瞳の色をなぞった名だ。
楽園の指導者とは強欲王。
彼の王が有していたのは赤い瞳。
後の世において暴虐の赤と呼ばれる色。
世界連合を指揮したのは魔術王。
彼の者が有していた紫色の瞳。
後の世において凪の紫と呼ばれる色。
それらの色から、赤と紫の大戦と呼ばれるようになった。
強欲なる王の亡き世界。
平和が訪れることは無かった。
人族と魔族の争いにより、新たなる戦火が広まる事となる。
大戦の後、続けての戦争。
無謀としか言えない行いであった。
だが人族には時間が無かったのだ。
楽園を失ってしまったが故に。
計算外であった
彼の国が世界から消えることは。
魔神と化した強欲王により消されることは。
楽園より産出される高純度の力ある石。
これが強大な力を有する古代宝具を動かすのに必要不可欠。
だが失われてしまった。
魔族は人の比ではない程の力を有している。
残された力ある石が残っている内に決着をつけねば、世界を奪われてしまう。
故に人族は決戦を急いだ。