これって恋?!
12月に入りもうすぐ試験。この時期になると、とても憂鬱になる。
「テスト勉強してる?」
祐ちゃんが聞いてきた。いやー、そんな事聞かないでよ。
「そんな事よりさぁ……」
姫那ちゃんが話を変えてくれた。
「うち……、彼氏できちゃった」
「えーーー!!」
祐ちゃんと叫んでしまった!びっくり!
「え、だれだれ?!」
祐ちゃんも超焦ってる。
「C組の橘隼人君。ちょっと趣味があっちゃって、なんか話が合うし優しいし、それにもうすぐクリスマスじゃん?付き合っちゃおうかなって」
「橘君?草食系男子の?」
祐ちゃんは何でも知ってるんだな。感心した。
「じゃあさ、姫那ちゃんから告白したの?」
「そぉなんよね〜」
「姫那ちゃん思いきったねぇ、てか、何の相談もなしに?ずるいよぉ」
「あはは、ごめんごめん。でも今しかないと思ってさ。本当はEやF組が良かったけど、話が合わなそうだしねぇ」
「何でEやF組がいいの?」
私には分からなかった。
「だってほら、頭がいい方が絶対将来有望じゃん!」
「ん?頭いいの?」
「やだ、華ちゃん知らないの?Aが一番おバカで順番に良くなっていくわけ!そいでEとFは進学クラス。もちろんFが一番頭の良いクラスなんだよ」
知らなかった……、って私は一番おバカだったんだ。曜は知っていたのかな。知ってるよね……。わぁー、なんか恥ずかしい。
「いいなぁ〜姫那ちゃん。これからクリスマスも初詣もそしてバレンタイン……、二人で過ごすわけだ」
祐ちゃんはとても羨ましがっていた。私も
羨ましい。でも焦ってまた傷つくのは嫌だし、ここはがまんがまん。
「それだけじゃないよ。お昼ご飯も一緒に食べるし、帰りも一緒に帰るの」
「ちょっ、あたし達は?」
「ごめんねぇ」
「あー、やっぱり女の友情より彼氏かぁ〜」
「大げさなんだよ、祐ちゃんは。大丈夫!うちは女の友情大切にするタイプだからさっ!」
そう言っていた姫那ちゃんも、やはり彼氏にべったりで、祐ちゃんと二人で過ごす事が多くなっていった。
♡ ♡ ♡
土曜日、朝から祐ちゃんと図書館に来た。試験勉強をしようなんて、柄にも無いことを二人は決めてしまったのだ。やはりなかなかはかどらない。
「ねぇ、この数学の問題なんだけどさぁー」
「ふむふむ、てかさ〜華ちゃんに分からないもんが、あたしに分かるわけないし」
「……あ、そぉ」
「Aクラスから脱出したいけど、これじゃぁね……」
「おはようございます」
そこに1人の男子学生がやって来た。誰だろう。
「君たちも白花学園の学生ですよね」
「そうだけど……、あなたも?」
男子学生の事をよく知っている祐ちゃんも、知らないみたい。
「僕も同じ、F組の石田誠といいます。転校生の柑菜月さんですよね」
「はい、そうです」
「良かった、間違ってなくて。試験勉強ですか?」
「はい、まぁ」
「よかったら教えますよ」
祐ちゃんと顔を見合わせて、お互い頷いた。二人では分からないところだらけだったから、凄く助かる。
石田君はとても親切に解りやすく教えてくれた。苦手な数学もスラスラ解く石田君のおかげで好きになりそう。
祐ちゃんとお礼を言い、学校でも教えてくれる約束をして、石田君と別れた。
「あのさぁ、1つ気づいてないようだから言っとく!」
「なになに?」
「あたし自己紹介もして無いし、名前聞かれてないんだよね……」
「そうだっけ?」
「そうだよぉ〜、んで華美ちゃんの事を知ってたじゃん」
「うんうん、転校生だからじゃない?」
「にしても、挨拶しに来て勉強まで教えてくれたんだよ?」
「……そうだね」
「そうだねじゃなくて、絶対気があるの!華美ちゃんに!」
「ん〜」
「もぉー、ほんと疎いんだから!しっかりしてよね!で、どうなの?タイプ?」
「……だって、祐ちゃんは男子誰でも知ってるのに知らなかったじゃない」
「まぁね、イケメンしか知らなくてさっ」
「ほら、石田君イケメンじゃないって事じゃん」
「イケメンだけが男じゃない!最近そう思ってきてるんだよねぇ〜。石田君優しいし頭いいし良いと思うよ」
「もし付き合ったら姫那ちゃんみたいに離れちゃうかもよ?でもいいの?」
「そんなのいいに決まってるじゃない!友達が幸せならあたしは嬉しいし、ずっと友達は変わらないよ」
「祐ちゃんって優しいね」
「そんなことより、クリスマスすぐ来るよ?真剣に考えてもいいと思う!あたし石田君なら応援しちゃうからさっ!」
まだ何も言われてないうちから、祐ちゃんは凄く乗り気だった。普通妬んだりするのに、祐ちゃんは本当に心が広くて、友達思い。ずっと友達でいたいと思った。
♡ ♡ ♡
やっと試験から解放された。石田君は毎日お昼の休憩時間、二人に勉強を教えてくれた。
学校の門を出ると石田君に声をかけられた。待っていてくれたのだろうか。
「あたしじゃあお先に〜」
祐ちゃんが気を使って先に帰って行った。
「柑菜月さん、試験どうでした?」
「はい、いつもより出来たかな?」
「それは良かった。今から池に行きませんか?」
「池?」
「はい、凄く綺麗で大好きな場所なんです。歩いて行けますよ」
「お誘いありがとうございます。でも私バイトがあるんです」
「バイトしてるんですか?偉いですね。じゃあまた今度空いてる時にご一緒して下さい」
石田君はそう言うと帰って行った。やっぱり祐ちゃんの言ったように、私に興味を持ってくれているんだろうか……。
バイトが終わりマンションに帰って来た。ちょうど曜がいたので聞いてみた。
「石田誠さんって知ってる?同じF組なんだけど」
「うん、知ってるよ」
「どんな人?」
「そうだね、あまり話した事ないよ。大人しい感じの人だね」
「今度話してみてくれない?曜なら人を見る目あるし、信用出来る」
「人を計るのはあまり好きじゃないけど、機会があれば話してみるよ」
「うん!それでいい、ありがとう。優しいんだけどよく分からないし。また傷つくの嫌だし。あと眼鏡がひっかかるんだけどね」
そう言うと曜が近ずいて来て、眼鏡を外した。
「華美、眼鏡嫌い?」
曜の顔が目の前にある。眼鏡を外した曜を初めて見た。いつもと全く雰囲気が変わった。少しつり目の目はキラキラしていた。鼻は高く唇がプルプルしている。どこからどう見てもイケメンだ。
どんどん顔が近ずいて来てドキドキする。何故かその顔はどこか悲しげに見えた。ヤバい、心臓が高鳴り口から飛び出そう。
「ち、近いよ」
「ごめん、眼鏡外すと近ずかないと見えないんだ」
そう言うと眼鏡をかけた。
「眼鏡嫌いじゃないよ……、うん、じゃ、おやすみ!」
私はそう言うと急いで部屋に入りドアを閉めた。まだ心臓はドキドキしている。いったい何なの?曜を初めて男として認識した。当たり前だった事なのに。私どうかしてる。
ベッドにうつ伏せに倒れた。でもさっきの曜の悲しげな顔が頭から離れない。思い出すとまたドキドキする。こんな気持ちは初めてだった。
これって恋……?




