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運命の人はあなたですか?  作者: ゆめ猫
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プロローグ

――昇る 昇る 天に昇る

  胸の前で手を合わせ

  足を真っ直ぐ伸ばしたまま

  私の体が 昇っていく


  暗い世界に入ると 体は星のように輝いた

  私は 死んだのね

  悲しい まだ17歳なのに

  さよなら みんな

  さよなら 自分――




   ♡     ♡     ♡



 扉を開けると真白い世界が私を包み込んだ。


「いらっしゃい。お名前をお聞かせ願えますか?」


 白いドレスは足を覆い隠し、白いレースのストールを羽織り、薄いブルーの髪は腰まで伸び、なぜか風になびいている。透けそうな白い肌にピンクの唇。まるでゲームの世界にいる天使様のような女の人が立っていた。

 羽なんてあったら凄いな、なんて体をねじって覗いてみると

「残念ながら羽はありませんよ」

と、クスッと笑われてしまった。


「ご、ごめんなさい。私は田中緑といいます」


「17歳の田中緑様でお間違いないですか?」


「はい」


「そうですか、素晴らしいですね。貴方は特待生ですね」


「特待生……?」


「詳しい事は後ほどご説明致します。とりあえず受付場所が違います。こちらへどうぞ」


 ふわふわと進む、その女性について行った。

 途中にカウンターがあり、パソコンの前にはやはり美しい女の人が立っていた。その前には簡易な白い服を着た人達で溢れかえっている。見ると私も同じ服を着ていた。


「こちらは一般の方々の受付場所です。今日は電車の脱線事故がございまして、大変込み合っております。」


 思い出した。朝の通学途中電車が傾いて走って……、その後は覚えていない。


「こちらでお待ち下さい」


 白いドアを開けて誘導してくれた。広い部屋の奥に白いソファがあり、そこに座るように言われたが、先客が一人いる。

 黒縁メガネをかけた男の子、やはり同じ白い服を着ていた。

 隣に座ったけど落ち着かない。何か話さないといけないのかな……、はじめましてなんて変だし、同じ日に死んだんですねなんて、記念日じゃあるまいし。そんな事をもじもじしながら考えているとドアの開く音がした。

 また美しい女の人が入って来た。


「お待たせしました」


女の人は前のソファに座り、テーブルの上に白いノートパソコンを置いた。


「本日の特待生はあなた方お二人だけですので、ご説明させていただきます。特待生とはこれまで多くの良い行いをした方々が、特別待遇を受ける事が出来る人です」


そう言うとパソコンを開いた。


「例えば緑さんなら、三歳10円を拾い交番に届け、犬のうんこを拾いトイレに流し、飴玉を拾いゴミ箱に捨てた等など、沢山良い行いをし今までで合わせて4089件、進さんは4567件でした。よく頑張りましたね」


 とても恥ずかしい。しかも隣の進という人にかなりの差で負けている。


「よって特待生のお二人には、もう1度命が与えられます。詳細はこちらをご確認ください」


 そう言うと二人の前に1枚ずつ白い紙を置いた。


『名前 柑菜月華美(かんなづきはなび)

17歳高校2年生10月から始まる。

誕生日1月20日。

両親他界。

私立白花(しろばな)学園高校転校生A組。学費卒業迄払い済み。

マンション206号。家財道具付き。

祝金50万円。特典2有り』

 


「注意としましては、以前知っている方にお会いになる事はおやめ下さい。一つ目の特典は外見を変える事が出来ます」


「外見を……?顔とか体とか?」


 身を乗り出し反応してしまった。だって私はチビ、デブ、ブス3拍子揃っている。そのコンプレックスは計り知れない。


「はい、お望みの姿になって、地上でまたやり直す事が出来ます。では、緑さんからこちらにどうぞ」


 案内されたのは試着室のような所だった。前に姿見があり、自由に変えていくと鏡の中の自分が見違えるほど可愛くなった。

 このワガママボディともお別れだ。身長も少し高くすると、原型を留めていない自分になった。


「変更された外見は、地上に降り立った時に変わります。今はまだそのままです。それでは次の特典に参ります。あなた方は必ず運命の人に出会えます。身近な所にいます。運命の人とは、お互いが愛し合い深い絆で結ばれ、生涯を共にする大切なパートナーの事です。どうか早く見つけて、幸せな日々をお過ごし下さい。案内は以上です。何かご質問はありますか?」


「内面はどうなりますか?」


隣の進という人が初めて話した。


「IQも含め性格も全て同じです。お二人ともまた良い行いを引き続きされる事でしょう。期待していますね」


「ありがとうございます。僕からは以上です」


「緑さんは大丈夫ですか?」


「えっと、はい。……大丈夫です」


 一応そうは言ったものの、全然大丈夫じゃなかった。また生き返るのは嬉しいけど、親や友達にも会えないし天涯孤独じゃない。色々いっぱい不安だよ。なぜ隣の人はあっさりと納得出来るんだろう。


「では、これから地上に降り立ちます。素晴らしい人生を謳歌してください」


 そう言うと一瞬にして辺りが暗くなった。身体はふわふわと舞い上がる感覚。落ちるんじゃないの?怖すぎるよ。



 無の時間があったかと思うと、どこか知らない町に立っていた。隣に進という人もいる。

 白い服ではなくセーターにスカート。足が細い事に驚いた。それを見たらちょっと嬉しくなった。

 二つ目の特典『運命の人に会える』これが凄く気になる。近くにいるのだからこの町で会えるかも知れない。ワクワクしてきた。もう以前の私じゃないし、ステキな人と甘い恋がしたいな。




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