第十七話 転生したら魚ですか!?
どうも、桃犬猿雉です。
皆様には二週間の休載でご迷惑をおかけしました。
当時、交際していた女性とのトラブルで精神的に参ってしまい、休載せざるを得ない精神となってしまい他のことが手につかないといった状態だったので、、、
皆様も体調、精神ともにお気を付けください。(o*。_。)oペコッ
私は影松香世。
年齢は21歳で女です。
普通のOLを仕事にしています。
今日もいつものように電車に揺られてあの憂鬱な会社へと出勤する最中です。
どうして憂鬱なのかと言いますと、わたしの社内での居場所がないからです。
いわゆるいじめといわれるものです。
毎回いつものように会社に行くと男性社員からは距離を取られ、入社したころは仲の良かった同期でさえも距離を取るようになってしまいました。
男性社員はまだましな方です。
問題は女性社員たちの方です。
私が出勤してくるとみんな嫌な顔をして私につらく当たってきます。
書類を渡す際にわざと落としたり、私の分のお茶を意図して忘れたり、雑用を全てお押し付けられたりと、色々とひどい目にあわされます。
上司からは執拗に今晩どうかなどとセクハラをされて、もう散々な目にあっています。
正直こんな職場はやめて転職したいと何度も考えました。
ですが、問題は社内だけでなく家庭にもありました。
会社を辞めるにも父はそれを良しとしませんでした。
会社には父の友人が重役として勤めており。
父が頼んで私を採用欄に押し込んだ形で入社したため途中で会社を辞めるなど自分の顔に泥を塗る気かと、まったく相手にしてもらえなかったのです。
母はその父に対して何も言わず、ただそうだそうだと父に賛同するのみで何も言ってくれませんでした。
そのような状況の中私の心はもう限界だったのかもしれません。
だってこんな幻覚まで見るようになってしまったのですから。
そう言って私はよくわからない場所の水の中にポツンと一人でぷかぷかと漂っていました。
ついに私の心は壊れて現実とは別の物が見えるようになってしまったのだと思い。
これはこれでいいのかもしれないと考えて、この水の中をすいすいと泳ぎ回って今までの窮屈な生活から解放されたようだとはしゃぎまわろうとしましたがそれは叶いませんでした。
私は何か球状のカプセルのようなもので覆われていたため身動き一つできずに、ただこの広い水中をただひたすら眺めるだけ。
これはまるで私の今までの生活と何も変わらない。
そう考えると、いてもたってもいられずに私はもがいた。
今までのような窮屈な生活と同じになるならこのカプセルなど蹴破って、広い世界に出ていくんだと。
そうしてもがくうちにカプセルが破れ始めて、外から入ってきた水の感触が肌に伝わってくる。
、、、感触がある。
ってことは幻覚じゃないの?
私は夢から覚めたように呆然と自分の手を見ました、水かきが付いた人の手のようなものがそこにはありました。
手を見つめていると突然頭の中に声が響いてきました。
『おめでとうございます あなたは地球から異世界へと転生しこの世界に生まれ落ちました あなたは我々の希望です 今後とも頑張ってくださいね』
そんな声が頭の中でするなんて私はきっと悪夢を見ているのだ、これは通勤途中の電車に揺られて寝てしまった私のストレスによるリアルな悪夢なのだと。
そう現実逃避を、悪夢の中なのだからその言い方もおかしいんですけどね。
そう現実逃避をしていたのも一時のことで、私はこれが夢なんかじゃないことをいやというほど思い知らされました。
まず目の前に広がる広大な水の世界、肌に伝わる水の感触、呼吸を鰓でする感触。
しばらく目の前の現実が受け入れられなくて近くにあった岩の上でボーっとしていると向こうから何かが猛スピードで私の方に向かって泳いでくる。
最初は水の中なのだから魚くらいいてもおかしくないと思っていたけど、それが近くになるにつれて嬉々として私の方に突進してきているとわかりました。
それは金魚でした。
だけど、ただの金魚ではありませんでした。
金魚の見た目で大きさは一メートルほどで、あのパクパクと口を開け閉めさせる様子はなく、口にはピラニアのように鋭そうな歯が並んでいて今にもこちらに噛みつきそうな勢いで泳いでいます。
って悠長に観察している暇はありませんね、逃げなければ。
私は突進してくる金魚を自分でも驚くほど素早くかわし、水の中を自由に動き回れることに気が付き、これならば金魚を振り切ることが出来ると。
そう気が付くと私は逃げることをやめて金魚に向かって泳いでいきました。
『スキル 高速遊泳Lv1 のスキルレベルが2に上がりました おめでとうございます』
そう頭の中に声が響いて、泳ぎがさっきよりも速くなった気がする。
だけど今はそんなことはどうでもいい、今私はあの金魚よりも速く動くことが出来、自由に動かせることが出来る腕がある。
私は逃げたと思っていた私が急に目の前に現れて驚いている金魚の鰓の部分に腕を突き入れ、そのまま引きちぎった。
金魚は気持ちの悪い悲鳴を上げると、私から逃げようと背を向け逃げ始めた。
逃げるなんてことはさせない、私に噛みつこうとしたんだから私に噛みつかれてもいいよね。
私はその時に何かから解放された気分になった。
この水の世界ではわたしをどんくさいと蔑むあのうるさい女たちも、私にいやらしい視線を向ける上司もいない、何も聞いてくれない両親もいない。
そう考えただけで気分が高揚した。
逃げようともがく金魚の前に回り込むと手のひらを広げて思いっきり振り下した。
すると、水が手のひらに吸い付く感覚がして、金魚だけでなく周囲の水も真下に押し流されていく。
金魚はそのまま水の底に叩きつけられて水の勢いに押されて動けないようだ。
わたしはそのままさっきと同じように水の勢いを金魚に向けて放つ。
すると金魚が身動きが取れない上に、更なる水の勢いに押されて苦しそうにもがく。
‘あたし’はその様子を見てにやりと笑っていた。
まるで金魚は昔のあたしを見ているようだったからだ。
これからはこの奇妙な世界で自分の好きに生きていくことが出来る。
最初は悪夢かと思っていたけれど、ここは夢の世界ね。
金魚はついに、水に押しつぶされて力尽きたようだ。
『レベルが上がりました レベル2になりました おめでとうございます 最大値Lv5まで頑張ってください』
レベル、、、ね、たしかスマホのアプリでそういうゲームがあったけど、ここはそれと同じシステムで強くなるって世界なのかしら?
まぁ、あれだけ動いたので少し疲れた。
お腹もすいてきたし食べ物も探さないと。
そう思っていると金魚がなんだかおいしそうな感じがしてきた。
以前までだったら金魚なんて食べようとか思わなかったんだけどね。
この人間とは違うからだになったことで、食欲も変化したってことなのね。
私は金魚を手元まで手繰り寄せると、そのままかぶりついた。
味は塩味しかせず、触感も弾力が強くてあまりおいしいとは感じなかったけど、あたしの歯が鋭く肉を噛み切ることがしやすい形をしていたこともあって難なく食べることができた。
内臓はさすがに食べなかったけど、血の匂いに引き寄せられてきた肉食の小魚を捕らえて食べた。
見た感じは海っぽい水の中なのでクジラの様にデカい魚とかもいそうだし、あたりを警戒しながら住処となる場所と、浅い場所を探してその日は泳ぎ続けた。
警戒していたが、そこまで強そうな魚とかいなかったので難なく浅めの海底?にたどり着けた。
恐る恐る水面から顔を出してみるとそこには都会にない緑の森が広がっていた。
あれ?水上でも呼吸ができるみたい。
でも水中程動きやすいってわけじゃないみたいだから、陸上での活動は敬遠しておいた方がいいわね。
そうしてあたしの新生活が始まった。
生活といっても、へこんだ岩の周りの地面を掘って、石を積んで補強しただけの簡易住処に、魚を取って食べるってだけなんだけども、それがあたしにとっては新鮮で昔の自分では味わうことが出来なかったことだ。
しばらくは楽しくありつつも変わり映えのしない生活が続いていたわけだけど、ある日それはやってきた。
レベルってやつも順調に上がっていって、それが最大値になったときに頭の中に声が響いた。
『レベルが上がりました レベル5になりました おめでとうございます 最大値Lv5になりました 試練成功のあかしとして 謁見の間へと転移します』
気が付くとあたしは真っ白な何もない空間にいた。
そこには何もなくあたし一人だけがぽつんといる。
すると突然目の前に資料とかで見たことのある遺跡のようなものが文字通り生えてきた。
遺跡は一見すると日本の城の様に門構えがあって、そのもんが開け放たれて私の前に色のついた道が現れた。
あたしはもう進むしかないと思い、その色のついた道を進んでいく。
門を抜けるといつの間にか周りが真ん中に王様が座ってそうな広間に変わっていた。
中央に王様の椅子があるような場所に椅子はなく、代わりに大きい台座のようなスペースが開いていた。
あたしがその台座の前まで来ると、台座が光り、目の前に巨大な影が現れた。
影の正体は、巨大な爬虫類のような頭が付いていて、それが数十本同じところから伸びているその爬虫類の首の終着点にはドレスを着こんだ人間の女性の姿があった。
ただの人間ではないことは明らかだけど、その大きさも普通の人間の三倍は大きかった。
あたしが何も言えずにただ茫然としていると、その女性の口が開かれた。
「どうも~、あたしは神様!よろしくね~☆」
自分で神様だというその女性はそういうとあたしにウィンクした。
「もう、そんなに硬くならなくていいのよ~、ほらリラックスして」
女性がそういうと、あたしのからだがふわりと持ち上がり、その下にソファー現われて座らせた。
そのソファーの横には台座が付いていて、その上にカクテルが置かれていた。
「まぁまぁ、それ飲んで落ち着いてね~」
落ち着いてと言われても急にこんな場所にいて、自分を神様だという化け物に飲み物を差し出されて落ち着けるものがいるだろうか?
「もう化け物だなんてひっど~い、リヴィ傷ついちゃった」
心を読まれたことにも驚いたけど、それよりも嘘なきのしぐさをする三メートルは超す見た目の女性の迫力に驚かされた。
「この姿だと怖かったかな? それじゃこれでど~お?」
そういうと女性の姿がみるみる小さくなり、爬虫類の首もどこかに消え膝までのドレスからは人間と同じように日本の足が生えていた。
自由に変身ができるのね。
「お望みなら、巨大な海龍でも、クラーケンでも、山より大きいサイズの多頭海蛇でもなれるわよ」
「いえ、その姿のままでお願いします」
「は~い、りょうかいで~す」
自分が喋れることにも驚いたが、この神様の力が抜けるような口調との会話も相まって落ち着いて話すことが出来た。
この神様が言うに、神様同士で賭け事を行いそれに勝ったものが向こう千年の世界を管理する権限を得るという話だ。
私は五人の候補者の一人で、代表者となって生き残るのが目的であると聞かされた。
別に代表者を辞退してもいいが他の候補者が脱落した場合強制的に代表者として、矢面に立たされることになる。
生き残るといっても、戦って勝ち残れとは言われてないのでのんびりやってもいいそうだ。
他の代表者はそういいきかされてないかもしれないと言われた。
それは間接的に襲われて死にたくなければ強くなれと言われているようなものだった。
「私は別に、管理なんてしたくないんだけど、あのトカゲ野郎だけは管理させたくないのよね あいつ上から目線で私に妻になれとか言ってきたから振ってやったのよ そしたら海蛇女とか言って突っかかってくるから頭に来ちゃたから絞め殺したの まぁあのトカゲも一応龍神だから死んでもすぐに復活するんだけどね、、、」
以前キャバ嬢をしている友人の愚痴を聞いた時にそっくりだ。
この神様がお水っぽいのもそう思わせていた。
水妖の神様だから水っぽいのか。
そのあとあたしは体感時間で数時間ほど愚痴に付き合わされた。
「んじゃ、おまちかねの~、加護スキルの授与で~す」
どこからともなくファンファーレの音が鳴り、私の前に、アンケート用紙とペンが現れる。
「それに欲しいスキルの特徴を書き込んでくれたら私がそれにあったスキルを与えるから すきなことかいちゃってね~」
そう言って神様はどこからともなくテレビの画面のようなもので会話をし始めた。
「ちょっとリヴィ!仕事中に私のところに念視話したらダメでしょ」
「え~、だって今暇だからモティと話そうと思って」
「だってではありません!いい?リヴィ!神というものはイメージが大切なのですよ だから私は毎回神にふさわしい服装で、、、」
神様は他の神様に怒られているようだ。
あたしはアンケート用紙に欲しいスキルの詳細を書き込む。
欲しいと思ったスキルは、自分を裏切ることがない仲間を作るというものだ。
信頼できる友人が会社にはいなかったので、この世界では信頼できる仲間がほしいと思ったのだ。
アンケート用紙を書き終わるとそれがポンと音を立てて消え、いつのまにか会話を終えてアンケート用紙を眺めている神様がいた。
「おっけー、裏切らない仲間を作る能力ね 了解しました~」
神様が決めポーズをすると、私の中に何かが流れ込む感覚がした。
「はいこれで加護スキル『分体創造』のスキルはあなたの物よ おめでと~」
またもファンファーレがなる。
確かに信頼できる仲間を作るとは書いたけど、物理的に作り出すとは思わなかった。
加護スキルに加えて鑑定のスキルを渡された私は、元の世界へと戻る。
帰ったら進化をするよう神様に促されたとおり進化を念じる。
進化先は三通りあった。
『進化先を選択してください 進化先の選択肢は、「スパイクフィッシュ」「レッサ―ゴブリンシャーク」「サハギン」です』
それぞれをもらったばかりの鑑定で詳細を見てみる。
『「スパイクフィッシュ」表面を魚鱗が変化した棘状の鱗で覆い敵への牽制とする 棘は敵に刺さり抜け落ちたとしても新たに生えてくる 動きは遅いが歯が固いため貝類を食す 体色は薄青緑』
『「レッサ―ゴブリンシャーク」頭部に硬い大きなこぶがあり、突進する際にそれを敵に叩きつけて攻撃する 手足が生えており、体色が緑であることからゴブリンシャークと呼ばれる 歯が鋭く肉食性である』
『「サハギン」魚と人間族を足して二で割った姿をした水妖種モンスター 水場を好むが陸上でも生活出来る 基本は群れをつくり、そこでサハギンキング、サハギンクイーンと王制のようなものを形成する 性格は温厚で仲間想いだが寂しがり屋でもある』
『スキル 鑑定Lv1 のスキルレベルが2に上がりました おめでとうございます』
鑑定のレベルが上がったようだ。
進化先だけど、今のあたしがレッサ―サハギンだから、この中ではサハギンがよさそう。
私は住処に戻り、サハギンに進化した。
すると、もともと持っていた、高速遊泳と魚鱗のスキルレベルがそれぞれ一つ上がった。
高速遊泳は、文字通り泳ぐ速度が上昇するスキルで、魚鱗はより硬くなるスキルだ。
今後も今までの様に順調にレベルを上げて進化を重ねていけば安全に生活できる。
幸いこのあたりには強そうなモンスターもいないし、人間も来ないし安全だ。
生き残るのには最適な場所と言えるだろう。
あたしは眠りについた。
そう考えていた。
あの時が来るまでは。
お読みいただきありがとうございました。
次回はサハギン目線で釣り回の時系列に戻ります。




