第二話 転生したらキノコが!?
どうも、桃犬猿雉です、今後ともよろしくお願いします
ユニーク数が40を超えました。
中にはブックマークをしていただいた方もいて、少し小躍りしてしまいました。
皆様のご愛読、感謝でございます。
あとがきに主人公の生まれたばかりの姿と狼鳥の雑ではありますがどのような感じの見た目かを鉛筆で書いたものがあります。
下手な絵ですが、雰囲気だけでも伝わることが出来ればうれしいです。
俺は、昼寝から覚め、日が傾き始めた頃に俺は保温用の食糧倉庫として隣に立っていた木に近寄る
その木に拠点を作った時と同じように穴をあけ、取ってきた残りのキノコをそこにしまった。
よし、これで取ってきた食い物を保存しておけるな。
しかし、俺は雑食で強力な胃酸があるようだから、肉でも草なんでも食べれるのはよかった。
食べ物を選ばなくて済む。
俺は倉庫を完成させた後、今度こそとキノコ以外の食べ物を探しに歩き回る(足などないが)。
すると、そいつはそこにいた。
いつか見た、自分と同じ姿の同胞。
やはり、こちらを視認すると、敵意むき出しで鳴き声を上げ、こちらに向かって口から溶解液のよだれを垂らしながら近付いてくる。
あいつがどれだけの修羅場をくぐってきたかわからない。
俺は一度倒したことがあるからと油断することなく、相手の出方を観察する。
同胞はある程度まで距離を詰めると溶解液を飛ばしてきた。
溶解液の射程は理解しているようだ。
俺はすぐさま近くの木を盾にして溶解液を撃ち返す。
相手は溶解液の射程は木などを盾にして隠れるなどという知能は無いらしいな。
こちらが木に隠れて同胞の溶解液を防ぎ、俺が木の陰から正確に溶解液を当て続けたことですぐに決着はついた。
俺は同胞の体を嚙みちぎって切断し頭を取り除いて固い部分を取り除き、拠点へと口ではさんで運ぶ。
これで、夜の飯には困らないだろう。
レベルも4に上がったおかげか、あまり疲れること無く倉庫に運ぶことが出来た。
そうして、夜食をすまし、眠りについた。
そうしてまた新しい日が昇る。
俺は残り半分のキノコを食べつくして、眠りにつき、昼間になると目を覚ます。
やはり体も成長し穴も拡張しなければならなかった。
起きた俺は、拠点から出て、またあの二重においしいキノコを採りに、キノコの生えていた場所へと向かう。
俺は今日も、キノコを採っておいしい思いをしようとウキウキ気分で向かってキノコを採ろうと向かっていた。
だが、予想外の奴らがそこにいた。
奴らはキノコだった。
キノコと言ってもただのキノコではない。
巨大キノコだ。
俺がキノコを採っていた場所には、俺の半分ほどの大きさで見た目は痺れキノコと同じ。
それだけなら俺はよろこんだだろう。
しかし、奴らには足が生えていた。
そう、キノコににょきりと足が生えていたのだ。
その巨大キノコ数は7本? いや、7匹か?
まぁ、単位はどうでもいい。
問題はそのキノコたちが一斉に俺のほうを向き、じりじりと距離を詰めてきたことだ。
大きさは俺のほうが上だが、いかんせん数が多い。
巨大キノコたちの一匹が傘の部分をパカッと開けたかと思うとそこには動物の歯のように鋭いとげが並んでいた。
まずい、あのキノコはこいつらの幼体か何かだったのだ。
俺は一番近くにいた一匹に溶解液を浴びせると、一目散に逃げだした。
それを合図に、キノコたちは俺めがけて走ってきた。
あいつら、キノコのくせに俺よりも足が速い。
俺が這うことしかできないのをいいことに、奴らはどんどん距離を詰めてくる。
ちきしょう、目がないのにどうやって俺を視認してんだよ!
距離を詰められることに焦った俺は、妙案を思いつく。
逃げる最中に、細い木の根元付近に溶解液を吐きかけ、その横を通り過ぎる。
すると時間差で、木は倒れ、それによって一匹のキノコが下敷きなり、ぶちっとつぶれる。
その倒れた木に急には止まれなかった三匹のキノコが足?を取られが転倒。
俺はその隙を見逃さず、転倒して三匹に向けて溶解液を吐きかける。
よし、残るは二匹だ。
ここまでは順調だった。
残る二匹のキノコは倒れた木をよけて、追いかけてきた。
同じように木のトラップを仕掛けたが二匹は引っかかることなく追いかけてくる。
まじかよ、、、あいつら俺の同胞よりも頭いいじゃねーか。
俺は少し悲しい気分になったが、それもつかの間で、急ぎ逃げる。
しかし、逃げた先には何もなかった。
下が見えないほどの高さの亀裂が目の前に広がっていた。
まずい、追い詰められてしまった。
相手は二匹、戦闘能力では俺のほうが上だと思うが、おそらく一噛みでもされたら、麻痺耐性Lv2があってもきついだろう。
キノコの大きさが違うため麻痺液の量が違う。
幼体と違い、歯は鋭く見るからに毒々した液体に濡れている。
あの量の麻痺毒はまずいだろ!
それが二匹もいる。
正直なところ厳しい。
周りには利用できそうなものもなく、背後は断崖絶壁で絶体絶命のピンチだ。
痺れを切らしたのかキノコのうちの一匹が口を大きく開けて飛びかかってきた。
すると、俺にアイディアが閃いた。
俺は仰向けになると、わざと無防備な状態になる。
飛びかかってきたキノコは俺があきらめたように見えたのか、心なしか笑っているように見えた(顔はないのであくまでそう見えただけだが)。
俺はキノコの勢いのまま、足の間を蹴り上げた(俺に足はないので尻の部分で叩き上げた)。
すると、飛びかかってきた勢いに俺の蹴りの力が加わり、キノコは俺の後ろの下の見えない断崖絶壁の亀裂を落ちていった。
よし! これで残ったキノコと一対一だ。
うまくいったと喜んだのは一瞬で、俺は驚愕した。
予想以上にキノコは頭がよかったらしい。
キノコを蹴りあげ、起き上がったときには目の前にいたはずのもう一匹キノコの姿はなく、そいつは仲間のキノコが俺に蹴りあげられる瞬間にその隙をついて俺の四つの目の視界外から飛びかかって噛みついてきたのだ。
とっさのことに俺はよけることが出来ず、そのキノコの麻痺牙を受けてしまう。
俺は慌ててキノコに巻き付き、頭から噛みついた。
俺の口はかみ砕くのスキルにより強化されているので、麻痺が回りきるまえに何とかキノコの頭を切断し、キノコが動かなくなったことを確認する。
危なかった。
もしあと一匹でもキノコがいたら俺は終わっていただろう。
しかし、麻痺牙の効果は即効性ですでに俺は動くことが出来なかった。
このままでいても、他の敵に見つかって抵抗することなく捕食されてしまうだろう。
ああ、短い人生(虫だがな)だった。
『レベルが上がりました レベル5になりました おめでとうございます 最大値Lv5になりました 試練達成したので自動的に謁見の間へと転移します』
俺は何が何だかわからなかった。
理解が追い付かぬまま、景色が変わり、現れたのは白い神殿のような壁に囲まれた空間。
その神殿の最奥にある中央に置かれた石造りの椅子が目にはいった。
誰かがその椅子に座りこちらを見ていた。
俺はその人物と目があった。
その人物のわきには座っている人物と同じような格好をしているが鎧のようなものをつけていて、まるで控えている近衛兵士のようだ。
椅子に座っていた人物が立ち上がりこちらへと近づいてくる。
それに従って周りの者たちも一歩引いてついてくる。
その人物が目の前まで来ると、体の麻痺がなくなり俺はその人物を見上げることが出来た。
その人物の見た目は人型の女性の姿で、背中から妖精の羽のように透けた羽が六枚生えていた。
それに、かなりの美人さんだった。
頭からは短い虫の触覚のようなものが生えているけどな。
目があうと、微笑みながら彼女は口を開いた。
「よくぞ、試練を乗り越えてくださりました。 私は全ての虫達、妖精たちを統べる神モティリアと申します。 あなたが候補者の最後の生き残りだったのです。」
俺は驚いて`声´をあげてしまった。
「えっ試練!? それに、神様!? あの、状況がよく見えないのですが、、、あれ!? なんか喋れる!?」
「ここは肉体とは別の精神世界です。 よってあなたも話すことが可能となります。 それよりもあなたにはやってもらいたいことがあります そのためにあなたの魂を拾い転生させました」
「あの、やってもらいたいことですか?」
「そうです 具体的にはやってもらうというほどのことではないですが」
「いったい何をすればいいのでしょうか?」
「それは簡単です 生き残ること」
「生き残る!?」
「そうです 我々にはもう後がないのです 我々の神の賭け事に出すことが出来る者。 最初の進化ができるまで成長し、試練を乗り越えることが出来た者は、全五人の転生者の内であなただけでした」
「神の賭け事!? そんなことのために俺は異世界で虫に転生させられたんですか!?」
俺の怒気を含んだ荒い言葉に、後ろに控えていた近衛兵が表情を変えたが、女神が制し、話を続ける。
「その点に関しては申し訳ございませんでした しかし我々もなりふり構ってはいられない事情があるのです」
俺も感情を押さえて、ひとまず話を聞くことにする。
「事情、、、、ですか?」
「我々以外にも神はいます 水生生物を統べる神 植物を統べる神 獣を統べる神 龍を統べる神と様々です 昔から我々には決め事がありました 誰がこの世界を導くかを決めるために賭け事を行うことです 次の賭け事の内容は前回の勝者が決めます そして今回の賭け事は誰が生き残るかです」
「そのために俺は転生させられたのか、、、、」
「ルールとしては第一に、自らが統べる系統の生物の中から候補者を決め五人まで選ぶことが出来、その中の誰かを賭け事の代表にする 第二に代表者には神から代表者が有利になるように一つだけ加護をあたえ、生き残るための知恵を与えることが出来る 第三に賭け事に勝利したものがこの世界を導き、副主神として第二位と第三位が監視を行う 第三のルールについては主神となったものが暴走しないために作られたルールです」
まるでダービーゲームのようだな。
「ルールまで決められているのか、、、」
「第一のルールの時点で力の最も弱い我々はあまりにも不利なことがわかり どうするか悩んでいたところ 輪廻転生する魂たちに目が行き、閃いたのです 我々の統べる生物、即ち妖虫族に人の知能を与えることで少しでも勝ち残る確率を上げたいと」
それはいい考えだと俺も思う。
「そこまでして勝ちたかったのですか?」
「そうです 言い忘れてましたが敗者には勝者が行うことのつけが回ってくるのです 主審が戦争を起こせばそこで死んだ魂たちの転生の手続きを敗者たちは行わなければなりません さすがに絶滅するまで戦争を行わせることは副主審が止めるでしょうが非常に重労働であり、つらい作業です 何しろ魂達のしぬ間際の五感を一瞬に濃縮し体験し解析しなければなりませんので」
「そんなことが、、、」
大変だな、死を何度も体験するなんて常人なら発狂しているだろう。
「話が長くなりましたが、あなたには何が何でも生き残ってもらわなければなりません 何か聞きたいことがあれば遠慮なく聞いてください この世界は精神世界、現実世界では時間が止まっているのであなたの本体はそのままの状態でいます」
「う~ん 俺にはそうするしか道はないみたいだし、何とか頑張ってみますよ どちらにしろ死んで転生する予定だったんでしょ? なら前世の記憶をもって生まれたことは良かったと思うことにします では遠慮なく、聞かせていただきます 気になっていたんですが加護って何です?」
「加護はいわばスキルのようなもので 神が込めた強力な力があります 例えば筋力に成長補正がかかり怪力無双になったり 遠い別の場所になんの条件もなく瞬間移動が出来たりと様々です」
「なるほど 次に聞きたかったんですが知恵を授けるとはどういうことですか?」
「すべての代表者たちには鑑定のスキルが送られます 鑑定とは分析し、その結果を情報として認識させるもの あなたの知識で言うところのステータスを見ることが出来、物質の情報も同様に見ることが可能となります いわゆる万能辞書のようなものです」
「ありがとうございます では次に俺は進化できるんですね?」
「その通りです あなたは最初の進化を迎えようとしています」
「進化先は一つなんですか?」
「いえ、条件や称号によって選択肢が増えたりします」
「どれに進化できるかはわからないのですか?」
「いえ、進化先は選ぶことが出来、その進化先について鑑定を行うことも可能です 進化するかは好きなタイミングで行うことが出来ます 進化中は、ほんの数秒間ほど動くことが出来なくなりますのでご注意ください そうそう、進化したら傷もすべて回復しますが、レベルは1からとなります」
「戻ってすぐに進化して慣れない体で移動するのは危険だよな、、、、でも戻っても麻痺したままだしな、、、ここでは進化できないのですか?」
「それくらいなら、私の神力で現実世界に進化先の反映は自動的に行われます、すでに鑑定はここに来た時点で自動的に得ているはずなので進化先を鑑定してみるのもいいでしょう」
「物は試しですね」
俺は進化を念じる。
『進化先を選択してください 進化先の選択肢は、「アシッドワーム」「バイティングワーム」「パラライズワーム」「ワームイーター」「モンスターコクーン」です』
ホントに出てきた!?
出てきた選択肢を鑑定を念じ発動して情報を読み取る。
『「アシッドワーム」モンスターワームが成長しより強力な酸を吐けるようになった姿、体の色は白から薄い灰色に変化している』
こいつは溶解液特化型みたいだな。
『「バイティングワーム」モンスターワームが変異し口が鋏状になり噛む力強くなった姿 体色はモンスターワームと同じ白色』
こいつはかみ砕くを持っているおかげで増えた進化先だろう。
『「パラライズワーム」モンスターワームに似た姿をしているが麻痺毒を持っており麻痺に強く、体表が黄緑色をしている』
こいつは麻痺耐性が上がったおかげで得た進化先のようだ。
『「ワームイーター」モンスターワームの突然変異により棘のような黒い足が複数生え、同族であるはずのモンスターワームを好んで食べる 体色は濃ゆい灰色』
こいつは称号「同族殺し」を得たせいと同胞を食料として狩ったせいだと思う。
あまりいい気はしないが見た目が強そうで足があるので速そうだ(小並感)。
『「モンスターコクーン」モンスターワームが急成長し、次なる強力な個体へと進化する備えをする形態 防御力が高く形は繭のように丸くその周りが固い棘でおおわれている 体の色は光沢のある白色』
これはいい、固いし、先の進化が強い個体になりそうだ。
『スキル 鑑定Lv1 のスキルレベルが2に上がりました おめでとうございます』
鑑定してたらスキルレベルが上がったようだ。
俺はモンスターコクーンへ進化を念じると、体が熱くなり光に覆われ形状変化が始まる。
体は丸まり、その周りを覆うように糸のようなものが何度も巻き付く。
最後は光沢のある殻のようなものに覆われ棘棘とした繭の完成だ。
その間、わずか数秒。
進化なのにめちゃめちゃはやいな。
『おめでとうございます 「モンスターコクーン」に進化しました』
進化先が強い個体になれるし、これで俺も生き残る可能性が増えたわけだ。
、、、思ったその先に絶望が待っていた。
動けないのだ。
まずい、この状態のまま元の場所へと戻ったら襲ってくださいと言っているようなものじゃないか!
「あの、神様? 進化の取り消しは、、、」
「申し訳ありません、すでに進化してしまった後は我々は手出しすることはできません」
「ですよね、、、、どうしよう」
「、、、、加護として与えられる強力なスキルであれば可能ではありますが、他の貴重なスキルを得られなくなります」
「しかし、この後のことを考えるとやむを得ないでしょう」
「あなたがそう言うのであれば、その加護を与えます しかし、加護を与えた瞬間 あなたは元の場所へ戻されますのでご注意ください では我々の未来のために頑張ってください」
女神モティリアの手が白く輝き、そのまぶしさにまぶたを閉じかけたが(虫だからまぶた何てないがな)に包まれたあと俺は元の場所に戻っていたが言われた通り、体に痺れはなかった。
『スキル 溶解液Lv3 のスキルレベルが4に上がりました おめでとうございます』
『スキル 麻痺耐性Lv2 のスキルレベルが3に上がりました おめでとうございます』
『スキル かみ砕くLv1 のスキルレベルが2に上がりました おめでとうございます』
帰って来て早々にスキルレベルが上がったアナウンスが流れた。
そう言えば戦闘の直後だったな、あまりの出来事に忘れていた。
俺は早速加護とやらのスキルを確認するために鑑定を念じ、自分を選択する。
『「モンスターコクーン」モンスターワームが急成長し、次なる強力な個体へと進化する備えをする形態 防御力が高く形は繭のように丸くその周りが固い棘でおおわれている 体の色は光沢のある白色』
それじゃなくて、ステータスの方が見たいのでステータスが出るように念じる。
『ステータス』
「モンスターコクーン」
レベル 1/10
体力 100/100
魔力 1/1
スタミナ 5/5
筋力10
器用さ10
硬さ 200
素早さ5
精神力 10
忍耐力 50
ステータスの方には載っていなかったので、スキルが出るように念じる。
『スキル』
「溶解液Lv4 使用可能数7/7」
「糸生産Lv1」
「かみ砕くLv2」
「麻痺耐性Lv3」
「鑑定Lv2」
「自由退化Ex」
おっ!? 糸生産ってスキルなんて持ってたんだ、まぁ繭になるくらいだし持っていてもおかしくはないか、今度試してみよう。
今はそれよりも あったあった、早速俺は自由退化を使用する。
俺は進化と同じように光に包まれ、光が納まるとモンスターワームに戻っていた。
鑑定結果もモンスターワームとでたので間違いはないだろう。
ステータスを確認したところ。
『ステータス』
「モンスターワーム」
レベル 5/5
体力 50/50
魔力 1/1
スタミナ 10/10
筋力10
器用さ10
硬さ 10
素早さ10
精神力 10
忍耐力 10
ステータスはレベルは5で、モンスターコクーンの時より体力、硬さ、忍耐力と下がっていたものの、スタミナや素早さは上がっていた。
繭に進化した場合は動けなかったので、下がったのだろう。
そして俺は恐る恐る。進化を念じてみた。
『進化先を選択してください 進化先の選択肢は、「アシッドワーム」「バイティングワーム」「パラライズワーム」「ワームイーター」「モンスターコクーンLv1」です』
あれっ!?モンスターコクーンにレベル表記が付いてる。
俺はそのことから、ある仮説を立てるのであった。