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人生終わってからの恋  作者: 平間 日和
3/12


目を開いたらもうすっかり明るい。昨日のことが嘘みたいに清々しい朝だ。'みたい'じゃなくて嘘だったんだと思う。そう、あれは嘘。


昨日あれからすぐさま逃げた。これまでに一番の速さで走ったと思う。とりあえず幽霊は追ってこないので、途中でコンビニに寄って塩を買った。家に入る前にこれでもかというくらい塩を自分にふりかけた。家に入ってから盛り塩を用意して玄関に置いた。そこまですると安心しきってそのまま寝てしまった。


現に今、昨日のワンピース姿で化粧もそのままである。ふと、携帯を手に取って開くと彼からのメッセージと電話の通知で埋め尽くされていた。連絡しないで、寝ちゃったから心配してくれたんだろうな。嬉しい。彼にすぐに電話をかけた。

「もしもし?」

「陽子!?心配したんだよ?昨日は大丈夫だった?」

「うん。帰ってきたら、疲れて寝ちゃったの。」

「うん、良かった。できるだけ帰ったら連絡してね。」

「ごめんね。ありがとう。」

電話を切って、ニヤついた顔のまま、まだ落ちていない昨日の化粧を落とすために洗面所へ向かった。


化粧を落とし、水で洗い流した。そうして、ゆっくり顔をあげた。すると、鏡の向こうに昨日の半透明の男が写っていた。私の口は大きく開いたがびっくりしすぎて声にならなかった。

「なんで、彼氏に嘘ついたの?」

第一声がそれ?そう思いつつ、振り向くと幽霊はニコリと笑った。

「襲われかけて怖かったっていえばいいのに。」

「い、今も充分怖い!」

「そんな怯えないでよー。」

「な、なんで家にいるのよ!」

「言ったでしょ?一目惚れしたって。」

「理由になってない!」

幽霊はただまっすぐ私を見つめる。

そして言う。

「好きです。」



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